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2008年6月

ジェズアーティ教会

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 サルーテ教会からジュデッカ運河側に出たら、一度左後を振り返ろう。岬の突端にある税関の屋根に据えられた、金色の球体に乗った運命の女神像が間近に見える。サルーテ側からは現在税関に行けなくなっているので、陸上からはこの付近が最も女神に近づける位置になる。

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 開放的なザッテレの海岸を少し歩くと、ジョルジョ・マッサーリの手になるジェズアーティ教会がすぐ目に入る。陽光をたっぷり浴びて、ファザードの4本のコリント式円柱が白く輝いている。1668年にドミニコ修道会に加わったこの教会は、別名「サンタ・マリア・デル・ロザリオ教会とも呼ばれる。(この写真は運河向かい側のジュデッカ島からの撮影)

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 この教会の白眉は、ジャンバティスタ・ティエポロの天井画だ。「ロザリオの制定」は、大階段の上で人々にロザリオを手渡す聖ドミニコと、雲間に姿を現した聖母子が仰視法で鮮やかに描かれている。心が洗われるような清澄な色彩が印象的だ。

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 そして入口右側の第一礼拝堂には、これもティエポロの「ロザリオの聖母」。聖人たちの表情はもちろん、演劇の一場面のような劇的な画面構成は、必見の絵だ。

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サルーテ教会2

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 6つの礼拝堂に囲まれた円形の堂内には、見逃せない名画が飾られている。主祭壇に向かって左横の礼拝堂には、ヴェネツィア絵画の巨匠ティツィアーノの「キリスト降天」がある。神の象徴であるハトが四方に放つ光を受けて感激に浸る人々の姿が描かれる。

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 また、右側にはルカ・ジョルダーノの「聖母被昇天」があるが、その絵の前に思慮深い表情でたたずむジローラモ・ミアーニの老人像が、個人的にはとても好きだ。

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 さらに、右側のもう一つの絵「聖母の神殿奉献」(多分)は、私の調査不足で作者不明だが、秀作だ。

 この空間にはだれでも無料で入ることが出来るが、奥にある有料の聖具室には、ティツィアーノの「聖マルコと聖人たち」、ティントレットの「カナの婚礼」などが納められている。こちらは撮影禁止だったので、写真はなしです。

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 教会を出てジュデッカ運河方面に向かう。普通サルーテ教会は表側からの写真しか見たことがない人も多いだろう。横からだとこんな風に見える。

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サルーテ教会

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 今日からはヴェネツィアの教会巡りを始めよう。ヴェネツィアには実に多くの教会がある。もともとは100以上の島があり、それぞれの島に教会があるわけで、どこを歩いても数分ごとに教会に出会うようなことになる。 ただ、美術館の案内はあるが、教会の案内はあまり詳しくないのがほとんどだ。そこで、私の体験した範囲内で興味深い教会をルート別に紹介しよう。

 まずは、ドルソドーロ地区、ザッテレ周辺の教会からスタートする。

①サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会

 サンマルコ広場の対岸で華麗なクーポラを戴くサルーテ教会は、ヴェネツィアの代表的な建築ベスト3に入るだろう。デビット・リーン監督の映画「旅情」でもしっかりこの教会が映し出されていた。1687年、バルダサーレ・ロンゲーナによって完成された。ヴェネツィアバロックの最高傑作ともいえる丸屋根とそこに沈む夕陽の優雅なたたずまいは、私がヴェネツイア通いを始める大きな動機付けでもあった。ぜひ一度は壮麗な瞬間をご覧あれ。

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 主祭壇には、クレタ島から運ばれたグレコビザンチン様式の「聖母像」が飾られている。その周囲を取り巻く祭壇飾りは、ジュスト・クール作。上部にある3体の像は、中央が聖母子で、向かって左がヴェネツィアを、右がペストを象徴している。聖母子の恵みと、それによって逃げ出そうとする、老婆の姿をしたペスト、疫病の撲滅に感謝するヴェネツィアという構図だ。17世紀のペストの蔓延によって数万人の死者を出した後、病の終焉に感謝して建てられた教会の意味を物語る彫刻だ。

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 床の美しさも特筆ものだ。ライトに照らされて浮かび上がるモザイク模様は、人の少ない時間帯に行けばなおさらに印象的だ。

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素敵なドアノブ

 ヴェネツィアの街を歩いていると、建物の玄関にあるドアノブがとてもバラエティ豊かなのに気づく。圧倒的に多いのはライオンを模ったものだが、それ以外にも人の顔や動物など、ドアノブ散策だけでも一日がつぶれてしまうくらいに楽しい。今回はその中でも個人的に気に入ったベスト3を紹介しよう。

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①仮面のドアノブ

 まずはいかにもヴェネツィアらしいものから。S・M・デイ・フラーリ教会に行くために、バポレットのサン・トーマ停留所で降り、カッレ・トラゲット・ヴェッキオという通りを歩き始めたら、右手の店のドアに仮面がぶら下がっていた。そこは仮面の店なので仮面があって当然なのだが、よく見ると、あれあれ、これがドアノブになっている。こうした仮面の活用法は初めて見た。金色で、顔の上半分だけ覆う形で、一種のアイデア賞ものかも。

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②女性像のドアノブ

 S・M・フォルモーザ広場からサン・ザッカリア 方面に行くルーガ・ジウッファ通りで、こんな立派なものを見つけた。通常の取っ手よりかなり大きめ。羽根の付いた女性の上半身像で、一目で魅せられてしまった。写真を撮っていたら、他の通行人も何人も立ち止まり始め、ちょっとした人だかりが出来てしまった。

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③鷹のドアノブ

 サンタルチア鉄道駅近くのサン・マルクオーラ停留所から、バポレットに乗ろうとマルクオーラ教会横を通ったら、まさに停留所真ん前の建物の入口にこんなドアノブが付いていた。多分鷹だろうが、とにかく堂々とした鳥の彫刻型ドアノブだ。この入口には進入禁止の標識がかかっており、現在は別の場所から出入りしているようだが、ドアノブだけは表玄関の風格を漂わせていた。

 イタリアではどこに行っても面白いドアノブに出会うことが多い。こうした遊び心とアート性の発見も、旅の楽しみの一つだ。

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船いろいろ

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①大型観光船

 ヴェネツィアには大型のクルーズ船もしばしば寄航する。この船は今年のヴェネツィア・カーニヴァルの際見かけたもので、その名も「カーニヴァル・フリーダム」。ジュデッカ島を散歩しているときに偶然通りかかった。

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②帆船

 こちらは大型の帆船。去年の夏、スキアヴォーニ河岸で遭遇したもので、帆は張っていなかったが、とても優雅な姿で、しばし見とれていた。

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③野菜船

 一方、生活にかかわる船もゴンドラやヴァポレット以外にも沢山見られる。これはサン・バルナバ運河にいつも出ている野菜を即売する舟。種類も豊富で食欲をそそる。ここは、映画「旅情」で、キャサリン・ヘップバーンが撮影に夢中になっていてうっかり落ちてしまった、あの運河だ。こうした食料品を売る舟は、ジャルディーニの運河にも毎日出ている。街を歩いていると、思わぬ光景に出会うのも楽しみの一つだ。

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ゴンドラ 4

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 ゴンドラとカナルグランデの風景との組み合わせでは、やはりサルーテ教会付近が代表的なヴェネツィアということになりそうだ。でも、ゴンドラはやはり高い。1時間も乗れば1万円近くは取られてしまう。

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 そこで、安く乗れるゴンドラ=トラゲットがお薦めだ。カナルグランデには橋が3つしかないので(第4の橋が間もなく完成予定だが)、「ちょっと対岸へ」、という時に地元民に利用されている渡し舟だ。船首部分の装飾がなく、ゴンドラより少し大きめ。前後2人の漕ぎ手で操作されるのが一般的だ。

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 通常地元の客は立ったまま。中には新聞を読んでいる人もいた。私も立ったままで数分間の航海に挑戦してみたが、揺れも少なく、気持ちはすっかりヴェネツィア人になった感覚をあじわった。この写真はリアルト橋近くの市場横の光景。この他グリッティパレス横やカ・ドーロ付近など7か所ほど運行している。去年乗った時は1回0・5ユーロととても安い。

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ゴンドラ 3

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 昔は金銀を初めとしてカラフルなゴンドラがあったが、あまりにもエスカレートする装飾を規制するために、17世紀に法令が施行され、黒に統一された。ただ、レガータ・ストリカのような祭典では黒以外の船が登場する。上の写真は、昨年9月のレガータ・ストリカでの競技の模様だ。6人乗りの種目では、このオレンジチームが優勝し、私の隣に陣取っていたオレンジチームの応援団は飛び上がって喜んでいた。いかにも地域ぐるみのお祭りらしく、興奮がじかに伝わってきた。

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 また、結婚式の際などは特別のゴンドラが使われるようだ。数年前、フラーリ教会で式を終えたばかりの新婚カップルが黄金の装飾のあるゴンドラに乗るところに遭遇した。とてもハンサムな新郎と美人の新婦がゴンドラで旅立つ様子はまるで映画のようだった。ただ、あわてて写真のピントが合わなかったのが、残念!

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 また、ザッテレの河岸を散歩していたら、赤いゴンドラが係留されていてびっくりしたことがあった。これも競技用のもののようだ。

一隻のゴンドラを製造するのには約200万円かかるといわれる。ゴンドリエーレになるには、以前は世襲制だったのが最近開放されたそうだが、ライセンスを取得するのに難しい試験をパスする必要があり、なかなか難しい職業のようだ。そのせいか、現在運行されているゴンドラは500隻前後ということだ。

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ゴンドラ 2

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 ヴェネツィアは、何もない沼地を埋め立てることによって自らの住む場所を確保して行った。従って舟はその生い立ちからして生活の必需品だった。その後アドリア海に進出していく際は、大型のガレー船などの建造技術を向上させることで海の支配者になっていくが、ゴンドラの製造もそうした長い歴史に裏打ちされた技術の賜物と言える。

 ゴンドラの長さは約14m。右舷が左舷より14cmほど広くなっている。これはゴンドリエーレ(船頭)が右舷側に片足をかけて舟をこぐことによって全体のバランスを保つための工夫だ。全くの左右対称でないことによる微妙なあやうさもまた、ゴンドラの魅力だ。

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 反り上がった船首の装飾は、海の神ネプチューンの持つ三叉のほこをかたどったものとも、総督がかぶる帽子の形を表現したものともいわれる。

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 軸先飾りの6つの歯のような刻みは、本島内の6つの行政区(サンマルコ、カンナレージョ、サンポーロ、サンタクローチェ、ドルソドーロ、カステッロ)を、1つだけ内側にある刻みは、ジュデッカ島を表している。

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 中央付近には、馬をかたどった細工がなされていることが多い。青い水面に、陽光を浴びて輝く駿馬のきらめきは何ともいえず優雅なムードを漂わせる。

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