サルーテの祭り3
祈りの言葉が一段落すると、信者たちは中央祭壇に列を作って進み、聖母像に短い祈りを捧げて祭壇の裏に回る。祭壇裏の聖具室にはティントレットの「カナの婚礼」やティツィアーノの「アブラハムとイサク」などの秀作が展示されているが、この日だけは聖具室も贅沢な通路と化してしまった。ミサは一日何度も行われ、市民はこぞってこのミサに集い、家族の健康と街の平安を祈るのだ。
界隈では祭りならではの風景も見られる。仮橋は一方通行なので、帰りは教会の横手からザッテレ方面に進むことになるが、この道には日本の縁日さながらの屋台が軒を並べていた。テントの上に突き抜けるように沢山の風船が浮き上がり、さまざまなお菓子が所狭しと並ぶ。綿あめはイタリアでも健在だった。
顔と同じくらい大きな砂糖菓子を買って、ほおばりながら歩いていると、いつの間にかザッテレの海岸に出た。ジュデッカの海を赤く染めて、夕陽が静かに沈んでいった。
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