ガウディ カサ・バトリョ5
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最上階に近づいた頃、素晴らしい回廊に遭遇しました。放物線のアーチが何層にも重なり合ってハーモニーを奏でる極上の廊下。オフホワイトの空間に円形の模様を配した床。そこにもアーチが反映して角度の違うカーブを描いています。
バルセロナの北側にあるサンタ・テレサ学院に、放物線アーチの回廊があることは聞いており、ぜひ見たいと思って出かけましたが、一般開放されておらず見ることは出来ませんでした。でも、ここで同様の回廊に出会えるとは、思いもよりませんでした。
その近くにはこんな不思議な部屋が。衣装室?
階段室の吹き抜け空間には、タイルが使われています。そのタイルをよく見ると、青い色が下から上に昇るにしたがって次第に濃い色に変化して行きます。このグラデーションの理由はこうです。吹き抜け空間なので、必然的に最上部には最も強い光が当たり、下に行くほど入り込む光は弱くなります。その強弱の具合をタイルの色合いで調節することによって、上から見るとすべてのフロアに同じ色調の青タイルが張られているかのように見えてしまうという仕掛けです。
こんな色彩のマジックを、言い換えれば心躍る遊びを、建物の改修の際にも仕掛けてしまう懐の深さが、とてもうれしい。
こちらの部屋の入口では、ガラスが柔らかいピンクに染まっていました。
そして、こんなしゃれた小窓が・・・。
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今回の旅の中でも、最も訪れたかった場所が、このバトリョの主階サロンでした。うねるように切り取られた大きな窓から差し込む地中海の光と、対照的に闇で型取られる室内の陰影。その強烈なコントラストは、動的な迫力でそこにたたずむ者に迫ってきます。例えれば、巨大な動物、鯨のノド元に座って、大きく開いた口を通して外界を見る、といった感じでしょうか。
主階に通じる階段もまた、一筋縄ではいかない代物です。踏み板、手すり、側板、すべてが一体となって上へ這い登って行くイメージです。
主階への入口。こんなに優しい暖かさで、迎えてくれます。
サロンの前の部屋で見つけたのは暖炉。耐火陶板が使われ、何もここまで、と思うくらい徹底して曲線が駆使されていました。
サロンの天井に設置された照明。金属の枠で縁取られた円形の花びらとでも形容したらいいのでしょうか。
その周辺に広がる天井の渦巻き模様は、ダ・ヴィンチのスフマート技法で描いたかのように、全く輪郭がありません。最初、手ブレで写真がボケたのかと思ったほど。窓の強烈なコントラストと同じ部屋にこのような渦巻きが同居する、不思議な空間。
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今回からは、これもアントニ・ガウディの傑作、カサ・バトリョの掲載です。この建物は後に紹介するカサ・ミラと同様街の中心部グラシア通りにあります。朝の光を受けてまぶしいほどの輝きを放っていました。
実はこの建物は新築ではなく、隣り(左の建物)のカサ・アマトリィエールに刺激を受けたバトリョ家が「隣りに負けない立派なものを」と、改築を要請、全面的に改修されたものです。この2つの建築の競演は、街並みをこの上なく華やかにしています。
壁面にはガラス工場で出された不良品の色ガラスが巧みに活用されており、多彩なきらめきを演出しています。
しかも、壁面は平らではなく、うねるような曲面になっており、光が自在に反射するという工夫がなされています。
テラスも曲線。この建物には全く直線というものがありません。
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教会のステンドグラスのある窓を外から見ると、こんな形になっている。外からでも十分にカラフル。
窓枠に格子状に金網が巡らされていますが、これは綿製品を出荷するときに使用する金属の番線を転用したもの。実は、スポンサーだったグエル氏は父の創業した織機工場をこの地に移転し、工業コロニーをここに造成しようと試み、その際の番線をガウディが活用したというわけです。
こちらは周囲の壁にちりばめられた陶器片。こうした手法はグエル公園、カサ・ミラ、カサ・バトリョなど、彼の作品の大半で見ることが出来ますね。
こちらは屋上。というより、本来聖堂が作られるはずだった地上階。講堂とする予定の半地階がほぼ完成したところで、ガウディはサグラダ・ファミリア建築に専念するとしてこの教会の建築を断念。半地階が教会に転用されて、地上階は何もない空間のまま残ってしまったというわけです。つまり、ここも未完の教会なのです。
たとえ未完であっても、室内の深い安らぎと外面のダイナミックな躍動とを同時に投げ掛けてくれるこの教会は、私にとって忘れえぬ場所のひとつになりました。訪れる人の数も少な目ですから、ゆっくりと見学できることも含めてお薦めです。カタルーニャ鉄道のバルセロナのエスパーニャ駅ーコロニア・グエル間の往復運賃は4・1ユーロでした。コロニア・グアル駅は無人駅なので、エスパーニャ駅で往復切符購入がベターでしょう。
教会の外れにガウディの胸像が飾られていました。
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生誕の門とは対照的に受難の門の方の彫刻はかなり現代的です。カタルーニャ人芸術家スビラックスが制作を担当し、キリストの磔刑前夜から埋葬までを表現しています。左端の人物は、カサ・ミラの屋上の像にも似ていますね。
彫刻は外部だけでなく内部・出入り口付近にもありました。
ファザードの内部・教会となる部分の天井です。かなり出来上がりつつあるな、という印象でした。入場して、エレベーターの順番を待つ間はこの空間で列を作って待機しました。
こちらは教会内部に完成したステンドグラス。
差し込む日差しの作るシルエットもまたなかなか美しかった。
塔の中から見晴らすバルセロナの街並み。
そして、受難の門の下が出入り口になっています。宿泊したホテルから歩いて行ける距離だったので、何度も通った聖家族教会でした。この教会の建設資金は入場者の料金のよってまかなわれていますが、世界的な人気で、資金も蓄積されつつあり、この調子だとあと10数年後には完成するのでは、という話もありました。ちなみに入場料は11ユーロ、それにエレベーター代が2・5ユーロでした。
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現在見ることが出来る塔は8本ですが最終的には18本の塔がそびえ立つ予定になっています。完成した生誕の門と受難の門の8本に加えて、南側に栄光の門の4本、福音書を記したマタイ、ヨハネ、ルカ、マルコの4人を象徴する4本、そしてイエスの塔、聖母マリアの塔の計18本です。特にイエスの塔は170mもの高さになるのだそうです。(ちなみに現在完成している塔はいずれも約100m)
生誕の門には、日本人彫刻家外尾悦郎氏が製作した彫刻像がいくつも飾られています。その中で最初に完成したのがこのハープを奏でる天使像。
それと対を成すファゴットを奏でる天使像。楽器を持つ天使像は全部で6体が設置されています。この教会は完成時は鐘楼に84の鐘が据えられ、バルセロナの街に鐘の音を響かせることになっています。聖堂全体が石の共鳴箱になって地上に音を導く構想です。この教会が「音の聖堂」になるわけです。
ちょっと見分けにくいのですが、中央下部の群像も外尾さんの手になる「歌う9人の子供たち」の像です。いずれもイエスの降誕を祝って歓喜の歌を奏でる姿です。
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