パリ通りの壁面装飾 上
プラハで最も魅力的な通りの一つは、旧市街広場からチェコ橋につながるパジースカ(パリ)通りだろう。その街並み散策に出かけた。
この通りはプラハの都市大規模再開発によって生まれた新しい道だ。この地区はユダヤ人たちの居住区を塀で取り囲んだ閉鎖的なゲットーだった。だが、その中でも豊かな層は快適な別の場所に引っ越し、そこに移住した低所得のチェコ人と残された貧しいユダヤ人のスラム化した状況が続いていた。そんな中、1891年の産業博覧会開催などで意識に目覚めた国が、スラムクリアランス法を制定して、スラム解消の再開発に乗り出した。
19世紀半ば、オスマン知事によって都市改造に着手したパリ、城壁撤去を機にリンク通りを造ったウイーン。それらの都市にわずかに遅れたが、内容は抜本的なものだった。この地区に約600軒あった建物は高さを揃えた83軒のビルに整理され、10本の直線道路が造られた。その際、建築様式はアール・ヌーヴォーが採用された。この頃ヨーロッパではアール・ヌーヴォーは衰退の兆しを見せていたが、プラハではそれに様々な別様式も加味し、意匠を凝らした百花繚乱の街並みが形成されて行った。
126番地 「王と王妃」
さあ、そんな街を、チェコ橋そばのインターコンチネンタルホテル側から歩きだした。いろいろな姿をした像たちには勝手にタイトルを付けて遊んでみよう。126番地のビルにはこんなレリーフが。君臨する王夫妻が幸せそうに互いを見つめ合っている。
同「隙あらば・・・」
だが、その下の階では、家臣と思われる男が隙あらば謀反でも起こそうかといった風情で街を見下ろす。
同「私は中立」
その中間にいる壁の女性は、馬耳東風。私は政治には無関心・・とでも言いそうな気楽なムード。
シロカー通り角「ロシア生まれの娘たち」
荷物を背負った2人の娘。1人はつぼを手に、もう1人は肩に載せている。この2人はビルのオーナーの娘で、ロシアで生まれたのだそうだ。このビルは今プラダの店になっている。
130番地「見返り美人」
菱川師宣の浮世絵のチェコ版。振り返る女性のレリーフ。ただし、こちらは大胆な格好。
97番地「聖イジーの竜退治」
ビル4階角で槍を振り上げる戦士は聖イジー。伝説に基づくエピソードで、聖ヴィート大聖堂横の庭にも同様の像があった。このビルには面白い顔が集まっている。
同「俺たちは知っている」
2階部分には深刻な顔をした男たちが額を寄せ合っている。「沢山の困ったことを、俺たちは知ってしまった」
同「神よ助けたまえ」
なんとか今の事態を立て直さねば。神よ我々にお恵みを!
同「偵察中」
玄関入口では兵士たちが中をうかがう感じ。中には何があるのだろうか。じゃあ、中に入って見ようか。
同「輝ける螺旋階段」
入って見ると、階段好きの私としては歓声を上げたくなるような素晴らしい螺旋階段があった。管理人の叔父さんに撮影の許可を求めると、あっさりOKが出た。
同
螺旋のグラデーション、上から差し込む光の明暗の具合など、素晴らしい。有難うと、礼を述べると、叔父さんは「それはよかった」と、私の肩をたたきながら一緒に喜んでくれるなど、とてもフレンドリーな人だった。
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コメント
こんばんは♪
同じく、階段好きのわたしも、思わずコメントさせていただきました!
ステキですね~♪
螺旋階段のようで、そうでもないような…。
太古の生物の化石の内部に入ったような、そんな錯覚にもおちいりそうな、素晴らしい階段ですね~♪
これなら、エレベーターがついていたとしても、階段での移動を選びたくなる感じです!
投稿: がーこ | 2011年8月15日 (月) 04時22分
がーこ様
え~、がーこさんも階段好きだったんですか!私は美術館や博物館など古めの建物に入れた時はまず階段鑑賞から始めています。有名なところではバチカン美術館の階段なんかいいですよねえ。また面白い階段が見つかれば紹介して行きます。
この夏は本当に猛暑ですが、くれぐれも健康にはご留意を!
投稿: gloriosa | 2011年8月15日 (月) 21時14分
こんばんは♪
イタリアで大好きな階段は、ボーボロ階段なんです!
外観と内部両方がステキなんです~♪
オススメの階段も、ゼヒゼヒ見てみたいものです♪
階段いいですよね~!
投稿: がーこ | 2011年8月16日 (火) 01時07分
がーこ様
ああ、ボーボロですか。確か以前にもあそこがお好きだとコメントに書いてあったことを思い出しました。私もボーボロはだいぶ前に行ったきりなので、はたして写真があったかどうか?いつか見つかったらアップしますね。
投稿: gloriosa | 2011年8月16日 (火) 22時28分