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ランス大聖堂の内部を見る

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 大聖堂に入ってまず驚くのが、その大きさだ。床から天井までの高さが38mにもなる。奥行きは実に138・7m。確か東京ドームのセンターフェンスまでは122mなので、この建物にドームのフィールドがすっぽり入ってしまうということになる。

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 起源は401年。だが、9世紀に大聖堂として改築された。816年のルイ敬虔王がフランス国王としての戴冠式を行った頃だ。

 (堂内でちょっと特別なミサが始まった。)

 10世紀ころから、商業の発展に伴って都市の市民たちが富を蓄積して行く。それと時を同じくしてフライングバットレスという建物の重力を支える新たな工法が編み出され、高く大きな教会建築が可能になった。これが、あくまでも高さを追求するゴシック教会の実現をうながすことになる。

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 さらに、この時代に聖母マリアをあがめる聖母信仰の機運がフランス全土に広まっていった。威厳に満ち、最後の審判では人々を地獄にも振り分ける立場の怖い存在であるキリストよりも、慈愛に満ちた聖母マリアにキリストへのとりなしを頼むという、救いを母性に求める信仰の方向性が強く指向された時期だった。従ってこの時期に建設されたアミアン、ランス、パリなどのゴシック式大聖堂はいずれも「ノートルダム=我らが聖母大聖堂」と名付けられている。

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 そして、なぜかあまりにも良い?タイミングでそれぞれの古い大聖堂が程よく火災に遭い、改築されることになった。

 (少年少女たちの澄んだ歌声が聖堂一杯に響いていた)

 
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 北側の周歩廊を歩いて行こう。

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 とても美しい聖母子像に出会える。

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  製作年代は比較的新しい感じだが、正確には作者はわからなかった。だが、暗い礼拝堂で、蝋燭の光をかすかに浴びながら、まさに慈悲深い表情で信者たちを見下ろす姿は、思わず手を合わせてしまう感覚に襲われた。

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 その奥には、甲冑をまとった少女像が据えられている。ジャンヌ・ダルクだ。本来なら後方のステンドグラスがジャンヌに光を浴びせてくれるのだが、残念ながら修復中だった。

 ジャンヌはランスの南東100キロのドムレミ村生まれ。大天使ミカエルから告げられた使命を全うして戦いに勝ち、王太子シャルルをランスで王位につけることに成功した。しかし、その後敵軍の捕虜となり、魔女裁判にかけられルーアンで火刑となってしまった。わずか19歳。以来490年にもわたって異端とされてきた。

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 ヴァチカンが魔女裁判を取り消して聖女に列したのは、1920年になってからのことだった。

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 もう一度西正面に戻ると、ファザードの裏側から2つの薔薇窓が堂内に光を注いでいる。1つのファザードに2つの薔薇窓を持つ構造は独特だ。

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  薔薇窓は13世紀に造られたものが今も残っている。中心にマリア、周囲に12使徒、さらに外側は天使たちが描かれている。

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 外側から大きな薔薇窓を見るとこんな具合だ。

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 薔薇窓のちょうど中心の位置に聖母戴冠の彫刻の先端が届くように設計されている。聖母が冠を戴くというシーンは聖書にも出てこない話だが、マリアとキリストとを一体化させる試みとして、この時期に初めて登場した形式だという。戴冠によって、あらゆる美徳を備えることになるマリアが、人々の願いを丸ごと掬い取るという全能の役割を、この時期以降は演じることになる。

 ここにあるのはレプリカで、オリジナルは隣のトー宮殿に保管されている。

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 薔薇窓のすぐ横にある聖人らの群像。遠くから見るとそうでもないが、3mはあろうかという大きな像だ。 

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コメント

はじめまして。

インテルとマガジンハウスのコラボレーションによる「あなたを作家にするプロジェクト」で最優秀作品に選ばれた「マリアの涙」ピーター・シャビエル著の中に、キリスト教のことが詳しく描かれていて、イタリアの誘惑に魅せられて立ち寄りました。

ミケランジェロのピエタのレプリカの破壊事件の謎解きのミステリー小説ですが、マリアの内面の心の世界に触れ、ブログの素敵な写真を堪能しました。

http://magazineworld.jp/books/all/?gosu=2215

投稿: オカリナ | 2011年10月30日 (日) 16時16分

オカリナ様

 コメント有難うございます。ローマ・サンピエトロ大聖堂にあるミケランジェロのピエタ像は私の最も好きな彫像の一つです。ヨーロッパの美術作品をよく理解するためには、どうしてもキリスト教を避けて通れませんが、少しずつでも理解して行こうと、私も勉強中です。

投稿: gloriosa | 2011年10月30日 (日) 22時29分

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