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ルーブル美術館の美女たちベスト10 ② 独断と偏見編

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 ルーブルの美女シリーズの2回目は、個人的にいいと思った「独断と偏見」で選ぶベスト10です。

 1位 フランソワ1世の聖家族  ラファエロ (1518年作)

 やはり個人編でもラファエロは欠かせません。彼の聖母子像は数多く描かれましたが、この絵の輝く衣、それにも増してまぶしいほどの肌をした聖母に出会える作品です。この絵はフランソワ1世の家族を描いたわけではなく、当時のローマ教皇レオ10世がフランス王フランソワに贈った絵ということで、こんな名前がつけられています。ラファエロ晩年の作ですが、彩色などは弟子がアシストしたと言われています。

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 アップしてみると、聖母の優しさが際立ちますね。ラファエロの聖母では、このほかフィレンツェ・パラティーナ美術館の「小椅子の聖母」、ウイーン・美術史美術館の「牧場の聖母」が私的トップ3になります。

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 2位 娘ジュリーを抱く自画像 ヴィジェ・ルブラン (1786年)

 何とも美しい母親です。ヴィジェ・ルブランは18世紀の女流画家。マリー・アントワネットの肖像画を引き受けて一躍画壇のスターになりましたが、1789年のフランス革命でアントワネットは命を落とし、彼女も外国を転々とする流浪の画家になってしまいます。この絵は、その革命の3年前、彼女が31歳の時の作品です。ラファエロの聖母子像に影響を受けており、そういえば角度を変えれば小椅子の聖母に似ていませんか。彼女の肖像画は、モデルの姿を肯定的な感受性で表現する画家だったと思います。

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 3位 フィレンツェの婦人 デジデリオ・ダ・セッティニャーノ(1450~60年)

 額を大きく開けた髪型と洗練された表情で、じっと前を見つめる婦人の胸像です。ルネッサンスという世界の先端を行く芸術革命が進行していたフィレンツェの、知性的女性を代表する風貌なのではないでしょうか。ただ、ガラスケースに入っており、光線の関係で正面からの写真が撮れなかったのが心残りです。

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 作者のデジデリオは、ドナテッロに続く彫刻家で、繊細で知的な作風で知られています。この作品は木彫です。日本の木彫の代表的作家、舟越桂さんが「この像になら、彫刻相手に恋することだってできる、と思った」と語っています。

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 4位 若い婦人に贈り物をするヴィーナスと三美神 ボッティチェリ (1483~85年頃)

 待望のボッティチェリがやっと登場しました。とても好きな画家なのですが、やはり特別な作品はフィレンツェにありますから、ルーブルに限定するとタイミングが難しい。このフレスコ画は、フィレンツェ郊外のレンミ荘にあったもの。1873年、漆喰の下から発見されましたが、かなり傷んでおり、この絵でもヴィーナスの顔付近が剥がれてしまっています。同荘の所有者トルナブオーニ家の結婚を祝して描かれたらしく、右の赤い服を着た花嫁ジョヴァンナにヴィーナスから贈り物が渡される場面です。

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 ただ、個人的にはヴィーナスや花嫁より、後ろに控えている三美神の方が魅かれます。特にこのアップ画面の右の女性、彼の代表作「ヴィーナスの誕生」に見られる憂いを帯びた表情が、ここにもありますよね。

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 5位 無原罪の聖母と6人の人々 ムリーリョ (1665年)

 無原罪のお宿りという、キリストだけではなく母マリアもまた原罪なしに生まれてきたというテーマを、絵画において確立した代表的な画家です。それだけに何枚もこのテーマで作品を描いていますが、どれも清楚で限りなく慈愛にあふれた聖母が印象的です。これはセビリアのサンタマリア・デ・ラ・ブランカ聖堂の再開に伴って製作されたものです。

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 6位 花を持つ少女 ヘンリー・レイバーン (1798~1800年)

 この絵は全く予備知識なしで、ルーブルで初めてであった作品です。閉館時間が迫って早足で回り出した頃に出会い、何と愛らしい少女がいるのかと、立ち止まってしまいました。花を抱え、かすかに微笑んだ表情は無垢な美しさに満ちています。作者はスコットランドの画家で40代の時期の作品だということはわかりましたが、詳しい背景までは調べきれませんでした。

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 7位 神妻カロママ像 エジプト (紀元前850年頃)

 神妻というのはエジプト帝国の守護神・アメン神の妻として生涯処女のまま神なる夫に奉仕する役割を負った女性。ブロンズに金銀の象嵌が施された華やかな像です。しかも高貴なたたずまいで、表情も素晴らしい。忘れ難い美女でした。

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 8位 エステルの失神  ヴェロネーゼ (1570年代)

 これは旧約聖書のエピソードの1つです。ペルシャの王は妃にユダヤ人のエステルを選びました。しかしユダヤ民族を憎むある重臣が民族を滅亡させる陰謀をたくらみました。これを止めるために王にその陰謀を告げようと思いましたが、王への直訴は死罪に相当する時代でした。でも、エステルはまさに決死の覚悟を決め、一世一代の勝負服を着て直訴に及びます。それが成功して王は重臣を逮捕、エステルには無罪を告げます。この時、緊張の糸が切れたエステルは王の前で安心のあまり失神してしまいました。その瞬間をヴェロネーゼは見事に描いていますね。

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 9位 三美神像 ギリシャ時代 (紀元前2~1世紀)

 カリアティード(女像柱)の間に飾られている三美神の像です。三美神とは、愛欲、純潔、美を表わすと考えられました。愛欲と純潔とは対立する性質ですよね。でも美によって和解し、バランスを取りながら生きているとされるそうです。いずれにせよ、女性のフォルムは紀元前の時代から美しいものだったんですね。

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 10位 アタラの埋葬 アンヌ・ルイ・ジロデ (1824年)

 シャトー・ブリアンの小説「アタラ」の1場面を描いたものです。キリスト教信者として立てた、処女を守るという誓いと、若いインディアン、シャクタスへの愛との間で心が引き裂かれ自殺した女性がアタラです。悲しみに沈むシャクタス青年と修道士がアタラを埋葬しようとしています。

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 強い明暗のコントラストはカラバッチョを連想させる感じですが、死んだアタラの表情には耽美主義的な雰囲気も漂います。いずれにしても光を当てられたこの女性の美しい横顔は見事です。

 こんなわけで、独断と偏見編は知名度編とはかなり違った形にしました。もちろん人によってラインナップは千差万別でしょう。ご意見は承りますが、非難中傷の類はどうかご容赦を願いますよ。

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コメント

こんにちは(◎´∀`)ノ

ずっと拝見してるのですが、読み逃げさせていただいております。ごめんなさい(汗

前回の記事といい、今回のものといい、ほんとうに見ててため息が出てしまいます!どの女性も美しいですねえ(うっとり)

中でも花を持った女の子がほんとに可愛くて、こちらもにっこりしちゃいます(*^-^)

投稿: めめ | 2011年11月12日 (土) 17時11分

めめ様

 コメント有難うございます。ルーブルは総所蔵作品数は35万点といいますから、まだまだ隠れた美女たちが沢山いると思います。またいつか出かけた時には、新しい探索をしてみたいと思っています。
 「読み逃げ」、全然構いませんよ、気が向いたらいつでもお出で下さい。

投稿: gloriosa | 2011年11月13日 (日) 20時24分

総所蔵作品数35万点ですか!!半端ではない数ですね、これは。前回と今回登場した作品でたったの20点ですから、いかにルーブルの美術品の多さが凄い事なのか実感出来ます。それにしても、美女がある作品だけでも何点あるのやら・・・
今回は、「独断と偏見編」という事で、通好みの作品が揃いましたけど、これらの作品も中々見事ですね。ツアーでは通過してしまう危険性があるので、個人で見るのが良さそうです。
さて、次はどんな作品が出るのでしょうか?楽しみにしております。

投稿: おざきとしふみ | 2011年11月14日 (月) 16時09分

おざき様

 ごめんなさ~い。作品紹介は前回で終了です。散発的に撮ったものはありますが、時間切れで、統一したテーマでお見せするほどの内容にはなりませんでした。次回からは風景になります。

投稿: gloriosa | 2011年11月14日 (月) 21時18分

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