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フィレンツェの野外彫刻劇場 シニョーリア広場

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 再びフィレンツェに戻って、この街の一つの中心となる広場を見てみよう。ウフツィ美術館の横の広場、シニョーリア広場は、いつも観光客でにぎわっている。

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 ここは昔も今もフィレンツェの政治の中心だ。ヴェッキオ宮殿は、共和国時代に政庁が置かれた建物で、今でも建物の半分は市役所として使用されている。イタリアが統一された約150年前、一時フィレンツェが首都だったことがあるが、その時はここが政府だったということだ。

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 その入り口にある2つの像は、向かって左がミケランジェロの「ダビデ像」(レプリカ)、右側はバンディネッリの「ヘラクレスとカクス」。

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 16世紀初め、ミケランジェロがこの像を造った時、像設置委員会委員だったダヴィンチは横のロッジアに設置するよう意見を述べたが、ミケランジェロは絶対政庁正面を主張して譲らなかったという。そんなこんなで、2人の天才はずっと仲が悪かったらしい。

本当なら素晴らしいダビデが立っているのだが、100年ほど前アカデミア美術館に移されて、今はレプリカとなり、ちょっと迫力不足気味。

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 そのロッジアに、こちらは迫力十分の青銅像がある。これはチェッリーニの「メドゥーサの首を持つペルセウス」。

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 ペルセウスはゼウスとダナエの子供(ダナエの体内に黄金の雨となって入って行くゼウスを描いたクリムトの絵が思い出される)。直接その顔を見ると石になってしまうという妖怪メドゥーサに対して、青銅の盾に映ったメドゥーサを間接的に窺いながら後ろ向きに接近して退治したというエピソードを見事に表現している。

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 この作品でも、ペルセウスはメドゥーサの首は見ていない。すっくと立った姿の美しさはどっちの角度から見てもほれぼれしてしまう。

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 ロッジアのもう1点の傑作は、ジャンボローニャの「サビニ女の略奪」。サビニの女たちをローマの男たちが奪ってしまうという話だが、まさに彫刻的。超3次元で360度の変化を楽しめる。バロックの先駆けのような作品だ。

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 「ケンタウロスを倒すヘラクレス」もジャンボローニャの作品だ。何という躍動美!

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 広場の中ほどにあるのは「ネプチューンの噴水」。アンマナーティ作だが、市民にはあまり評判が良くないとか。

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 小鳥を頭に乗せた「コジモ1世の騎馬像」もジャンボローニャ作。

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 この作品も迫力があっただけど、作品名は不明。

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 こんなに沢山の彫刻があふれる広場だけに観光客はいつも一杯。

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 子供たちも楽しそう。

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 でも、そんな広場の中に、こんな碑文が埋まっている。これはサヴォナローラがここで処刑されたことを記したものだ。

彼はフェラーラ生まれの修道士。1491年にサンマルコ修道院長としてフィレンツェに赴任した。当時のフィレンツェ人の享楽生活を厳しく批判、禁欲を説いた。そんな中ルネサンス文化の擁護者だったロレンツォ・ディ・メディチが死去、世紀末の暗い影を感じた人々はサヴォナローラの教えに傾いた。次第に権力を得た彼は絵や書物を焼き捨てる「虚飾の焼却」まで突き進む。厳しすぎる改革には、市民の心もついに離れ、1498年5月23日、シニョーリア広場で火刑となった。命日にはここに花輪が供えられるという。

サヴォナローラを語る時、私はいつもボッティチェッリの運命に思いが行く。彼も次第にサヴォナローラに傾倒して行ったが、それにつれて、あの「春」や「ヴィーナスの誕生」のような輝かしい華やかさがどんどん失われて行き、暗くメランコリックな色調の絵画に落ち込んで行った。そして最後は何の注目もないままに寂しくこの世を去ってしまった。

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 最後にダビデ、ヘラクレス、ペルセウス3人のコラボでシニョーリア広場を締めくくろう。

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コメント

こうして見ると、フィレンツェの観光客の多さにはいつも驚かされます。世界各地から訪れる人の多さが、まるで渋谷駅前のスクランブル交差点並みに多く感じます。それだけ、世界中の人達にとって憧れの街という事なのでしょうけど。
それにしても、見事な彫刻ばかりですね。じっくり見てみたいですが、人が多いと観づらいし、あとスリや引ったくりのターゲットになるので、気を付けなければなりません。
それにしても、最近は緩んだとは言え、2月は寒気が居座ったので、イタリアも相当寒かった様ですね。ただ、この時期はヴェネツィアやヴィアレッジョでカーニバル、イブレアでオレンジ祭と、寒い冬でも面白いお祭が開催しているので、目が離せませんが。今年のヴェネツィアのカーニバルに関してはYouTubeで「おやじと娘の2人旅inVenezia」というタイトルで日本人父娘の旅行記ネタを始め、各種動画があるので、見るだけでも楽しいです。でも、今年は例年以上に寒そうですが・・・でも、楽しそうですので、そんな事は関係無いかも。

投稿: おざきとしふみ | 2012年2月24日 (金) 21時16分

こんにちは。
今回の記事も楽しく拝見させていただきました。
いつも思うことなのですが、グロリオーサさんの撮られた写真からは
いろいろな光が感じられますね。
昼間の太陽の明るい光から、夜の闇にさす光まで。
それは、光と同時に、影なのかもしれませんが。
クリムトの「ダナエ」、好きな絵です。
ウィーンも、ヴェネツィアとは異なるけれど、
また独特の世界を持つ街ですね。
またいつかゆっくりご紹介いただけるととても嬉しいです。

投稿: hanano | 2012年2月25日 (土) 14時42分

おざき様

 イタリアは150年ほど前までは小さな国が分立していたせいか、それぞれの都市がそれぞれの文化や特色を持っていますね。そのせいで、いつの間にかイタリアに引きずり込まれてしまう気分です。祭りも都市都市で歴史的な行事が沢山あって、きりがありません。また、祭りに行くと、市民が本当に地元を愛している雰囲気があふれていて、こちらも幸せな気分にさせてくれます。
 

投稿: gloriosa | 2012年2月26日 (日) 12時36分

hanano様

 旅をすると、写真を撮る時間が多くなりますが、そんな時、この対象物はどんな光が当たれば一番美しくなるんだろうか、などと考えながらシャッターを押すことになります。だから、必然的にいつも光を(あるいは影を)追いかける旅になってしまいます。大半はあまりうまくいかないんですが、それもまたもう一度訪れようという口実になります。
 ウイーンについては、昨年の3月から6月にかけてブログに掲載していますので、お暇な時にでもご覧ください。

投稿: gloriosa | 2012年2月26日 (日) 12時47分

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