« ハイダルパシャ駅・オリエント急行とアガサ・クリスティ | トップページ | 思いがけぬプレゼント “イスタンブール遊覧飛行” »

ガラタ塔から見下ろすイスタンブールのブルーファンタジー

2012_1221_233728pc213160


 夕暮れ時のガラタ塔からの眺めは、優しく青い気体に包まれたファンタジーの世界だった。

2012_1220_225427pc204322001


 イスタンブールのアジア側から戻って、新市街にあるガラタ塔に昇った。

2012_1221_045747pc214650


 ガラタ塔は高さ67m。灯台として使われていたものを、その地区への居住を許されていたジェノヴァ人が14世紀に監視塔として改造した。エレベーターで8階まで行くとベリーダンスショーも見られるレストランがある。そこから階段を上れば展望所だ。

2012_1221_045943pc214665


 この塔からはすぐ向かいの旧市街はもちろん、アジア側も見渡すことが出来る。鉛色の空が次第に青味を帯び、たそがれを連れてくる。

2012_1221_233415pc213143


 旧市街は栄光と衰退の歴史を刻んだ世界史の舞台。その面影を伝えるトプカプ宮殿に明かりが灯る。

2012_1221_233430pc213145


 世界に類のない都市のフォルムを浮かび上がらせるモスクのミナレットは、信ずる神の交代を象徴する記念塔として時代の王たちが築いてきたものに他ならない。

2012_1221_233753pc213162


 街灯の薄明かり。闇が詩のように降ってくる。

2012_1221_233636pc213158


 2006年ノーベル文学賞を受賞したトルコの文学者オルハン・パムクは著書「イスタンブール」でこう語る。

 私は子供のころから、雪の降るのを待ち焦がれていた

 外に出て雪の中で遊ぶためではない

 雪の下の街が より美しくみえるからだ。

 早く暗くなる夕暮れを

 北風に震える裸の木々を

 黒いコートと上着をを着て薄暗い道を家路につく人々を

 眺めるのが好きだった。

2012_1221_234428pc213174


 ガラタ橋の向こう、もう見慣れたものになったあのモスクが光を発し始めた。

2012_1221_235724pc213202


 「金角湾には暗い光がポツリポツリ見える

 それに対して、イスタンブールの丘の上にはいくつもの首飾りが

 純白の華奢な首にかけられている

2012_1221_235645pc213199


 それは夜モスクのドームに灯され、四連の輝きを放って

 金の常夜灯のように輝いている」

 建築の巨匠ル・コルビジェは、モスクのミナレットを首飾りに例えた。

2012_1221_235316pc213184


 闇に沈んで行くボスポラス海峡を越えて、アジア側の照明も手を伸ばせば触れそうな近さで感じることが出来る。

2012_1221_234907pc213178


 すっかり青い闇に包まれたトプカプ宮殿のオレンジの明かりは、崇高な祈りにも似た静けさの中にあった。

2012_1221_235746pc213205


 アジア、新市街、旧市街・・・。深く異なる三つの街を併せ持つこの都市は、ビザンチン、コンスタンティノープル、イスタンブールと三度名称を変えてきた。

2012_1221_235835pc213207


 それは、取りも直さず三つの侵略によって成立してきたことを意味している。そして、異なった文明の衝突が、たぐいまれな新しい文化をも生み出してきた。この街が次の時代には私たちにどんなサプライズを準備しているのだろうか。

2012_1221_235930pc213212


 イスタンブールの最後の夜。

2012_1221_053742pc214676


 夜は時に、人々に対して回顧と展望の遥かな時間を提供してくれることがある。

|

« ハイダルパシャ駅・オリエント急行とアガサ・クリスティ | トップページ | 思いがけぬプレゼント “イスタンブール遊覧飛行” »

イスタンブール・トルコ」カテゴリの記事

夕景・夜景」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1035791/51472841

この記事へのトラックバック一覧です: ガラタ塔から見下ろすイスタンブールのブルーファンタジー:

« ハイダルパシャ駅・オリエント急行とアガサ・クリスティ | トップページ | 思いがけぬプレゼント “イスタンブール遊覧飛行” »