紀元前の人々との対面ーカピトリーニ美術館
カンピドリオ広場にあるカピトリーニ美術館は、広場右側のコンセルヴァトーリ宮殿と左側の新宮とが一緒になって1つの美術館を形成している。1471年、教皇が持っていた古代彫刻をラテラーノ宮からここに移して公開したのが始まりで、いわば世界最古の美術館ともいえそうだ。コンセルヴァトーリ宮殿側に入場口がある。
この刺を抜く少年像は、紀元前1世紀ごろの作品。ごく日常の一般庶民の姿が実にリアルに表現されている。神話の英雄たちだけでなく、こんなさりげない風景も作品に仕上げた当時の作家のセンスと力量にびっくりする。
少し進むと広い中庭に出る。ここにあったのが巨大な顔。初めてキリスト教を公認したローマ皇帝コンスタンティヌス帝だ。強い意志が現れた顔だ。そばの女性と比べれば、大きさがわかる。
顔が大きければ手も大きい。
もちろん足も。330年、帝国の首都をローマからコンスタンティノープル(後のイスタンブール)に遷都するという大胆な政策で歴史を変えた人物だ。
こちらは古代の戦士像。
御
絵画部門にはカラヴァッジョ作品があった。女占師に手相を見てもらう若者。そんなふりをして指輪を抜き取る場面だ。無知な若者としたたかな女との組み合わせは、ラトゥールの「いかさま師」を思い出させる。
「洗礼者ヨハネ」。多くの絵はキリストに洗礼を施したヨハネを中高年の姿で描いているが、カラヴァッジョはごく普通の少年として描いた。彼独特の強いコントラスト表現がもう発揮されている。
廊下を渡って新宮殿に移動する。その途中、フォロロマーノの素晴らしい風景を見ることが出来る。この様子は次回のお楽しみ。
同美術館の宝ともいうべき「カピトリーノのヴィーナス」。2世紀ころの作品だ。このポーズは近年に至るまで様々なコピーが生まれている。
大理石だが、石とは思えないほどのすべすべした肌の質感も素晴らしい。
「エロスとプシュケ」。オリジナルは紀元前2世紀のギリシャ。ギリシャ神話のテーマとなった典型的な愛の姿として無数のコピーが造られている。
「瀕死のガリア人」。紀元前3世紀の傑作の摸刻。死に瀕した戦士が最後の気力を振り絞る姿を生々しく再現した。これが2000年以上前に造られていたこと自体がびっくりだ。
「ハトを抱く少女」。首を傾げた姿は、まるでダンスを踊っているようにリズミカルに見える。
対して。「円盤投げ」の戦士はさらに前の紀元前5世紀作。激しい動きの一瞬を切り取った緊張の形、盛り上がる筋肉表現など、素晴らしい。改めて古代彫刻の傑作群に圧倒された。
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