一見ハリウッド風!のトラーパニの聖母
ミステリの行進に先立って、トラーパニの街散策に出かけた。最初に訪れたのはトラーパニの聖母が祭られているアヌンツィアータ聖堂。主な観光名所はほとんど旧市街に集中している中で、この教会だけが約3キロ離れた新市街にあるため、まずはここを制覇してしまえば後は楽になるとの想定だ。
ホテル近くのタバッキで市内バスの切符を買い、新市街行きの21番バスを探した。ところがなかなか見つからない。バス停の路線図を見ていたら、21番よりもっと聖堂近くまで行く路線があるのに気付いた。それで急遽別路線(確か17番だったかな)に乗って聖堂に向かった。
聖堂は公園と隣り合わせ。公園に入ってみたら、園内にある入り口は閉まっている。隣接するヘポリ博物館で聞くと、聖堂へは公園外にある扉から入るとのことだった。
入ってみると、最初の空間は何にもないがらんとした場所。それで、その奥の部屋まで進んでゆくと。
ありました。トラーパニの聖母像。
ニーノ・ピサーノ作のこの像は、まるでハリウッドスターのような整った顔立ちだ。
大理石製で白くピカピカに輝いていて、市民からも特別に敬愛されており、私が行った時も参拝する市民が次々と訪れていた。
正面から像を見ながらお参りしていたら、地元のおばさんが像の裏側に回って手招きをしている。
ん?と思いながらも裏側に行ってみると、おばさんは聖母像の足元をさすりながら、「こうしてお祈りすれば幸せがやってきますよ」と教えてくれた。それで、その通りにしてお参りしてきた。でも、そこに「vietato toccare!(さわるな!)」って書いてあったんだけどね。
この聖母像は市民のとても強い信仰を集めており、8月の祭にはこの聖母像がここから旧市街にある大聖堂まで行列をして運ばれ、そこで一夜を過ごしてからこの聖堂に戻るという行事が盛大に行われる。
またサン・アルベルト礼拝堂には銀製のギラギラしたサン・アルベルト像が。この町の守護聖人だという。
この他、誰かの首を踏んずけちゃっている像や
天井には聖母被昇天などが飾られていた。
トラーパニの街はこんなふうに細長く岬が出っ張っているが、旧市街はその先端の方。今度はその最先端に出かけてみた。
これが、一番先端にあるリニーの塔。1671年に見張りの塔として建てられたもので、今は博物館になっている。ただ、ずっと閉館中とのこと。
塔の脇から裏側に回りこむことが出来る。
真裏に出ると、岩礁が延びていた。この岩礁の右側がティレニア海で、左側が地中海。つまり、スペイン、アフリカ、ギリシャなどへ広大な広がりを見せる地中海の一方のスタート地点がここだということだ。ちょっと感激!
思わずはるかかなたの未知の世界を想像してしまった。
ティレニア海側から見たトラーパニの街並み。右寄りに見えるドームが大聖堂だ。
そして、後日訪れるエリチェはあの山の頂上にある。それにしても、何とまあこの海の色の“深い青”!!
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コメント
gloriosaさん、こんばんは。
シチリアは行ったことがありますが、トラーパニは行ったことがありません。綺麗な街と教会があるのですね。
誰かの首を踏みつけているのは、大天使ミカエルの像なのでしょうか? ミカエルは天の軍勢の総帥で、長い剣やや槍を持っていて、普通は悪魔や悪竜を足で踏んづけているのですが・・・今回の像はリアルに人間に見えてしまいます
リニーの塔の博物館、開いていなかったら意味がないのではと・・思わず笑ってしまいました。
いつも美しい写真と文書、ありがとうございます。
投稿: omoromachi | 2015年5月14日 (木) 22時24分
omoromachi様
こんばんは。トラーパニは予想以上にきれいな街並みとごみ1つない清潔さで、びっくりしました。祭も盛大だったし、すっかり好きな街になってしまいました。あの像はやっぱりミカエルでしょうかね。どうみても天使には見えなかったので名前はなしにしておきました。
リニーの塔もそうですが、イタリアでは断りもなく閉まっている美術館、博物館がよくあるので、慣れっこになってしまいました。数年前には、フィレンツェの、あのウフィツィ美術館が無断で休館してしまい、残念な思いをしたことがあります。理由を聞くと、5月1日(メーデー)と3日(通常の月曜日の閉館日)がもともと休みだったので、館の職員組合が「連休を取りたいから2日も休みにしてくれ」と要求して休みになったのだとか。日本じゃあなかなかそんな要求は通らないのですが、さすがイタリア!ですね。
投稿: gloriosa | 2015年5月15日 (金) 20時38分