「ギリシャ都市の中で最も美しい街」-シラクーサへ

4月上旬の晴れた朝、シチリア西端の町トラーパニの港にあるバスターミナルから東端の町シラクーサへ、まさにシチリア横断のバス旅に出た。

朝10時、まずはトラーパニからパレルモへ。時々見え隠れするティレニア海を左に眺めながら2時間の旅。ちょうど12時にパレルモに着いた。直行バスはないため、ここで乗り換えだ。次のシラクーサ行きは午後2時発とのこと。
発着所は鉄道駅のすぐ横のため、駅前を少しぶらついた後、駅のバルでアランチーニをぱくついて時間をつぶした。
長距離バスの切符には乗客の名前が記入されることになっているようで、名前を聞かれた.「WATABE」と2度答えたが、切符に記入された名前は「VASABE」となっていた。イタリア語ではWはほとんど使われないので、そのせいか、あるいは私の発音がそれほどわるかったのか・・・。
シラクーサ行きのバスはほぼ満員。隣に座った中年男性はジェノヴァ出身ということで、「コロンブスはジェノヴァの人だ」など、ジェノヴァ自慢を結構聞かされた。

その間、雪を戴いた山の景色、

見事なエトナ山の威容、

さらにエンナの街並みなどを見ることが出来た。
シラクーサの到着は午後5時40分。待ち合わせ時間を含めると7時間40分の長旅だった。

さあ、シラクーサ。紀元前1世紀の哲学者キケロが「シラクーサはギリシャ都市の中で最も大きく、またすべての都市の中で最も美しい」と讃えた古代都市だ。
紀元前5世紀にはすでにオルティージャ島の中心にドーリス式のアテネ神殿が建立されている。その建設はギリシャのパルテノン神殿より数十年も早く、ギリシャ世界でも最も繁栄した地中海最大の都市として名を馳せていた。

この街の見どころは、大きく分けてオルティージャ島の旧市街と、ギリシャ劇場などの古代遺跡地区の2つ。まずはオルティージャ島に向かった。

この島は面積1平方キロほどの小さな島。でも、地中海社会の中でも特筆すべき輝かしい歴史を持った場所だ。そのきっかけはギリシャ人の進出。
BC8世紀、この地区に進出したギリシャ人たちは、まず北の港近くに神殿を造った。アポロン神殿だ。ドーリス式のシチリア最古となる神殿だった。(近年のギリシャは借金まみれの残念な国になってしまったが、昔は全然違っていたようだ)
その遺跡がまだ残っている。今ではブティックなどが立ち並ぶ島のメインストリート・マッティオッティ通りのスタート地点あたりにある。その後、ここにビザンチン教会、アラブのモスク、ノルマンの聖堂など、支配者が変わるごとに異なる役割を担いながら、今日に至っている。

本来ならマッティオッティ通りからドゥオモに行くのが正規のルートなのだろうが、あえて裏通りのカヴール通りを進んだ。B&Bのオーナーが、「カヴール通りは風情があるよ」とアドバイスをくれたからだ。

ものの10分も歩くと、広場が見えてきた。ドゥオモ広場だ。

両側の建物が広場をすっぽりと取り囲む形になっている。

その中心にあるのが大聖堂。先ほども触れたように、2500年前にはアテネ神殿として建てられた建築が、今はキリスト教の教会に生まれ変わっている。神殿当時は東側が正面だったが、キリスト教会に生まれ変わってからは西側が正面と、180度方向転換してバロック様式の華やかな建物になっている。奥に見えるのはサンタルチア・アッラ・バディア教会。

広場を囲むのは、大聖堂の北隣りにセナトーリオ館、南に大司教館、対面にはベネヴェンターノ館。晴れやかな大劇場の舞台に立ったような高揚感を感じさせる美しい広場だ。
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コメント
グロリオーサさん こんばんは
シチリアの旅、楽しく読ませて頂いています。
シラクーサの街、あまり予備知識もなく、ブラブラと歩いていたら、道路横の壁の一部が、横穴の墓地(ネクロポリス)になっていて、それが生活の中に溶け込んでいるのに驚いた記憶があります。
シチリアの歴史の深さに驚いた記憶がよみがえってきました。有難うございます。
投稿: Khaaw | 2015年7月16日 (木) 23時46分
khaaw様
コメント有難うございます。シラクーサの町はあちこちに「紀元前」のものや物語が転がっているので、本当に油断できない町でした。そんな中に身を置くと、今まで考えてもいなかった歴史にいつの間にか興味を持っていたりしていました。非日常空間=それがまた、旅の面白さですよね。
投稿: gloriosa | 2015年7月17日 (金) 20時07分