森美術館「シンプルなかたち展」-インスタレーションとノスタルジア
先日、六本木ヒルズにある森美術館に行ってきました。展覧会名は「シンプルなかたち展・美はどこからくるのか」。その中で、写真撮影が可能な3つのインスタレーションが面白かったので、紹介したいと思います。
以下の写真はすべて「クリエイティブ・コモンズ表示ー非営利-改変禁止2・1日本」ライセンスでライセンスされています。

オラファー・エリアソン「丸い虹」
ゆっくり回転するプリズムの輪に光を当てている。その光線と反応して、奥の壁には様々な形が作られ、変化し、消えては生まれる。

それも一つとして直線はない。円になり、αになり、∞になる。

時にその曲線が、淡く虹の一辺と化すが、それも一瞬。息つく間もなく消えさる。

1つとして同じ形は再現しないように見えて、

でも、いつしかまた、さっきの形が帰ってきているようなデジャブー。
ふと、幼いころ母に聞いた桜の話を思い出した。
「桜って、早く咲かないかなあ、と、待って、待って。
やっと咲いたと思ったら、あっという間に散ってしまう。本当に儚い。・・・・
でもね。その桜の木は、あなたが生まれる前から毎年ずっと花を咲かせてきたし、
多分、あなたが死んでしまった後でも、春になるとちゃんと、花を咲かすんだよね」。

アンソニー・マッコール「円錐を描く線」
まっ暗い部屋に、1つの光源からまっすぐに光が放たれる。

その光は、正面近くから見ると、円錐のように立体感を持って広がっているが、

光源側からだと、壁に映る像は、半円でしかない。

その空間には青い霞がたなびき、

また、角度によっては光が途切れてしまう瞬間もある。光線が強いだけに、見ているうちに自らの体も、浮遊するちりのような存在に思えてくる。
初めて映画館に入り、ふと後ろを振り向いたときに目に入った、青い光。
後方からスクリーンに向けて伸びていた光は、確かにヒーローを運んでくる光だった。
ヒーローの活躍に心を躍らせた、ポップコーンのにおいのする、映画館のあの空間。

大巻伸嗣「リミナル・エアースペースタイム」
透き通るような軽い布がある。

地上のいくつかの場所から吹き出す風を受けて、ゆっくりと空中に浮き上がる。ここにも、あるのは曲線のみ。

布が浮上すると、奥に見えていた大都会のビル群がかすんでゆく。

風をはらんで、布の上昇の勢いが増し、

でも、舞い上がった布の下から、また大都会が姿を現す。
田舎の町で育った子供のころ、本とテレビでしか知らなかった大都会。
大人になって、そこに住み、憧れだった街が決して美しいものではないことを知らされた、苦い思い出。
そしてまた、大都会での様々な出会いが、年輪として人の心に積み重なることを、知り始めたこのごろ・・・。
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