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2015年10月

パレルモの変わった風景巡り・・・パレルモ⑬

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 パレルモの街では、いくつか面白い場面に出会った。そんなあれこれを紹介しよう。

 自転車屋通り。市中心部のマグエダ大通りから少し西に入った通りには、自転車がずらりと並ぶ道があった。

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 ここには何件もの自転車屋がまとまっているらしい。

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 また、別の通りでは、金物を扱う店が。あらゆる日用金物をずらりと並べていた。

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 ポリテアーマ劇場近くの広場を通った時に出会った、アフリカ系住民の歌う集会。日曜日ごとに集まって踊り歌っているとか。

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 ジェズ教会からの帰り道、こんな大きなイラストが壁一面に描かれていた。なんの怪獣?

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 あちこちで見かけたのは観光馬車。馬たちがなぜかみな帽子をかぶっていた。馬が日よけを要求したわけでもないだろうに・・・。

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 ヤシの木はどこででも見かけた。やっぱりシチリアは南の島!

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 ドメニコ教会前の広場では、路上バンドが強烈なビートを響かせていた。

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 夜の通り。最後の夜、夕食後に散歩した道。街の中心部なのにとても静かで、かといって危険な感じもまったくしなかった。

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 この辺は二階部分がせり出して宮殿のような造り。

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 モンレアーレに行った時、コンカドーロと呼ばれるパレルモを見下ろす素晴らしい景色の見える高台で、そんな景色は見飽きたとばかり、べったりと寝そべっているワン公2匹と出会った。やっぱり犬は犬。

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 と、思ったら、すぐ近くの広場では犬たちと同じ格好でお昼寝中の女子2名に遭遇。犬も人もそうは変わらないものかも・・・。




















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さまざまな様式が混在するカテドラーレ・・・パレルモ⑫

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 カテドラーレ、いわゆる大聖堂はヴィットリオ・エマヌエーレ通りの、パレティーナ礼拝堂への途中にある。創建は1184年だが、今日まで何度も改修を重ねてきたため、イスラム、ノルマンなど様々な様式が複合的に組み合わされている。

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 中央の丸屋根は18世紀後半と、比較的近代に建築されたものだ。

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 内部はかなり広い。中でもすっぽりと開いたクーポラの丸い空間が印象的だ。

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 主祭壇の前に下がるランタンが面白い。

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 奥の方に銀製の聖遺物箱。守護聖人ロザリアのものとか。

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 キリスト磔刑像。それを見上げる人たちがいる光景は、意外に珍しい。

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 貴重なラピスラズリを使った、秘跡の礼拝堂。

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 こちらは聖母子像。ふんだんに金を使った装飾がまぶしい。

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 と思ったら、こちらは銀製の聖母像。

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 廊下からは、最奥部の方はかすんでしまう感じだ。

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 天井には、部分的に昔のモザイク画が残されていた。

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 外に出てきた。本当によい天気。

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 年代の違う塔が並んで立っているのも、パレルモならではの風景。

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 巨大な山車のようなものが庭にあった。祭りか何かの時に使われるものなのだろう。






































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モンレアーレ大聖堂にはアダムとイヴも・・・パレルモ⑪

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 モンレアーレ大聖堂の左右の壁面には、新約、旧約の聖書の物語が描かれている。旧約聖書、創世記の物語を順序に見て行くと、まずはイヴの誘惑。下段にはイサクの犠牲の絵も。

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 こちらは、カインとアベル。

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 となりは楽園追放。アダムとイヴがエデンの園から追い出されてしまう。

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 ノアの方舟。船には家畜たちも積み込まれている。

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 別の壁面には、キリストの物語。庶民を救済するキリストの姿。

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 1つの壁面に沢山の場面が描かれた場所。中段右側には最後の晩餐の場面が見える。

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 壁面だけではない。柱頭にも細かな細工がなされているのを見つけた。

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 これも何かの物語を表現しているのだろうか。

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 あまり上ばかり見上げていて、首が痛くなってしまった。外に出ると、出口売店わきにこんな大きな像があった。これは何だろう?

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 大聖堂裏側に回った。正面と違って、後陣外壁はアラブノルマン様式の見事な造形が見られる。

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 独特な装飾は、他の地域ではなあれかなか見られないものだ。

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 そして、この高台から見下ろせるのがコンカドーロ。黄金の盆地と評されるパレルモの街並みだ。広々と、強い日差しに輝く盆地の表情は、実に美しい。























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モンレアーレ大聖堂の巨大なモザイクを見る・・・パレルモ⑩

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 ヨーロッパへの旅から帰ってきました。当面はシチリアの連載を継続しますが、その後、新しいヨーロッパの風景をお届けする予定です。よろしくお願いいたします。

パレルモをしのぐ大規模なモザイクがあるというモンレアーレに出かけた。バスはパレルモ中央駅前のローマ通り四つ角から発車する。ただ、停留所の標識も何もない。ホテルの人間に聞いて行ったのでどうにか分かったが、バスが来るまでは不安が残った。

 出発すると、猛烈な混雑状態の道路を断続的に発停車しながら進んでゆく。しかも。両側には、無法地帯のように乱雑に車が駐車してあるので、なかなか進まない。

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 1時間近くかかってようやくモンレアーレ到着。だが、停留所からすぐに大聖堂がある訳ではなく、たまたま同乗していた観光客グループの後についてようやく大聖堂に辿りついた。

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 正面はフランスのゴシック建築のような圧倒的な迫力がある訳ではないが、一旦中に入ると絢爛豪華な“楽園”が待っていた。

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 後陣中央に大きく堂々と入館者を迎え入れるのはキリスト像。ここは非常に大きいのだが、その一番手前から見てもキリスト像の大きさが強烈に目に飛び込んでくる。

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 このモザイク像は祝福を与える全能の主(パントクラトール)と呼ばれる。顔の大きさだけで3m、全長7mにもなる大きさだ。衣装の豪華さ。どことなく優しさを感じさせる表情に見える。

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 キリストの下には天使と使徒たちに囲まれた玉座の聖母子。

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 そして、その下には諸聖人たちが描かれている。

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 パレルモの王宮にあるパラティーナ礼拝堂は、交差部にドームがあったが、ここは後陣までさえぎるものがないため、聖堂に入ると同時に一直線にキリスト像と対面することになる。

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 この大聖堂の建設は1174年。1132年に着工したパラティーナ礼拝堂の少し後になってグリエルモ2世が命じた建物だ。

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 12世紀ころのシチリアはキリスト教を信仰するノルマン人の支配が始まっていたが、西部には多くのイスラム教徒が住んでおり、こちらを改宗させようとの大目的で、この建築に精力を注いだといわれている。

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 パラティーナ礼拝堂完成の実績があったことから、この大聖堂内陣のモザイクはさらに大規模で完成度も高い水準を誇っている。モザイク画の総面積は6340m。イスタンブールのアヤソフィアに次ぐ世界最大級の規模になっている。

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 その建設を命じたグリエルモ2世がキリストに祝福を受ける画もさりげなく描かれていた。

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 ノルマン王国には、様々な文化的背景を持つ人々が入り混じっていた。もちろんノルマン人はもともと他所者だし、アラブ、ビザンチン、ローマなど、この地には何度も他地域から来た支配者が入れ替わってきた。このシチリアがちょうど地中海社会の文化圏の境目になっていたということなのだろう。

 ただ、ノルマン王国は異文化を排除することはしなかった。それによって初めてこうした独特で壮麗な文化が生まれたのだろう。



































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白亜の空間で展開されるキリストとマリアの物語。サンタチータ祈祷堂・・・パレルモ⑨

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 パレルモ最大の彫刻家ジャコモ・セルポッタの代表的作品を見るために、ロザリオ・イン・サンタチータ祈祷堂に向かった。パレルモに入ってから彼の作品は何度かお目にかかったが、サンタチータが一番!と聞いて、やってきた。

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 主祭壇の横が入り口で、入ってみると両面の壁すべてを細かい彫刻が覆い尽くしていた。

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 左右の壁は聖書の物語。キリストの生涯を描いた彫刻がぎっしりと並ぶ。まずはキリストの懐妊が告げられる「受胎告知」。

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 妊娠を知ったマリアがエリザベートを訪ねる。

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 キリスト誕生の瞬間。このように1つ1つの物語が、枠に収められたように仕切って展示されている。 

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 神への報告。神殿奉献。

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 突然時は過ぎて、キリスト教は邪教とされてキリストは逮捕され、鞭打ちにあう。

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 自らが吊るされる十字架を担いでゴルゴダの丘へ向かう。

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 ついにキリストは磔となってしまう。

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 だが、その2日後キリストは復活する。

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 聖母マリアは天に昇り、冠を戴く。

 このように、波乱万丈の生涯を1つ1つ視覚化して分かりやすく像で見せている。その仕上がりが見事だ。優雅で軽快なタッチ。それに加えて素材の石の、薄くピンクに色づいた輝くような白。見入っているうちにあっという間に時間が過ぎて行った。

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 聖母戴冠の下には、レパントの海戦も描かれていた。

 こんなにも清廉な空間はそう滅多にないだろうと思わせるほど。しかも見学者は私一人という幸運な時間を、白亜の空間で味あわせてもらった。

 その後、隣にあるサンタチータ教会に回った。が、ちょうど閉館の時間だったらしく,司教さんがまさに門を閉めようとしていた。

 ところが、数人の中年女性が私を追い越して教会に入ろうとした。

 「もう、閉館ですよ」。「何言ってるの。私たちははるばるローマから来たんだから、少しでいいから見せてちょうだいよ」。

 ご婦人たちの勢いに押されて、司教さんは「じゃあ、ちょっとだけ」と門を開けてくれた。

 ご婦人たち、わたしを振り向いて「ジャポネーゼも一緒に、ね」。

 おかげで私も教会に入ることが出来た。

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 ここもセルポッタによるスタッコ装飾の礼拝堂。

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 ただ、こちらは素材が違うのか、茶色っぽい色彩だ。

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 天井には「聖母被昇天」の絵がのびやかに描かれていた。

 本来なら見ることが出来なかったものをしっかり見ることが出来たのも、力強いローマのご婦人たちと寛容な司教さんのおかげ。感謝、感謝です。

 シチリア編連載の途中ですが、明日から旅に出ますので、半月ほど連載はお休みします。帰国後はまたシチリアの続報、そして新鮮なヨーロッパの風景をお届けしたいと思っています。

 



































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