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白亜の空間で展開されるキリストとマリアの物語。サンタチータ祈祷堂・・・パレルモ⑨

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 パレルモ最大の彫刻家ジャコモ・セルポッタの代表的作品を見るために、ロザリオ・イン・サンタチータ祈祷堂に向かった。パレルモに入ってから彼の作品は何度かお目にかかったが、サンタチータが一番!と聞いて、やってきた。

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 主祭壇の横が入り口で、入ってみると両面の壁すべてを細かい彫刻が覆い尽くしていた。

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 左右の壁は聖書の物語。キリストの生涯を描いた彫刻がぎっしりと並ぶ。まずはキリストの懐妊が告げられる「受胎告知」。

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 妊娠を知ったマリアがエリザベートを訪ねる。

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 キリスト誕生の瞬間。このように1つ1つの物語が、枠に収められたように仕切って展示されている。 

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 神への報告。神殿奉献。

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 突然時は過ぎて、キリスト教は邪教とされてキリストは逮捕され、鞭打ちにあう。

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 自らが吊るされる十字架を担いでゴルゴダの丘へ向かう。

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 ついにキリストは磔となってしまう。

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 だが、その2日後キリストは復活する。

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 聖母マリアは天に昇り、冠を戴く。

 このように、波乱万丈の生涯を1つ1つ視覚化して分かりやすく像で見せている。その仕上がりが見事だ。優雅で軽快なタッチ。それに加えて素材の石の、薄くピンクに色づいた輝くような白。見入っているうちにあっという間に時間が過ぎて行った。

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 聖母戴冠の下には、レパントの海戦も描かれていた。

 こんなにも清廉な空間はそう滅多にないだろうと思わせるほど。しかも見学者は私一人という幸運な時間を、白亜の空間で味あわせてもらった。

 その後、隣にあるサンタチータ教会に回った。が、ちょうど閉館の時間だったらしく,司教さんがまさに門を閉めようとしていた。

 ところが、数人の中年女性が私を追い越して教会に入ろうとした。

 「もう、閉館ですよ」。「何言ってるの。私たちははるばるローマから来たんだから、少しでいいから見せてちょうだいよ」。

 ご婦人たちの勢いに押されて、司教さんは「じゃあ、ちょっとだけ」と門を開けてくれた。

 ご婦人たち、わたしを振り向いて「ジャポネーゼも一緒に、ね」。

 おかげで私も教会に入ることが出来た。

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 ここもセルポッタによるスタッコ装飾の礼拝堂。

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 ただ、こちらは素材が違うのか、茶色っぽい色彩だ。

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 天井には「聖母被昇天」の絵がのびやかに描かれていた。

 本来なら見ることが出来なかったものをしっかり見ることが出来たのも、力強いローマのご婦人たちと寛容な司教さんのおかげ。感謝、感謝です。

 シチリア編連載の途中ですが、明日から旅に出ますので、半月ほど連載はお休みします。帰国後はまたシチリアの続報、そして新鮮なヨーロッパの風景をお届けしたいと思っています。

 



































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