ベルリン絵画館で見たフェルメールの“微笑み”・・・ベルリン⑬
ベルリン絵画館はボッティチェリ以外にも珠玉の作品が揃っている。
特別展会場から常設展フロアに移動すると、観客数はかなり少なくなったが、展示作品の充実度は素晴らしかった。
中でも貴重なのはフェルメールの2点。「真珠の首飾りの女」は、後期の代表的作品。左手の窓から、柔らかい日差しが差し込んでいる。フェルメールお得意の構図。しかし、他の作品と大きく異なるのは、少女の表情だ。
手に持った真珠の首飾りを自らの首にかけようとしている。その顔には、はっきりと喜びの微笑みが浮かぶ。
たぶんずっと前から欲しかった真珠のネックレス。初めて自分のものとなる高価なアクセサリーを、いよいよ身に着ける恍惚の瞬間が、今訪れる。
ほとんど表面には感情を表さないフェルメール作品の主人公たちの中で、彼女だけは例外のように心弾む気持ちを発散させている。
そんな状況を裏付けるように
、室内に広がる空気がうっすらと金色に染まっているのだ。充実の金に包まれて、喜びが今にも爆発する一歩手前にいる少女の姿ーーーそんな風に私には見えた。
アメリカの作家シリ・ハストヴェットは、この絵を「受胎告知」に例えた。救世主キリストを身ごもった喜びの表情。そんな見方も面白い。
もう1つのフェルメールは「紳士とワインを飲む女」。手前にある椅子の上の楽器は、愛の暗示という。何やら奥深い背景を想像させる。
個人的好みから挙げてゆくと、ティツィアーノの「ヴィーナスとオルガン奏者」に出会えたことがうれしかった。ヴェネツィア派の巨匠の絵はイタリアで何度も見てきたが、この絵にも満足。
ラトゥールの「豆を食べる人々」。ろうそくの光だけによる強いコントラストの絵が多い17世紀のフランスの画家だが、この絵はそれとはまったく違ったリアリスティックな作品。
教会で施しを受けたであろう豆を食べる貧しきこの2人の老人の姿に、敬虔な祈りの姿を思わせる。
カラヴァッジョは「勝ち誇るアモル」。数年前ローマで”カラヴァッジョ巡礼”をしたときを思い出す。ローマで見た「ロレートの聖母」を初めとする作品群には
及ばない感じだが、あの時の強烈な印象を思い出させてくれた。
ルーベンス「アンドロメダ」。相変わらずルーベンスそのものの豊満な肢体。
ラファエロもしっかり。「コロンナの聖母」は、あのラファエロにしては
ちょっと手を抜いたかな、といった印象。
それよりは、この「聖母子と聖人たち」のほうが気持ちが乗っているような感じがした。
ドイツルネサンスの巨匠ルーカス・クラナハ(父)の作品も充実していた。ヴィーナスとキューピットの組み合わせの2点。
エロティックにさえ見える表現で描き切るヴィーナスの姿は、彼独特の魅力を湛えている。
ルーベンスやクラナハの後で、ふっと目に入ったこの優しい木彫作品が、なんか特別に心を和ませてくれた。
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