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森鴎外記念館で、直筆の手紙に娘への愛を感じる・・・ベルリン㉕

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 ベルリンにある森鴎外の記念館に出かけた。
 フリードリッヒシュトラーセ駅でSバーンを下車、シュプレー川を越えてコリエン通りを進むと、ベージュ色のビルが見えてきた。ビルの壁に大きく日本語で「鴎外」と書いてある。ドイツ語だらけの街中に、これだけ大きな日本語があるのは、なかなか珍しい風景だ。
 早速文字の下のドアを開ける。「あの~、森鴎外の・・・」と言い出すや否や、中にいたドイツ人が笑顔で「ノー、ノー」 とゼスチャーして、ついて来いという。
 彼は、いったん外に出て角を曲がった建物横の階段に通じる入り口に、慣れた感じで案内してくれた。こちらが正しい入口。少し引っ込んでいるため、間違って彼の店に入ってしまう日本人が多いのだろう。
 階段を上って2階へ行くと、日本人のスタッフが出迎えてくれた。
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 入ってすぐのスペースには、ヨーロッパで翻訳された鴎外作品の一部が陳列されていた。
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 鴎外は、この建物に下宿していたことはわかっているが、どの部屋だったかは確定していないという。ただ、当時の部屋の様子が再現されていた。
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 留学中に読んだ書籍が本棚に並ぶ。
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 遺言を銅板にして飾ってあった。国や公的な表彰などは一切断ってくれといった潔白な人柄がにじんだ遺言だ。
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 これはデスマスク?
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 映画化された時のスチール写真があった。篠田正弘監督の1968年の作品。
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 あらら、主人公の大田豊太郎役は郷ひろみが演じていたんだ!
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 「マリチャンニ」 と題された手紙があった。マリチャンとは後に作家になった森茉莉のこと。
 「試験が予定通りに行かなかったのは困るけど、何時かはきっと出来るでしょう。お客さんがあった時の話はよく分かりました」など、娘を気遣う優しい心情があふれた内容。
 茉莉は、鴎外と2人目の妻志げとの間に生まれた長女。彼の溺愛ぶりは有名で、娘が16歳になるまで自分の膝の上に載せてかわいがっていたという。
 茉莉は、のちに「父の帽子」で日本エッセイストクラブ賞、「甘い蜜の部屋」で泉鏡花文学賞などを受賞している。
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 軍医総監医務局長にまでなった鴎外の軍服姿。いかつい印象だが、やはり娘に対する愛情は、普通の父親と同じなんだな、と納得。
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 見学の謝礼を述べて帰りがけに階段を見ると、手すりに沿って言葉が書いてあった。
「げに東に還る今の我は、西に航せし昔の我ならず」。
 読んでいくと、それはまさに処女作「舞姫」の一節だった。
 
 

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コメント

ベルリンには森鴎外記念館があるのですね。
部屋の様子からは、留学中の生活の空気が伝わってくるようです。
娘の茉莉を溺愛していた話は有名なようですね。
森茉莉の作品もずいぶんいろいろ読みましたが、
「贅沢貧乏」や「私の美の世界」など、独特の世界観のエッセイが好きです。

投稿: hanano | 2016年4月14日 (木) 19時30分

hanano様

 森鴎外記念館では、日本人のスタッフの方がいて、久しぶりに日本語で話が出来てリラックスできました。それと日本の新聞も見せてもらいました。
 ローマやパリなどに比べると、ベルリンは日本人の観光客が少ないので、滞在中は日本の情報に接する機会がなく、帰ってくるとすこ~しだけ異邦人になったような気がしていました。

投稿: gloriosa | 2016年4月15日 (金) 21時09分

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