南イタリア

町歩き・意外な発見に満ちていたーチステルニーノ⑧

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 祭の翌日、改めてマトリーチェ教会に入った。もう、静けさが戻っており、聖母子像は静かにたたずんでおられた。

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 幼児キリストの足。ぷくぷくしてかわいい。

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 壁面にはキリストの物語の絵が架けられていた。中央はピエタの絵。

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 旧市街の中ほどにあった小さな教会。多分サンタルチア教会。清々しい小ささだった。

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 ある日、ホテルの駐車場にあった車にこんな張り紙が。「おめでとう!コジモとマリアが今日結婚するよ!」

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 夕方、ホテルに戻ったら、ちょうどその二人の結婚披露宴が終わるところだった。会場から出てくる新婚カップルに撮らせてもらった、ジャスト・マリードのツーショット。

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 そういえば、別の日に中央広場でも新婚カップルを見かけた。

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 みんなの拍手の中で突然新郎が新婦の太ももにキス!思わず手元がぶれてしまった。

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 町の壁にはこんな落書きが・・・。意訳すると「あなたがいないと、とても寂しい。愛してるよ!」  この町は愛の町なんだ。

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 ヴィットリオ・エマヌエーレ2世広場の目印、時計塔。この広場は滞在中何十回通ったことか。

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 この広場で行われていたブラスバンド演奏を聴いていた肩車の少女。髪の毛が金色に輝いていた。

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 イトリアの谷越しに見える隣町・マルチナ・フランカ。

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 隣町に行くにはこの列車に乗るのだが、車体が見事に落書きで埋め尽くされていた。ここまで書くか!と思うくらいすざまじい。ただ、この地方は私鉄スッドーエスト線によって繋がっている。アルベルベッロやレッチェなどにもこの線で行ける。しかし、日曜日にはご注意を。日曜日は列車は全面運休で全く走りません。

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 新市街で、夕陽に照らされて長~く影を延ばしていた自転車。全く突然だったが、子供の頃見た故郷の夕方を思い出した。

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 トゥルッリの向こうの夕陽が沈もうとしていた。ちょうど2つのトゥルッリの間にすっぽりと太陽が挟まった。

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 夕暮れと白いトゥルッリ。その対比がまぶたに焼き付く光景だった。

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 夜見かけたマリア像。広場の片隅にひっそりと置いてあった。

 この町は意外な発見に満ちていた。

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真夏の野外ファッションショーーチステルニーノ⑦

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 チステルニーノ滞在最終日、朝食会場で、すっかり仲良しになったホテルのウエイトレスさんから1つの情報をもらった。「今晩、町の広場でファッションショーがあるけど、行ってみたら」。イタリアのショーってどんなものか、出かけてみることにした。

 ただ、始まりは午後10時。結構遅いが、南イタリアの夏の夜は遅いのが普通だ。レストランなどは午後9時になってようやく開店する所もあった。場所はガリバルディ広場。サンクイリコの祭りのフィナーレが行われた所だ。

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 その広場に通じる階段も舞台の一部に組み込まれており、まず、大柄な美人が降りてきた。彼女がショーの司会者だ。

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 よくテレビにも出演するタレントだという。

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 スタートは白いドレス。みんな階段から降りてくる。

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 この階段で、舞台でウオーキングするモデルさんが戻ってくるのを待って、次のモデルが舞台に行くというシステムだ。

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 白い清楚なドレス。

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 モデルさんは皆かなり若い人たち。

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 途中でサングラスファッションも入っていた。

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 モデルさんは10人くらいが交代で登場した。

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 ヴェネツィアのカーニヴァルを思わせる仮面姿も。

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 冷たい美人風。

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 華やかな服装のモデルさんたちが階段に勢ぞろいすると見事な風景になる。

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 夜の野外なので、背景は真っ暗な夜空になる。

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 良く見ると、この服は紙で出来ていた。

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 最後、ウエディングドレスでショーは幕を閉じた。

 ショーが終わったのは夜中の12時過ぎ。旧市街からホテルまでは歩いて20分以上かかる。賑やかな通りを出ると、途中は人気のない淋しい道が続く。そこへ後ろから来た車が止まった。そして私に声をかけた。「よかったら、乗って行かない?」

 振り向くと30代前半の若い女性。有難い、でも真っ暗な夜道をカメラを担いで歩く、短パン姿の不審なアジアのおじさんに、どうして声をかけてくれたのか?

 彼女は笑いながらこう答えた。「町のみんなが、あなたのことを知ってますよ。だって、目立つもん」。

 ホテルに戻って、フロントにも聞いてみると「この小さな町に1週間も滞在して町を歩き回っている日本人なんて、めったにいないから、すぐに知れ渡ってしまいますよ。それに、お客さんは悪人には見えないですからね」と、説明してくれた。その夜はなんか幸せな気分で熟睡した。

 

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夜の旧市街を幻想のヴェールが包むーチステルニーノ⑥

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 旧市街は夜になると、また違った装いを見せる。通りの要所要所に照明が配置されており、その灯りもオレンジの柔らかく暖かい色彩で家々の壁を彩る。また、あちこちにあるトンネル状のポルティコが、その色彩に微妙な明暗をつけるため、幻想的とも思える奥深いグラデーションが自然に形成されて行く。

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 夜の散歩を始めたのが日没直後。この頃だと、まだ空の明るさが残っている。

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 しかし、次第に街路には闇が忍び寄ってきて、

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 空の青が濃くなり、それにつれて街灯の明るさが際立ってくる。

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 また、建物全体が暖色に包まれて行く。

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 歩きまわって通りかかった細い路地の奥に、テーブルとイスが並んでいるのが見えた。

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 行ってみると、そこはレストランのテラス席だった。それじゃあ、と夕食。南イタリアの郷土料理でもあるオレキエッテは絶品だった。

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 細い路地から出ると、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世広場。コンサートの最中だ。

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 広場の舞台の反対側には、ランドマークの時計塔がライトアップされている。

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 アンティークの店を見つけた。とっても良い雰囲気。

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 すぐ近くの通りはピンクの照明。

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 イルミネーションの飾られた通りも。

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 かと思うと、こちらは黄色っぽい照明が付けられていた。

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 でも、やっぱりこんなオレンジの灯りがこの町にはよく似合う。

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 昼に通ったときには猫がいた階段。もうすっかり深い青色の空になった。幻想の小路巡りもこれでおしまい。さあ、ホテルに戻ろう。

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トゥルッリと町の優しい人々ーチステルニーノ⑤

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 チステルニーノの周辺にはトゥルッリがあちこちに点在している。アルベロベッロもすぐ近くだが、あの町だけではなしにイトリアの谷一帯にこの特異な建築が広がっていることを初めて知った。

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 そこで望遠レンズを付けて遠くのトゥルッリを撮影しようと歩きまわった。

 煙突が飛び出ているものがあるかと思えば・・・

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 てっぺんの丸い飾りのない素朴なものもあった。

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 南イタリアの太陽は強烈なので逆光になるとシルエットがより強調される。

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 とんがり屋根が並ぶと、まるでオブジェのようだ。

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 と、下の方で手を振る老夫婦の姿が見えた。挨拶すると、「こっちにいらっしゃい」と呼びかけている。降りて行ったら、トゥルッリの中を見せてくれるという。

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 中は1つのとんがり屋根で1つの部屋を形成している。

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 でもゆったりとした空間になっており、夏でもひんやりしていた。ご夫婦はローマ在住だがここに家を買って夏の間だけ避暑に来るという。孫たちの写真が飾ってあってほのぼのとした内部だった。ただ、望遠レンズだけで出かけてきたので、内部全体が写真に収まらないという残念な結果になってしまった。

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 夕方、また白い迷宮巡りをしていたら、若い女性に呼び止められた。「どちらから?」「カメラマンですか?」「私も写真を撮っているんですよ」。ちょうどこのポルティコの前の家が彼女のアトリエだった。

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 アトリエに入ってみると、居心地の良い空間に作品が飾ってある。とても新鮮で前衛的なタッチの作品が並んでいる。

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 「ワインはいかが?」「有難う」。しばしこの町の迷宮のような造りの面白さに話が弾んだ。彼女の名前は偶然だがまるで日本人のように「ヨーコ」というのだという。隣町出身だがアトリエはこの町に構えた。

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 まるで何年も前からの友人のように楽しい時間が過ぎた。「有難う」「またいつか」。彼女の作品を日本でも見ることが出来るように成長、活躍してくれれば、などと思いながらアトリエを後にした。

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 また、広場に向かっていると、後ろから私を呼ぶ声がした。振り返ると、バイクに乗ったサングラス、ジーンズ姿の青年が、女性を乗せて手を振っている。「だれ?」一瞬戸惑ったが、良く見ると、彼は私がこの町に着いた時ホテルまで車で送ってくれた青年だった。「どうだい、楽しんでるかい?俺たちはこれからデートだよ!」。すっかり友達として扱ってくれている。そんな何気ない応対がこちらの気持ちを温かくしてくれる。

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 帰り道、いつも寄る店に入り、水を買う。毎朝ここに寄っていたが、3日目からはもう店のおばちゃんはすっかり打ち解けて、いろいろなアドバイスをしてくれた。「今日はどこに行くの?」「オストゥーニへ」「あそこなら中心広場のレストランのパスタが絶品だよ」などなど。おばちゃんは私の貴重な情報源になってくれた。

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 また、こんなこともあった。チステルニーノ滞在最終日の夕方、ホテルフロントに翌日朝のタクシー予約を頼んだ。ホテルから鉄道駅までは大きな荷物を持って歩くのは大変だし、この町にはタクシーが1台しかない。それで、事前予約をお願いしたのだった。

 だが、翌朝チェックアウト時に聞くと、予約はしていないという。「何で?」ちょっとムッとして言った。

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 対してフロントの女性はにこやかに答えた。「うちの従業員が送りますよ」。いつもルームキーの受け渡しで軽い会話を交わしていた彼が、自分の車で送ってくれるというのだ。

 最初から最後まで、この町の人たちは本当にフレンドリーで、この旅を格別に忘れ難いものにしてくれた。

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聖母子の帰還を迎える住民たちが広場を埋めたーチステルニーノ④


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 {聖母子像の帰還。広場は住民たちで埋め尽くされた}

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 祭の行列は町北側のサン・カタルド教会付近に差し掛かる。もうゴールが近づいてきたので、先回りしてガリヴァルディ広場に戻ることにした。

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 ガリヴァルディ広場は、ここで聖母子像を出迎えようという住民たちが続々と集まってきていた。広場の上の通路は全体が見通せる特等席なのか、もう人で埋まっている。

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 広場の一角には夜店が出ていた。子供たちはこちらの方が興味を引くようで・・。

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 ああ、聖母子像が広場に戻ってきた。イルミネーションの光が聖母のほほを照らして、くっきりとその表情が見えた。

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 広場中央に到着した。住民たちの間から自然に拍手が沸く。

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 司祭や町長らしき人たちが町の平安と幸せを祈るスピーチを始めた。手前には、昨日の夕方見かけた聖母子像が見事に描き上げられて路面を飾っている。良く見ると、まさにこの町の聖母子像を描いたもののようだ。

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 イルミネーションのラインを見つめているような聖母子像の後ろ姿が印象的。

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 教会に上る階段を数段上ってみた。高台になったので広場の様子が良く見える。広場を埋め尽くす住民たちの熱気がムンムンと漂ってきた。

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 イルミネーションも一段と輝きを増してきた。広場は平和なひとときを喜ぶ人たちの歓声に包まれている。何と和やかな祭りなのだろう。

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 そして、住民たちみんなが聖母子像を見つめるまなざしの、何と優しいことだろうか。

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 一瞬大きな音がした。見上げると花火が上がった。祭終了の合図だ。

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 聖母子像が階段を上がってきた。再び教会に戻って行く。

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 母子のほのぼのとした愛情の交歓を思わせる、素晴らしい像が私のすぐ横を通リ過ぎて行く。その瞬間、二人の会話が聞こえたような錯覚を覚えた。

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 像は教会内の、昨日までいた位置に納められた。また、1年後の出番を、この場所で静かに待つことになる。

 私は、決して華やかではないが心に沁みるような温かい祭の興奮を噛みしめながら、ハミングと共に教会を後にした。

  

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伝統の夏祭りが始まったーチステルニーノ③

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 さあ、いよいよ祭りが始まった。

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 イタリアの祭りはだいたい夕方から始まることが多い。ここの祭りも例外ではない。午後、ブラスバンドのパレードがスタートし、町民に祭が始まることを告げて回る。

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 午後7時、マトリーチェ教会でミサが始まった。

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 この町の祭は「サン・クイリコの祭り」と言う。流行したペストの終焉を、守護聖人であるサン・クイリコに祈願したのが始まり。木製の聖母子像を中心にして、ガリバルディ広場から旧市街の周囲の道を町民挙げて一周する宗教儀式でもある。

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 ミサの間、パレードを盛り上げる鼓笛隊の学生たちがスタンバイ。

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 ミサが終わった。行列を先導する白マントの人たちが教会から出てきた。

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 それに続いて、いよいよ主役の聖母子像が姿を現した。教会を取り巻く町民たちから一斉に歓声が上がった。

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 聖母マリアが我が子キリストを見つめ、キリストが母を見上げる。ほほえましくも神々しいくらいの光景が像に凝縮している。

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 さあ、パレードの出発。ブラスバンドの音が高らかに鳴り響く。

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 花飾りをあしらった神輿に乗せられた聖母子像が、街に繰り出す。

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 それを真剣な表情で見つめる少女たちの姿もあった。

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 大通りに出た。町民たちはこぞって家から出て行進を見守り、また像の後ろから、一緒に行進に参加し始めている。

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 どの角度から見ても、聖母子像はほほえましい姿をしている。

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 旧市街周辺道路を半周したところくらいか。しずしずと行列が進む。

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 大きな四つ角を曲がる。後方の木々の向こうには見晴らしの良いイトリアの丘が広がっている。

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 聖母子像の後ろにちょうど、子供を抱えたお父さんが見守る。親子の像がシンクロしているみたい。このころには続々と町民が行進に参加し、列の長さはスタート時の3倍以上に長くなっていた。

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祭のイルミネーションは丸の内ミレナリオのルーツ!?-チステルニーノ②

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 祭の前夜には街の主要な通りが、イルミネーションで華やかに飾られた。

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 サン・クイリコの祭りを翌日に控えた街では、マトリーチェ教会の周辺でイルミネーション用の装置設置作業が進んでいた。

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 中心となるのはアーチ型をしており、この装置全体に電球が取り付けられている。

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 ただ、教会前のイルミネーションは真ん丸型。

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 夕日が沈み、イルミネーションが点灯し始めた。

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 良く見ると回転木馬の店も出ている。このイルミネーションはどこかで見たような気がして、記憶を思い起こす。

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 そうだ、2000年ごろ、年末の東京丸の内仲通りで展開されたイルミネーション「ミレナリオ」にそっくりだ。街の人に聞いてみると、こちらではずっと前からこの装置を使っているとのこと。そういえば、丸の内ではイタリアから技術者が来ていた。つまり、この装置はイタリアがルーツだったようだ。

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 宵闇が広がろうとする空に、黄金のイルミネーションがよく映える。

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 旧市街の外周道路には、列柱のような背の高い装置があった。

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 マトリーチェ教会前ガリバルディ広場では、青年が路面に聖母像を描いている最中だ。

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 夕食を摂ろうとヴィットリオ・エマヌエーレ2世広場に行くと、ここもすっかり祭ムードが広がっている。

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 特設舞台ではバンド演奏の最中。

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 マトリーチェ教会のイルミネーションは点灯してみると、十字架を模したものだった。

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 帰りがけ、夜空一杯にイルミネーションが広がった。なんか幸せな気分!

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 これはチステルニーノとは無関係ですが、昨日は中秋の名月(旧暦8月15日)でした。しかもその日が満月と重なるという珍しい日だったので、月を撮ってみました。本当に真ん丸ですね。

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イタリア東南端・白い迷宮の街ーチステルニーノ①

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 今回から少し南イタリアの街を紹介しよう。スタートはチステルニーノ。といっても多くの人はご存じないと思うので、その位置から始めよう。長靴のような形をしたイタリア半島のかかとのあたりといった方がわかりやすいかも。プーリア州の少し内陸に入ったイトリアの丘の高台にある。海抜400m、アドリア海まで約15キロの地だ。

 私はローマからユーロスターで約5時間、そこからファッサーノに行き、その駅前からバスに乗って1時間かけて、やっとチステルニーノに到着した。この街を訪れようと思ったのは、イタリア建築史のエキスパート陣内秀信さんの本で紹介された“白い迷宮”という言葉に魅かれてしまったせいだ。

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 バスが到着したのはローマ通り。「ここがチステルニーノだよね」と運転手に確かめて下車してみたが、地図も持っていないし、方向が分からない。通りに停まっていた車に「○○というホテルはどっちの方角?」と訪ねてみた。荷降ろしをしていた彼は「ちょっと待って」と、荷降ろしを終えてから、私に向かって「車に乗りなよ」と話しかけた。えっ!どういうこと?

彼は笑いながら説明してくれた。「探してるホテルはそんなには遠くない。でもあんたは大きな荷物を持っているし、歩くには少し大変。だから俺の車で送ってやるよ」。有難い!

 南イタリアの旅はこうしてすこぶる良好な第一印象でスタートした。

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 チェックインして街の地図をもらい、旧市街(チェントロストリコ)まで歩いてみた。約20分。確かに荷物があると移動には大変かも。町の真ん中に旧市街があり、周辺に新市街が広がっている。その周辺にはアルベロベッロで有名なトゥルッリがあちこちに点在している。人口は1万人。旧市街には3分の1の人が住んでいるとか。

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 旧市街は壁に囲まれており、最初入口がわからず迷ってしまった。南北東の3か所にトンネルになった入口があり、そこをくぐると一瞬にして別世界が始まる。

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 道はほとんど短く折れ曲がっており、どう歩いても数10mで突き当たったりカーブしたりしている。だから見通しがきかない。家々はすべて石灰で真っ白に化粧され、見渡す限り白だらけ。

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 さらに、至る所に階段が付いている。それも手すりなし。むき出しの階段で石の家の壁伝いに上へ上へと伸びていたりする。

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 居住空間が広がるに従って上にスペースを継ぎ足したもののようだ。

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 それらが街にリズムを生みだしているように見える。

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 また、何か所ものアーケードが道の上に架かり、光と影のコントラストを見事に演出する。“白い迷宮”はまさにこの街を端的に表現する言葉だった。

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 この街の散歩は楽しい。歩いていて角を曲がると、おじいさんとおばあさんが路上で立ち話。

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 かと思うと、次の角では華やかなファッションの若い女性が現れる。

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 さらに進むと、ネコちゃんが階段上から私を珍しそうに眺めていたり、

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 かわいい男の子が「チャオ!」って挨拶してくれたりする。

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 壁にくくりつけの花壇と日光が造るオブジェも楽しい。

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 別の路地には花の絵がカンバスに架かっていたりもする。まるでハプニングの劇場のように次々予期せぬ風景が展開される町だ。

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 旧市街の中心にあるのがヴィットリオ・エマヌエーレ2世広場。旧市街で迷ってしまったらとにかくこの広場に戻ることだ。

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 広場には仮設の舞台が出来ていた。聞いてみると、あさってはこの町最大のサン・クイリコの祭りがあるという。よーし、絶対見るぞ!

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イスキア島3

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 翌朝、アラゴン城の日の出を見ようと、早起きして港に向かった。その途中、空を見上げるとほぼ真ん丸の月が西の空に沈もうとしていた。前日が満月だったのでこの月は十六夜の月。そんなきれいな月を地中海の島で見ることが出来た。

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 あちこちに灰色の雲があったけど、夜明けの模様はゆっくりと見ることが出来た。波打つ水面に揺れるオレンジが美しい。

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 こちらが昼のアラゴン城。ちょっと角度が違うとはいえ、同じ対象でも背景の光によってこんなにも違う姿を見ることが出来るのが面白い。

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 イスキア島の最高峰は788mのエポメア山。フォーリオ地区からのものだが、島周辺のどこからでもよく見ることが出来る。

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 そのエポメア山を隣りの島・プロチダ島から見ると、こんな風に少し傾いた形で見える。この地区からの夕陽は何度見ても感動的だ。

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 イスキアからナポリへの船から、プロチダ島のコリチェッラ地区の街並みが見渡せる。この島は「イル・ポスティーノ」という映画のロケ地となったことで知られるが、個人的にもとても好きな島の一つだ。

 イスキア島は保養地なので、ここのホテルではハーフ・ペンシオーネという制度があった。これは簡単に言えば一泊二食付の予約ができるもので、日本の旅館のような感じ。ヨーロッパではあまり多くはないと思う。宿泊先のホテルレストランで結構安く夕食が提供され、内容もちゃんとコース一式が出される。少々酔っても自分の部屋に直行できるということで、たっぷりとワインを楽しんだ次第でした。

 

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イスキア島2

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 アラゴン城を下りた後、今度は島の西端にあるフォーリオ地区を目指した。海辺に建つ教会とその背後に沈む夕陽を見るためだ。バスで約30分、なかなかにぎやかな街に着いて、教会の場所を雑貨屋のおじさんに聞いてみた。「サンタ・マリア教会はどこですか?」。これが大きな間違いだった。「サンタ・マリア教会は、あんたの横の教会だってそうだし、その向こうの教会だってそうだよ。あんたはサンタ・マリア・何教会に行きたいんだね?」そう、お気づきのようにサンタ・マリアと名付けられた教会は数え切れないくらいある。ヴェネツイアのサルーテ教会、フラーリ教会、ダヴィンチの最後の晩餐のあるミラノのグラツィエ教会、フィレンツェのデル・フィオーレ教会(ドゥオモ)、ローマのポポロ教会・・・・すべて頭にサンタ・マリアが付く。この街にも3つのサンタ・マリア教会があるという。私の目指したのは「サンタ・マリア・ソッコルソ教会」。

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 この教会は島西端のフォーリオ地区の岬の突端に建てられている。形は現代風なのだが、実は16世紀の建立だという。教会の真後ろの方角に太陽がゆっくりと沈んで行く。

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 海も黄金色に染まる。

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 教会の横にある十字架の塔は、教会が建つ前までは航海の際の目印として使われたのだという。

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 その十字架の横で、地元の人たちも沈みゆく夕陽を眺めていた。ここで夕陽を見るのが日課になっているという人もいた。

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 そして、夕陽が沈んだ後には夜の闇に支配される直前の深いブルーの世界が、教会を包み込んだ。赤から青へ、これほどに劇的な自然のドラマを見せてもらったうれしさに、この夜はワインの量がいつもよりかなり多くなってしまった。

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