新年明けましておめでとうございます。今年も「イタリアの誘惑」をよろしくお願い致します。
イタリア、特にヴェネツィアを中心に紹介しようと始めたブログですので、新年一回目はやはり、ヴェネツィアでスタートしましょう。サンマルコ広場です。
イタリアの各都市は広場と教会を中心にして構成されているが、ヴェネツィアもまた沢山の広場と教会が存在する。しかし、正式の「広場」を意味する「PIAZZA」の名称がついた広場は、ヴェネツィアではサンマルコ広場しかない。他は、たとえばローマ広場はPIAZZALEだし、サンタ・マルゲリータ広場やサンタ・マリア・フォルモーザ広場はCAMPOと呼ばれる。地元の人たちが「PIAZZA」というときはサンマルコ広場を意味している。それだけこの広場は特別の意味を持っているということなのだろう。
ヴェネツィアに魅せられた多くの人たちがこの街を訪れ、言葉を残している。そんないくつかを紹介しよう。
最もよく知られているのはナポレオンの言葉「サンマルコ広場はヨーロッパで最も美しい大広間」。ただ、イタリア人は、自らの国を占領した異邦人のナポレオンが今でも好きではない。
「夕刻の魅力は、満天の星が輝いているときのサンマルコ広場をあちこち歩き、ぼんやりと見える壮大な建物やハトの群れが建物の周囲を飛び回っているのを眺めることだった」(ジョージ・エリオット)
「夕暮れになると、円柱は一層丸みを帯び、柱頭はもっと身をくねらせ、蛇腹はさらにくっきりと屋根を支え、尖塔はますます決然とそびえ立ち、天使たちはさらに軽やかに宙に浮かぶのだ」(ヨシフ・ブロツキー)
「ヴェネツィアは美しい。しかし美しいだけならばこれほど僕を引き付けなかったであろう。その優雅な美しさは、いつかは終わりのあることを知っている人生の喜びの切なさに似ている」(奈良原一高)
「200年前に書かれた紀行文が、そのまま実感として受け止められるヨーロッパ唯一の土地。それがヴェネツィア」(細川周平)
「他の都市国家が、国の周囲に巡らせた城壁は、ここヴェネツィアでは水であった」(塩野七生)
「冬の光、それは親密な光。ジョルジョーネやベッリーニの光だ。街は無限の彼方からやってきた光の愛撫をゆっくりと味わいながら暮れなずんで行く」(ヨシフ・ブロツキー)
「ヴェネツィアの魅力、神話、誘惑を生み出すのは、幻想や夢に近い非現実感なのである」(フェルナルド・ブローデル)
「この魅惑の都市に初めて旅する人よ。あなたがどれほど幸せかを教えてあげたい。あなたの前に広がるのは、いかなる本も伝えることのかなわぬ無類の美だ」(ウイリアム・ディーン・ハウエルズ)。
そんな幻想の美しさの虜になってしまった人間の一人が、私でした。
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