サン・ダミアーノ修道院など
朝、小鳥のさえずりと共に目覚める。こんな経験はいつ以来だろうか。サン・フランチェスコによって印象づけられた町。歴史のはざまに取り残された町。それが故にフランチェスコの魂と共に豊かな詩情を保ったまま、今にその息遣いを伝える町となった。
まだ夜も明けきらぬ薄暗闇から、さえずりが聞こえてくる。優しい、柔らかな歌声だ。フランチェスコの説教をそのまま素直に受け入れて、純なままに命を伝えてきたからなのだろうか。決してまっとうに生きてこなかった人間にも分け隔てなくもたらしてくれた、さわやかな朝の知らせ。希望という名の光が差し込むのを感じる。今日一日を、確かに生きてみよう。そう思える瞬間を持てることの幸せを、かみしめる朝。
アッシジ滞在最終日、サン・ルフィーノ広場向かい右側の急階段を上る。この町はどこに行くのにも坂道だらけだ。
15分も歩けばロカ・マッジョーレの要塞にたどり着く。ローマ時代に造られ、町の監視所となっていた。旧市街の最高地点だ。
ここから見下ろすと東側にサン・フランチェスコ聖堂が見える。小さなおもちゃ箱みたいだ。背後のウンブリア平野の広がりがすがすがしい。
街に帰る途中、ジョットの「小鳥に説教するサン・フランチェスコ」の絵を模したものが民家の玄関に飾られていた。
街中には至る所にフランチェスコの像があふれている。旧市街の人口は数千人だが、確実にそれを上回る万単位のフランチェスコが存在するのは間違いない。
昼前、今度はサン・ダミアーノ修道院に向かう。フランチェスコが1205年神の声を聞いて修行に専念、石を積んで修復を行った場所だ。ひたすら石畳の道を下って行く。
春のそよ風がほほをなで、樹木が日差しを浴びてキラキラと輝く。
と、突然羊の群れが道に現れ、、、、
百頭もの羊が悠々と道を横切って行く。中にはこちらを観察する羊もいた。何とのどかな風景に出会ってしまった。
修道院は見るからに質素な建物だった。
「本当にそまつな・・・・・でも、若々しい歓喜にあふれた」と須賀敦子が描写した修道院の内部。
ミサが終わり、修道士が信者たちと語り合う。日差しが優しい。
アッシジの最後は、滞在したホテル近くの交差点の夜景をどうぞ。角に聖母像を飾るとても美しいビューポイントでした。
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