ブリュッセル ベルギー

ブリュッセル 教会、美術館そしてクローデルに出逢う

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 グラン・プラスの東南部、山の手地区にロワイヤル広場があります。この高台から見下ろす町のちょうど中心にグラン・プラスの市庁舎塔がそびえています。美しい風景でした。

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 ブリュッセルにも凱旋門がありました。独立50周年を記念して1905年に建てられたもの。パリの凱旋門を手本にしたそうですが、どちらかというとベルリンのブランデンブルグ門のほうに似ていますね。その広場で戦闘機の展示が行われていました。実はこの広場には王立軍事歴史博物館があり、そこの軍用機の展示は世界でも有数の充実したものなんだそうです。地下鉄メロード駅からが近いですが、このあたりはEUの本部を始めEUの機関が集まっている地区です。

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 もう一度ロワイヤル広場付近に戻ります。アールヌーヴォーの建物が見えます。これは楽器博物館。7000点を越える世界的にも珍しい楽器収集の博物館です。古代エジプトから日本の三味線まで様々な楽器を見ることが出来ます。

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 でも、時間もなかったので見るのは外観だけ。曲線を巧みに使った鉄とガラスの外壁の面白さを楽しみました。サントゥノワの設計で、最初はデパートでした。最上階には眺めの良いレストランがあるそうです。

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 楽器博物館の北側に、サン・ミッシェル大聖堂があります。国王の戴冠式や結婚式など重要なセレモニーが行われてきた場所でもあります。13世紀の着工から300年の歳月をかけて完成したゴシック建築。やはりパリのノートルダム教会を始めとしたフランスのいくつかのゴシック教会にどことなく似ています。

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 静謐な空間。ここも室内の白さが印象的でした。

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 それに、ステンドグラスも色彩が鮮明で必見ですね。

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 帰りがけに振り向いたら、こんな像がありました。確か国王か誰かの肖像だったような・・・。記憶が曖昧で思い出せません。

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 観光の最後は王立美術館。フランドル絵画と言えば何と言ってもブリューゲルを挙げないわけにはいきません。いかにも彼らしい作品としてこの美術館には「ベツレヘムの戸籍調査」がありました。収集作品の数ではウイーン美術史美術館には負けますが、地元で見るブリューゲルはやはり格別のものがありました。農民の動き、雪の積もり具合、枯れ木建物の背景など、いかにもブリューゲルといった作品です。

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 美術図鑑などで何度も見たことがあった「マラーの死」。ここにあるとは思っていませんでした。作者のダビッドはご存知ルーブル美術館最大(?)の絵画「ナポレオンの戴冠式」の作者。彼は晩年にはフランスから亡命してベルギーに来ていたんですね。

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 幻想的な美しさで際立っていたのがこのポール・デルヴォーの作品「serenity」。マグリットと並ぶベルギーシュルレアリスムの巨匠です。こんなに時代を越えてバラエティに富んだ作品を見ることが出来て、とても楽しい時間を持つことが出来ました。

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 美術館のすぐ横にこんなものが建っていました。ポール・クローデルはフランスの著名な詩人であり外交官。彼の姉はカミーユ・クローデル。彫刻家として素晴らしい作品を残しましたが、それよりもロダンとの愛の葛藤の末に心を病んで、後半生を精神病院で送った情熱の女性として人々の記憶に残されています。弟のポールは駐日フランス大使として日本に駐在したこともあります。彼の外交官としての最後の地はベルギーだったんですね。これも思いがけない出会いでした。

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ブリュッセル 「絢爛たる劇場」グラン・プラスの夜景

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 グラン・プラスの夜は、昼の開放的な明るさとは一変して、まるで歌劇の舞台のようにブリリアントな空間に豹変します。まさにジャン・コクトーが評した「絢爛たる劇場」。

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 街歩きを楽しんでグラン・プラスに戻ったのはほぼ日暮れ時。前回紹介し忘れた広場の東側の建物をまず掲載しておきましょう。これは「ブラバン公の館」。6~16世紀にかけて統治していたブラバン侯爵の歴代当主のレリーフが壁一面に飾られています(実はこのことは帰ってから知ったので、アップの写真はありません)。今はこのビルの中にいろいろな店が入っていますが、ホテル・サン・ミッシェルもこの中。ここに泊まれば、ヴィクトル・ユゴーのように広場に住む気分を味わえそうですね。

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 さあ、夜景観賞と参りましょう。正面に輝くのは王の家。中央の塔の輝きが素晴らしい。

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 王の家を西側から眺めると、一層広場の広がりが感じられます。

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 向かい側の市庁舎は83mの鐘楼がそびえたっています。

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 広場に店を出すレストランにも灯りがともり、いよいよ営業も本番モードに突入。

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 石畳も光を反射して広場全体が浮き立つような気分にさせられました。

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 日没から約30分、青味を増した夜空に、鐘楼が突き刺さるかのよう。

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 広場から西に100mも行くと、証券取引所の隣りにアール・ヌーヴォーの内装を施したビアカフェ「ファルスタッフ」があります。ここでムール貝の白ワイン蒸しを頼みました。バケツのような大きな器に一杯のムール貝が出てきて一瞬どうしようかと思いましたが、絶妙の味付けで、ビールと共にきれいに平らげてしまいました。

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 店内は落ち着いた大人の空間といった雰囲気でした。ただ、団体さんなどが入るとかなり賑やかになるようですが・・・。

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 ファルスタッフからホテルのあるロジェ広場までの帰り道は、日本でもおなじみの店のショウウインドウを見ながらの散歩でした。これはZARAの店頭。

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 H&Mはこんな派手な装飾で目を引きました。

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 そして、ロジェ広場では全体を紫の電飾で囲んだ派手なビルまでありました。ブリュッセルの夜は奥深い空間ですね。

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ブリュッセル  「世界一美しい広場」グラン・プラス

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 今回はベルギーの首都ブリュッセルの紹介です。ベルギーの中央部やや西寄り、パリからタリスに乗れば1時間30分で着いてしまう距離です。EUの本部やNATOがある人口100万人の国際都市です。大きな街なので駆け足で紹介出来るのはほんの一部ですが、ご容赦を。

 まずはヴィクトル・ユゴーが「世界一美しい広場」と讃えたグランプラス。ユゴーはフランスから亡命してきた時に、実際にこの広場の「王の家」と呼ばれる建物の右側の建物あたりに住み、広場を眺めながら執筆活動をしていたそうです。

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中央にあるとがった塔のあるのが王の家。実際に王が住んだことはなく、現在は市立博物館になっています。見はしなかったのですが、ここにはあの小便小僧の衣装コレクションもあるそうです。

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 四方をギルドハウスが取り囲む110m×70mの長方形の大広間。以前は木造建築だったのが、ルイ14世のフランス軍の攻撃でほとんどが破壊された時、各同業組合(ギルド)が数年で現在のような石造建築に生まれ変わらせたというエピソードが伝わっています。

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 絵描きさんたちの集団が広場で自分たちの絵を売っています。まだ午前中なので観光客も少なく、ちょっと暇そう。

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 王の家が広場北側にあるのに対して、南側の中心はこの市庁舎。15世紀のゴシック様式で、塔の高さは83m。ブルージュの鐘楼(88m)より少しだけ低い高さです。

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 こちらは西側のグループ。建物の高さが統一され、整然とした形を保っていますが、窓の大きさや天井の彫刻群、壁面のレリーフなどそれぞれに特徴を競っているところが、「世界一美しい」といわせる理由なのでしょう。ジャン・コクトーは「絢爛たる劇場」と表現しました。

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 そうこうしているうちに観光客も続々と増えてきて、広場にあるカフェもまたたく間に一杯になって行きます。

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 市庁舎の角にはこんなライオンの像が建っていました。

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市庁舎の角の小路に入ったところにある黄金の像が「セルクラースの像」。1388年に暗殺された町の英雄で、この像を触ると幸福になるという伝説のためにつるつるになっています。ヴェローナのジュリエット像のようなイメージですかね。でも何とも苦しそうな表情で横たわるこの像じゃあ、あまり幸せを連想出来にくいような・・・。ちゃんと触ってきましたけどね。

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 その裏通りでは、なにやらパントマイムのグループをテレビ局が撮影していました。よく見ると、老人の乗っている台にはヴィンセント・ヴァン・ゴッホと書いてありますね。

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 グラン・プラス北側、チョコレートのゴディバ本店の横を100mも歩いて行くとギャルリー・サン・チュベールというアーケードの通りに入ります。ヨーロッパでも最も古いガラスの屋根付きアーケードの一つです。ミラノのヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアに比べると高さ、広さなどの規模は小さいのですが、それだけ店と店の間隔が近く、高級ブティックでも入りやすい雰囲気になっています。自然光の柔らかい光が優しく、居心地のよい空間でした。

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 先ほどのセルクラースの像から南下した所に小便小僧の像があります。とても小さいのでがっかりしないように。1619年の作です。当時はミケランジェロの作品群に見られるように裸の像は特別珍しいわけでもなかったのですが、マスコットだったのでしょう。ある時ルイ15世の兵士が酔って小僧を盗み出して問題となり、王は謝罪の意味で金刺繍入りの宮廷服をプレゼントしました。これがきっかけで、今では何千着という着替えを持つ世界一の衣装持ちの小僧になりました。市立美術館に衣装が保管してあります。ただ、私たちが行った時はなぜか裸でした。

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