
管絃祭とは、平清盛が始めた神事。河に船を浮かべて器楽を演奏して楽しむという京都で行われていた遊びを、清盛は宮島の海に移しました。それも、遊びとしてではなく神を慰める神事に替え、優雅さから豪快さにスケールアップしました。

この祭りは毎年旧暦の6月17日、今年はきょう7月24日に行われます。神事は午前の宮司による祈願からスタートします。厳島神社の姫神を御座船に乗せ、瀬戸内海を横断して対岸の地御前神社を目指しますが、まずはお祓いから。

御座船を引っ張るのは広島市江波の伝馬船と呉市阿賀漁協の鯛網船。昔は御座船が自力で走っていましたが、1701年の祭りの際暴風雨に遭遇し転覆寸前になりました。その時近くにいた阿賀村と江波村(当時)の船が無事御座船を救助しました。それ以来両地区の船が曳航を受け持っているとのことです。
午前中、まだ潮が引かない時間帯に江波の伝馬船が大鳥居をくぐって神社に到着、夕方の出陣を待ちます。

午後5時、鳳輩(みこし)が御座船に乗せられていよいよ出発です。阿賀の船が港を離れました。

御座船も出発です。和船を3隻並べて結び付けて1隻の船になっています。

阿賀の船が御座船を引っ張って行きます。高張提灯には「厳島御用」の文字が入っています。

沖に出てきました。瀬戸内海の水面がキラキラと輝いています。

阿賀町と書かれた提灯と日の丸が誇らしげです。

実は主役の船たちに伴走する見学船が用意されていて、私たちはその船で追いかけています。

数年前ヴェネツィアで見たレガータストリカの模様をほうふつとさせる光景です。

阿賀の鯛網船の人たちは6丁の櫓で漕いでいます。

一方江波の伝馬船は計14丁の櫂を使っています。船の種類の違いなんですね。

目指す対岸の広島の街並みが見えてきました。

終盤のラストスパート。水しぶきが飛び散る勇壮な光景が展開されます。

ほぼ対岸に近づきました。船の先頭に鳳輩が載っているのがわかります。

4隻の船がそろって進んで行きます。まさに瀬戸内海に展開する平安絵巻。

海の青さも印象的です。地御前神社のある広島側で神事と管弦の式典を行った後、夜になって宮島に引き返し、島際にあるいくつかの神社に立ち寄り、真夜中に厳島神社に帰ってきます。
ただ、見学船はここで終了。一足先に宮島に向かいます。数十分の伴走でしたが、なかなか味わえない海上のスペクタクルを存分に堪能することが出来ました。
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