グッビオ

グッビオの教会群 聖アゴスティーノ教会の壁画

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 今回の旅は雨が多かったこともあって、雨宿りを兼ねての教会巡りを沢山しました。グッビオの教会で一番興味をひかれたのが聖アゴスティーノ教会です。

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 旧市街の東端、ロープウエイ乗り場や白トリュフを食べたレストランの近くにあり、外観は特に特徴もない造りです。

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 でも、中に入ると壁面を覆い尽くすかのようにフレスコ画が描かれています。

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 オッタヴィアーノ・ネッリとその工房による、聖アゴスティーノの生涯が華やかに展開されているのです。

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 聖アゴスティーノは354年アフリカのアルジェリアに生まれ、修辞学と哲学を学び、33歳でキリスト教の洗礼を受けました。以来熱心に布教活動を行い、彼の修道院生活の際に定めた規則は、キリスト教修道会の規範となっているという、キリスト教4大教父に数えられる聖人です。

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 この絵は横長ですが、左の部分をアップして見ると

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 金色の光が強烈に発散されています。面白い描き方。

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 この教会に入った時、地元の人たちが復活祭の行事の準備をしていました。写真を取っていいかどうかを聞いたところ、「プレーゴ」と、声をそろえて答えてくれたうえ、わざわざ祭壇の照明を点灯してくれました。こんな心遣いには本当に感謝です。

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 聖フランチェスコ教会は、アッシジのフランチェスコがグッビオにやってきた時に迎え入れた当時の地元有力者の家があった場所に建てられています。巡礼者がアッシジを出発して辿る「フランチェスコの平和の小道」の到着点がこの教会になっています。

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 ここにもネッリのフレスコ画があると聞いていたんですが、昼に入った時には気付きませんでした。ところが、夕食の帰り、教会に明かりが付いているので寄ってみると、ミサの最中でその左祭壇の壁がライティングされて壁一杯のフレスコ画があるのがわかりました。

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 祭壇にあった優しい聖母子像です。

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 ドゥオモは簡素な空間でした。

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 この礼拝堂だけが装飾が施され、荘厳な感じ。

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 こちらは聖ドメニコ教会。

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 ここも大きな建物です。

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 たまたまなのですが、キリストを描いた絵画に、外から差し込む日の光が窓の格子をシルエットにしてまるで十字架のような影を落としていました。一瞬神々しい思いになりました。

 さあ、次回はオルヴィエートに行きましょう。

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グッビオアラカルト 鳥かごのロープウエイ、ローマ劇場

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 今回は、グッビオの町を歩いて出会った物の紹介です。初めは、ホテルの朝食時にほんのちょっとだけ差した朝日。このホテルは昔修道院だった建物で、中庭があり、晴れていればそこから日差しが差し込みます。

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 町の西側に紀元前1世紀末に造られたローマ時代の劇場跡があります。半円形の美しい形をしています。

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 直径70mの観客席に1万人の観衆を収容できます。夏にはここで劇も上演されるようです。

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 遺跡越しにコンソリ宮殿が望めました。

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 もう一つの名物がとても“危険な”ロープウエイ。インジーノ山頂上まで4ユーロで往復出来ますが、ご覧のように、乗り物は至って簡素。スキーのリフトというよりは簡易鳥かごです。

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 乗り降りの時も停止はしないので、係員の指示に従って飛び乗り、飛び降りをしなければなりません。ある中年女性は降り損なって尻もちを着いていました。

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 でも、乗り心地は最高。春風を受けて次第に高度を上げて行くうちに、一瞬鳥になったような気分を味わえます。中島みゆきの「ああ~ 人は 昔々 鳥だったのかも知れないね~」という歌詞をくちずさんでいました。

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 ちょっと霞んでいますが、山頂付近からは街並みが一望できます。

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 この山頂にある聖ウバルド聖堂には、この町の守護聖人である聖ウバルドの遺体が安置されています。その後方のステンドグラスは新しいのでしょうか、青色が鮮やかです。巨大なロウソクを運び上げることで有名なロウソク競争のゴール地点はこの聖堂になります。

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 その模様を描いた絵皿が土産物店に飾られてありました。毎年5月15日が開催日。もうすぐですね。

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 私が行った4月上旬には、この町でも桜が咲いていました。

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 日本の八重桜のような感じで、ソメイヨシノに比べると花が密集していてこんもりといった感じ。

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 近くにはこんな花も咲こうとしていました。これはハナミズキ?撮影中に自転車のおじさんが話しかけてきて、私が日本人とわかると「僕の友人の奥さんが日本人だよ」とうれしそうに話していました。

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 「死せるキリストの行進」のために交通整理をしていた女性警官。決まっていますね。


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 この町の特産品に一つがトリュフ。思い切って白トリュフのタリアテッレを頼んでみました。オルビエートでは黒トリュフを食べたのですが、その時はテーブルでトリュフをぱらぱらと削ってかけてくれました。ただ、その写真を取り損ねたので、今回は、と思って準備をしていたら、もうパスタの上にかけたものが出てきました。残念。しかも、黒と違って白はパスタと同じ色なので、ちょっとわかりにくいですね。

 ただ、味はしっかり味わいました。やっぱり黒の倍近くの値段がするだけあって、ノーブルな香りがして美味でした。さらに、帰りがけオーナーの奥さん(美人でした)から自家製のホットチョコレートをサービスしてもらいました。

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 他にイノシシの肉料理もありました。(食べませんでしたが・・・)

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 一方、こんな古い街並みにとてもポップなピンクのバイクが。ミスマッチがなかなかシュール。

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 夕方、中心街のガリバルディ通りに突然、若者たちからおじさんたちまでぞろぞろと沢山の市民が集まってきました。でも、何かイベントが始まる様子ではない。不思議に思ってレストランでカメリエーレに聞いてみると、何が不思議なの?といった顔つきで「パッセジャータ」と答えてくれました。

 イタリアでは以前は全国的に夕方などパッセジャータ(散歩)を楽しむ習慣があったとは聞いていましたが、最近はもう廃れつつあると思っていました。でも、この町にはちゃんとその習慣が今でも続いているんですね。ちょっと感激・・・。

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 雨模様の夜、濡れた石畳に街灯の明かりが黄金色に映し出されていました。その道を、シアターからの帰りでしょうか、シックな装いの男女が余韻を楽しむように語らいながら歩いて行きます。

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 春霞の中に消えて行く二人を見守りながら、幸せなんて身近なところにこそあるのかも、などと思いつつワインを飲み干す夜でした。

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gubbioの町の中心コンソリ宮殿と中世の街並み

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 この町の中心に位置するのはコンソリ宮殿。高台のシニョーリア広場にある14世紀の建物で、光の当たる午前中のファザードは晴れやかなイメージがピッタリくる華やかさです。

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 その左端にある鐘楼には2500kgという大鐘が下がっています。その高さは約60m。

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 正面玄関の階段は、半円形の基礎部分に直線を組み合わせたユニークでゴージャスな形をしています。ここを昇る時はちょっぴり心が躍る感じがします。自由都市だった時代には、ここに執政官(コンソリ)の本部が置かれていました。

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 今は館内は市立の美術館になっています。壁にはフレスコ画も。

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 足が止まったのが、このピエタ像。亡くなったキリストを抱くマリアの像なので非常に悲しい場面なんですが、像のあまりの情けなさに、失礼ながら思わず笑ってしまいました。

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 上階に昇ると南に向かって開かれた展望テラスに出ます。

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 ここからの眺めは格別。中世の街並みが眼下に広がります。

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 毛織物組合のロッジアや聖フランチェスコ教会などが真下に見えます。

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 シニョーリア広場の全景はこんな風になっています。

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 そのまま町歩きに移りました。12~13世紀の城壁に囲まれた中心街は重厚な石の壁で出来ていました。

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 道はほとんどが坂道。それだけに、わずかに見える遠景がまた好奇心を刺激します。

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 石の大階段は時として若者の休憩場所になったりします。

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 石壁の陰影は歴史の襞のよう・・・。

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 夜も素晴らしい。死せるキリストの行進のあった夜なので、いつまでも人垣が絶えませんでした。

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 麓から見上げるコンソリ宮殿。やはり貫録十分ですね。

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坂と丘の町グッビオの夜、そして霧の朝

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 グッビオは山岳地帯であるウンブリア州の北端に近いインジーノ山のふもとに開けた古い町。中世のたたずまいが街全体に感じられる静かな丘状都市です。それだけに、行くのはちょっと面倒。私はオルビエートから出発したのですが、同じ丘状都市であるオルビエートのホテルからバスでケーブルカー乗り場へ。ケーブルカーで丘の下の鉄道駅に、そこからフィレンツェ行きの電車に乗りオルテッロ・コルトーナ駅で乗り換え、ペルージャ駅へ。ここからグッビオ行きのバスの発着所であるパルティジャーノ広場に行き、そこからバスでグッビオへと、6回も、乗り物に乗ってようやく到着しました。

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 着いたのが夕方。早速町の中心広場・コンソリ宮殿のあるシニョーリア広場に向かいます。ちょうど夕陽が宮殿の背後に沈もうとしていました。

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 向かいの市庁舎は光を浴びています。今回の旅はこれから雨の日が続くのですが、この時はまだそれはわからず、夕陽を有難いとも思っていなかった時期です。

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 でも今思えば、もう雲は不穏な動きをしていましたね。

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 この日の月は12夜。かなり丸くなってきています。

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 夕食を終えて夜の町を散歩。石の街は格別の風情を持っていました。

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 それで、白黒バージョンで撮ってみました。

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 こうなると、どう見ても現代の町とは思えませんね。不思議な迷宮に迷い込んだ気持ちになりました。

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 翌朝、早起きしたのを幸いに、ベッドを抜け出しました。ホテルはバスの発着所でもあるクワランタ・マルティーリ広場のすぐ近くでした。この広場の名前は「40人の殉教者広場」という意味で、第二次世界大戦中にレジスタンス運動家達40人がドイツ軍に射殺されたことに由来するのだそうです。

 広場の一角に建つ聖フランチェスコ教会が、夜明け直前の空に映えています。この教会についてはまた後ほど紹介しましょう。

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 同広場の北側には17世紀の回廊があります。毛織物業組合が毛織物を日陰で干すために使っていた場所。リズミカルな柱が印象的。

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 そこから急な坂を上ってシニョーリア広場に向かいます(写真はかなり上ったところで撮ったもの)。

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 広場に行くためのエレベーターがあるのですが、さすがに早朝は閉まっていました。清掃業者の人に道を聞いて広場に到着。まだ誰もいません。

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 ここからの見晴らしを期待してきたのですが、見てみると、このような霧状態。残念!

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 東の空が明るくなり始めました。町の紋章でしょうか、このマークは町のあちこちで見かけました。

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 でも、他の場所は霧の中。

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 宮殿上空にも朝焼け雲がたなびいてきました。

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 さらにもう一段高いドゥオモのある場所まで昇ってきました。

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 でもやっぱり霧は晴れない。早朝の散歩はこれで切り上げ、ホテルに戻りましょう。

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死せるキリストの行進(processione del cristo morto) グッビオの伝統行事

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 御無沙汰でした。久しぶりにブログを再開します。今回はこの4月6日、イタリア中部の町グッビオで行われた聖金曜日の伝統行事「死せるキリストの行進」の模様を紹介しましょう。

 グッビオはウンブリア州の山岳部にある小都市ですが、この聖金曜日(venerdi santo)の行事はとても荘厳な催しで、よく知られています。

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 4月6日夕方、行進のスタート地点となるサンタ・クローチェ・デッラ・フォーチェ教会に出向きました。もう既に多くの市民が集まり始めています。

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 30分ほどのミサが行われました。祭壇正面には、まさに死せるキリスト像、その後ろには哀しみのマリア像が据えられています。

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 午後7時、ミサが終わり、キリスト像が教会から外に持ち出されます。

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 続いてマリア像も教会前広場に出てきました。像を運ぶ信者たちが取り囲みます。

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 行進のスタート。列に参加する少年も真剣な表情。

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 小さな少女達もロウソクを持って参加します。

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 狭い道が続くので、広い場所で行進を見ようとサン・ドメニコ教会前広場に先回りしました。この街はこのように石造りの建物で埋め尽くされています。

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 行進がやってきました。頭巾をかぶった異様な格好ですが、信者会の人達です。

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 キリスト像を載せた棺が到着します。

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 死せるキリスト。まさにドキっとするほど、生身の人間のような造りです。

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 行進は街の繁華街ガリバルディ通りに差しかかります。

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 中世のような街並みを行きすぎる行列は、まさに過去にタイムスリップしたかのように風景に溶け込んでいました。

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 マリア像は宵闇の中で一際目立っています。

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 ダンテ通りの坂ではたいまつが灯され、一層幻想的なムード。

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 子供達も最後まで行進に加わっています。

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 街一番の広場、コンソリ宮殿前をマリア像が通ります。約3時間にわたる行進ももう終わりに近づきました。

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 行進が行き過ぎた後の通り。市民たちはいつまでも今日の模様を語り合っています。断続的に雨が降っていましたが、それを吹き飛ばすような熱気が街に溢れていました。

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