救世主誕生の風景 ローマのプレゼピオ
<サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会のプレゼピオ>
今回のローマ滞在中、16の教会を巡った。そこでクリスマスシーズンならではの珍しい光景に多く出会った。キリスト誕生の場面を再現するプレゼピオだ。プレゼピオとはイタリア語で馬のえさを入れる飼い葉桶のこと。
聖書によると、ヨセフとマリアの夫婦が生まれてくる子供の住民登録のために先祖の町ベツレヘムに行った。しかし、宿が見つからず馬小屋で寝ていた時にキリストが生まれた。それで飼い葉桶に赤ちゃんを寝かせたことが、語源となった。
先日はサンピエトロ大聖堂前広場の大規模なプレゼピオを紹介したが、他の教会でもいろいろバラエティに富んだものと出会ったので、その一部を紹介しよう。
サン・ピエトロ大聖堂の内部にもプレゼピオが造られていた。通常の礼拝堂1つ分のスペースを使い、沢山の人物が配置されている。
12月23日早朝で、まだ完成前。よく見ると左端で職人さんが作業中だった。
次に訪れたのが聖イグナティオ教会。まだキリスト誕生前なので、赤ちゃんの姿はない。
同教会の別の礼拝堂には子供たちの造った紙人形による可愛らしいプレゼピオが飾られていた。
ローマの教会の中でも最初に建てられたといわれるサンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会。特徴的なファザードだ。
ここのエントランスには、教会の形をそのまま再現したプレゼピオが。
地元の人たちの生活ぶりを再現した庶民的な内容だった。
24日夜に訪れた、サン・ピエトロ広場のすぐ近くにあるトラスポンティナ教会。主祭壇の前に、空っぽの揺りかごがぽつんと置かれていた。
夜が明けて25日。カヴール橋のたもとにあるサン・ジャコモ教会の主祭壇には赤ちゃんキリストがいた!前日までは空席だった籠の中に、この日一斉にどこの教会でも赤ちゃんが登場した。これがまさにクリスマス。
ポポロ教会でも、豪華な祭壇装飾をバックに、ピンクのほほをした珠のような赤ちゃんが愛嬌を振りまいていた。
こちらはサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会。あのベルニーニの彫像「聖テレーザの法悦」の横で赤ちゃんキリストがちょこんと座っていた。
同教会の別の場所にあったプレゼピオ。両親、キリスト、そして馬小屋と馬。まさに原典通りの光景だった。
ソプラ・ミネルバ教会のものはもっと簡素で、逆に清々しくさえ思われた。
聖アゴスティーノ教会。ここには両親、キリストの他に洗礼者ヨハネが傍らに座っている。
フランチェージ教会は人形が一杯。でも、キリストはどこにいるのか、と思ったら、後ろに飾られた絵はキリスト誕生の絵。これなら人形はいらない。2次元と3次元を融合させた、ちょっと遊び心のある展示方法だった。
このようにバラエティ豊か。教会の内部も通常は暗い感じだが、この時期だけは明るいライティングがなされていることが多く、華やかな感じ。祭壇画も見やすい状態になっていた。
多分12月25日にはローマ中の、いやイタリア中のカトリック教会の数だけ赤ちゃんキリストが誕生して愛嬌を振りまいていた。それもカトリックの本拠地ならではの珍しい光景で、なんか得した気分だった。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント