トプカプ宮殿下・皇帝が見た街の風景
<トプカプ宮殿から見た新市街>
宮殿敷地の一番奥の方まで進むと、バクダット・キョシュキュという建物がある。17世紀のバグダット攻略を記念して造られた東屋だ。
金色の屋根のあるイフタリエと呼ばれる場所は断食明けの食事処で、皇帝たちはここから街を見下ろして優雅な時間を過ごしたという。
その手前、スルタンの私室付近で、30代前半と思われる東洋系の女性とすれ違った。アジア人なのかも、と思って声をかけた。ところが、「私はウズベキスタン人」との答えが返ってきた。「ごめんなさい、私は日本人です。ウズベキスタンは遠いですよね」。思わずそう話すと、彼女は首を振って「いいえ、日本の方がずっと遠いですよ」と笑いながら答えた。
そう、ここはトルコ。この場所から見れば、日本なんて遠い遠い極東の外れの国だっけ。生まれて初めてのウズベキスタン人との会話は、ちょっと気恥ずかしい、でも柔らかい微笑みをもらえた瞬間だった。
イフタリエからボスポラス海峡越しに、豪華な装いを凝らした建物が見えた。これがドルマパフチェ宮殿だ。19世紀半ば、1856年に完成した宮殿は、ヴェルサイユ宮殿を思わせるバロック調。この完成により、政治の中枢は400年続いたトプカプ宮殿からドルマパフチェへと移って行く。
トルコが共和国になった後は大統領官邸としても使われ、初代大統領ケマル・アタチュルクは1938年11月10日、この建物の中のベッドで死を迎えた。
旧市街を見れば、3つのモスクが並ぶ光景が間近に展開する。まさにこれがイスタンブール。
その一番手前のモスクがイエニ・ジャーミー。
遠目のスレイマニエ・ジャーミー付近の塔は、ベヤズット塔。意外に新しく19世紀初めに造られた火の見の塔だそうだ。
金角湾を挟んで旧市街から新市街に架かる橋は、手前がガラタ橋。こうして見ると真ん中部分が開閉できる機構になっているのがわかる。その奥はアタチュルク橋。
新市街ににょっきりと伸びているのがガラタ塔。今日は絶対あの塔に昇るぞ!
一通りの見学を終えて帰りの出口付近にあったタイル画。何となくハレムの雰囲気が漂う絵だった。
儀礼の門を出るとプラタナスの林と遠くのミナレットが迎えてくれる。
見学を終えたのは昼前の時間帯。見学中はがらんとした感じだったが、これからの観光客があふれんばかりに続いていた。早めに来て正解だったようだ。
通りに出ると、スルタン・アフメット・ジャーミー(ブルーモスク)の建物が正面に見えてきた。さあ、次は港に行ってボスポラス海峡を渡ろう。
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