日本の花々

夜空に浮き上がるピンクの幻想~六義園の桜

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 六義園の夜桜を見に行きました。
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 六義園(東京都文京区本駒込)は、1702年に川越藩主柳沢吉保が築園した日本庭園。明治期には三菱の創業者・岩崎彌太郎の別邸となっていました。
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 個々の枝垂れ桜は、東京でも3本の指に数えられるほど有名で、ライトアップが始まったとのニュースを聞いて、出かけてみました。
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 行ってみると予想以上の大混雑。写真ではそうは見えませんが、係員が「桜には触らないで」「桜の前に立ち止まらないで」 など、まるで名画の特別展示場のような雰囲気。
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 さくらはほぼ満開で、優しい花びらが柔らかい日差しに映えています。
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 日が陰ると、周りはピンク一色に染められます。
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 園内には、茶屋や池など、大名庭園らしく格調高い景色が広がります。
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 日が暮れて、ライトアップが始まりました。
 まだ青い空を背景に枝垂れ桜が光を浴びて浮かび上がります。
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 ただ、内庭大門の枝垂れ桜は、押すな押すなの大混雑でまともに写真を撮るスペースはありません。
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 それで、庭園奥にあるもう1つの枝垂れ桜のところに行きました。
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 こちらは人も比較的少なめ。高く伸びた枝が空に向かって広がり、少し彩色されたさくらが照らされて幽玄の風情を見せていました。
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 同じ木でも、角度が違えば枝ぶりの変化します。
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 乱れ落ちる滝のようなさくら。見事としか言いようがありません。
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 特に、日没後十数分間の、青から藍へと変化する空をバックにしたさくらの華やかなピンク、ホワイトの花びらは、今でも目に焼き付いています。
 

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満開の河津桜に遭遇したー三浦海岸、城ケ島

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 先日、友人と三浦海岸、城ケ島に行ってきました。ちょうど早咲きで知られる河津桜が満開で、今年初の桜を満喫しました。

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 河津桜はソメイヨシノに比べて色が濃いピンクなのが特徴。花びらも密集して付いています。

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 伊豆の河津桜が有名ですが、ここ三浦海岸にも、京急駅から小松ヶ池公園までの1キロくらいにびっしりと並木が続いています。

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 桜の下には菜の花も咲いており、一度に両方の花を見ることが出来ました。

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 そこからバスに乗って城ケ島へ。城ケ島大橋を渡ります。

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 橋の下に北原白秋の歌碑がありました。「雨は ふるふる 城ケ島の磯に~」というあの有名な歌詞が刻んであります。

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 島の東側は県立城ケ島公園になっています。公園に入ってすぐ、対岸が見渡せる広場。風力発電の白い風車が回っていました。

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 東端の岩場に降りてみました。一見切り立った山のように見える岩場。

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 海水の浸食によって出来た地面の岩の深い溝。

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 その向こうに見えるのが安房崎灯台。その白さが印象的。

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 上空には悠然とトンビが飛んでいました。

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 そこから海岸を歩きながら西に回り、中央部南端の「馬の背洞門」に来ました。真ん中が空洞になった岩場です。

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 と、その岩場の上を歩く女性がいました。あぶない、あぶない。

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 この日は風が強く、岸壁では何度も高い水しぶきが上がっていました。

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 陽が傾き始め、その太陽を覆う雲が丸く張り出して、不思議な構図を空に描いていました。
































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匂い立つ花々の競演ー小石川後楽園の花菖蒲

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 先日、梅雨の合間を縫って花菖蒲を見に行ってきました。場所は小石川後楽園。

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 ちょうど花が咲きそろったところで、菖蒲園全体に広がっていました。

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 1本の茎が花を咲かせるのは、わずか3日間。桜よりも短い命のはかなさもまた、この花への郷愁を誘うのかもしれません。

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 この花は江戸時代、特に武士に愛されたということです。

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 その真っ直ぐに伸びた茎の潔さ、花の持つ気品、それに「菖蒲」が「尚武」と同じ発音を持つことなどが、愛される理由だったのでしょう。

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 花の特徴は、他の花と違って雌しべが立ちあがって咲き誇ること。それが凛とした姿を形成することで、一層美しさを増して行きます。

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 それに、主流となる紫の色。昔から高貴な色といわれてきたその紫を身にまとって緑の野に花開く姿は、ドキッとするような妖艶さが匂い立ちます。

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 アヤメ、カキツバタともとても似ていて私には区別がつきませんが、一番の違いは、花菖蒲の場合花弁の元に黄色い目型模様があることだそうです。

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 この配列、尾形光琳の「燕子図屏風」に描かれたあの絵を一瞬ですが連想させました。

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 後楽園には660株、26品種の花菖蒲が植栽されているそうです。

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 花言葉は、優しさ、優雅。

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 あるいは、貴方を信じる。

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 とにかくさまざまな種類の花たちが、梅雨で湿りがちの心を明るくさせてくれました。

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 別の場所の池にはスイレンの花が。これも白さがまぶしいくらい。

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 大きな池に降るように架かる枝もまた、美しい緑のハーモニーを奏でていました。








































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満開のさくらに遭遇

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 先日友人が写真展を開いていた千葉に行ったついでに、成田周辺のさくら見物をしてきました。

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 ちょうどさくらが満開になっており、見事な光景を見ることが出来ました。

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 風はちょっと強かったものの空は晴天。

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 青空にさくらの薄いピンクが映えます。

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 撮影場所は主として成田山新勝寺周辺。境内の中心にはさくらはなかったのですが、少し脇に入ると並木があったりしました。

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 やっぱり満開のさくらを見ると心がなごみますね。

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 池がありそのほとりには枝垂れ桜が。

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 こちらは濃いピンクで、美しい。

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 まるで降る雪のような姿。

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 この、風に押されて流れるような形になった枝垂れ桜が、今回最も気に入ったさくらでした。

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 枝ぶりの良さではこの木が一番だったかも。

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 咲いていたのはさくらだけではありません。少しだけあった菜の花。

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 ツツジはまだ蕾状態。

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 一方で、道端に落ちていたボタンの花びらも、印象的でした。

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 成田空港も近かったので、飛行機の飛び立つ付近にも行きました。ここのさくらはまた3分咲きだったので、「飛行機と満開のさくら」 とは行きませんでしたが、写真スポットになりそうな場所でした。

 

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湯島天神の梅と河津桜

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 先日、友人と湯島天神に行きました。それで、「サルーテの祭り」を1回休んで梅の花をご覧いただきます。

 風が強くちょっと寒かったけど、ちょうど満開の梅の花が見られて、春の気分を満喫してきました。 入口は女坂から。この階段横には日差しを浴びて輝く白梅の林があります。

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 本殿の周りを咲き誇る花がぐるりと取り囲んでいます。

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 しだれ梅をアップしてみました。

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 この神社の特色の一つは絵馬。学問の神様・菅原道真を祀っていることから、この時期は合格祈願の絵馬があふれています。

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 「東大に合格できますように・・・」など、結構難関大学の 名前が多かったような・・・。

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 この日はかなりの強風でしたが、桜の花びらと違って梅の花はあまり散っていませんでした。種類によって散り方もだいぶ違いますね。ここの境内には約300本の梅があり、その8割が白梅だということです。樹齢は70~80年とか。

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 境内の一角に紙で作ったひな人形が飾られていました。もう3月3日はとうに過ぎていましたが。

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 散歩しながら不忍池に。白鷺を発見。

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 ユリカモメもこんなに近くに。

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 花園稲荷神社まで行くと、紅梅が咲いていました。見事な枝ぶり。

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 赤い花と空の青とがコントラストをなして、とても美しい光景を演出していました。

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 こちらは白梅。アップしてみます。

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 神社入り口に一本だけ河津桜が咲いていました。

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 今年初のさくらとのご対面!やっぱり桜のほうが好きかな。

 

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薔薇にまつわる文学、美術、薔薇の名前ーー旧古河庭園下

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 「初恋」

 薔薇の話を続けましょう。[by any other name] (他のどんな名前だったとしても・・・)というフレーズがあります。このフレーズはシェークスピアの「ロミオとジュリエット」の中に登場します。

 互いに敵対する家柄に生まれた2人、ジュリエットはロミオに、その家名を捨てて家柄からの呪縛から自由になって欲しいと願い、こう話します。

 「名前なんかに何があるの。薔薇と呼んでいるあの花を、他のどんな名前で呼んだとしても、同じように芳しいことでしょう。」

 その名前が例えバラでなくなったとしても、薔薇の美しさ、高貴さ、芳しい香りが変わることはない。ロミオだってモンタギュー家の苗字じゃなくとも、ロミオ自身に何の変わりもないのに・・・。

 この言葉から、by any other name のフレーズは薔薇を表現する言葉の象徴とされ、イギリスなどで出版される薔薇の本のタイトルにこのフレーズが使われたりしています。

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 「コンラッドヘンケル」

 また、人生の教訓としてよく引用されるのが「刺のない薔薇はない」という表現です。美しいものにたどりつくには、苦労や困難はつきもの。確かにそうですね。

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 「シャルル ドゴール」

 女流彫刻家カミーユ・クローデルは、ロダンの愛人だったことでも印象深い人ですが、彼女の兄ポール・クローデルは外交官で詩人でもありました。そのポールの残した言葉。

 薔薇曰く 我を守るもの そは刺にあらずして 匂い

 薔薇が存在し続けられた最大の“武器”は、決して攻撃的な刺ではなく、その芳しい香りによって他からの愛を獲得してきたことによるものだ、ということですね。

「北風と太陽」のエピソードを思い出します。

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 薔薇は絵画の分野でも大活躍です。例えば、ルネサンスの代表的な作品「ヴィーナスの誕生」。中央に立つヴィーナスと、風を送るゼフィロスとの間には沢山の薔薇が宙に舞っています。パラダイスのような光景には、薔薇が似つかわしいと、ボッティチェッリも考えたんだろうと思います。

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 花好きな画家シャガールには、その名もズバリ「薔薇」という作品があります。幸せそうな2人の頭上には大輪の薔薇の花束。もう説明の必要はありませんね。

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 キリスト教でも薔薇はしばしば登場します。視覚的にわかりやすいのはゴシックの大聖堂に付き物の「薔薇窓」。

 薔薇は聖母マリアを象徴する花と考えられています。大聖堂の多くは「サンタマリア(聖マリア)「ノートルダム(我らが聖母)」など、聖母の名を冠した名称が付いています。従って聖母に捧げられた建物に象徴としての薔薇窓が設置されるのは必然となります。

 たいていは正面入口上部に設置されるので、西側に向いています。従って聖堂内で薔薇窓から差し込む光を一番強く感じることの出来るのは、晴れた午後の時間帯ということになります。大聖堂見学はこの時間帯がお勧めです。(写真はフランス・ランス大聖堂の薔薇窓)

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 「ダイアナ(プリンセス オブ ウエールズ)」

 雑学的な話が長くなりました。本来の薔薇の花鑑賞に戻りましょう。ここからは人名の付いた薔薇をピックアップして行きます。

 これはイギリスの故ダイアナ妃に捧げられた花です。

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 「マサコ(エグランタイン)」

 こちらは日本の皇太子妃雅子さまに捧げられたもの。

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 「ロイヤルプリンセス」

 完全な人名ではありませんが、これは敬宮愛子内親王の誕生を祝って名付けられたそうです。

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 「プリンセスミチコ」

 美智子皇后が皇太子妃になられた時に捧げられたものです。

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 「ソニア」

 皇室関係以外に移りましょう。ソニアは、この品種を作った人の娘さん。こんな個人的な命名もあるんですね。

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 「シャルル ドゴール」

 フランスの将軍で大統領も務めた人名。いかつい男性の名前が付いた割には、とても優しく高貴な雰囲気の薔薇です。

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 「マダムサチ」

 鈴木善幸元首相の夫人名。開発者も鈴木さんでしたから、何か繋がりがあったんでしょうか。

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 「マリアカラス」

 イタリア歌劇界を代表するオペラ歌手。やっぱり情熱の赤が似合います。

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 「カトリーヌ ドヌーブ」

 フランスの大女優。複雑に重なる花びらが彼女を連想させます。

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 私が行った日は夜間ライトアップがありました。この洋館は、明治から大正にかけて鹿鳴館、ニコライ堂などを設計した英国人建築家ジョサイア・コンドルによって造られたもの。薔薇園の雰囲気とよく似合っていました。

 なお、薔薇のエピソードに関する記事は熊井明子著「人はなぜ薔薇を愛するのか」(ベネッセ)を参考にしました

 

 

 

 

 

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麗しき薔薇たちの競演ーー旧古河庭園にて 上

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                     「丹頂」

 何と魅力的なんだろう。

 ただ美しいだけでなく、妖しいほどに奥深く

 秘密の香りさえもはらんで花開く

 神秘の 薔薇

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 先日、東京都北区にある旧古河庭園に行ってきました。ここには約100種類もの薔薇が植栽されています。ちょうど春の薔薇たちがほぼ満開の状態で咲き誇っており、豊かな香りと共に薔薇の花々を堪能してきました。その中の一部を紹介したいと思います。(それぞれの写真の下のカギカッコ内が品種の名前です)。

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 「ロイヤルプリンセス」

 薔薇は3500万年前から存在していたそうで、化石が発見されています。発祥の地はヒマラヤ山脈付近とのこと。

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 「プリンセスオブウエールズ」

 薔薇は、最初は白い薔薇だけでした。清純なイメージですね。

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 「コンラッドヘンケル」

 しかし、ギリシャ神話によると、ある出来事によって赤い薔薇が誕生します。

 ヴィーナスが瀕死の状態になった恋人アドニスに駆け寄ったとき、バラのトゲを踏んでしまいました。足から流れ出た血は白バラを赤く染めて行きます。そこで、ヴィーナスの血の色を受け継いだ新しいバラ、赤い薔薇が誕生したというわけです。
 

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 「クレオパトラ」

 薔薇はいつの時代も花々の中のスター的存在だったような気がします。あのクレオパトラの薔薇好きは有名で、薔薇の花びらの風呂に入っていたそうですし、シーザーを迎える時は部屋中に薔薇の花を敷き詰めたとのエピソードも残っています。

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 「香貴」

 元々の野生種・ワイルドローズは、世界で200種類でしたが、これを人工的に組み合わせることで、現在では2万種類もの薔薇が創り出されています。

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 「紫雲」

 その歴史に貢献したのが、ナポレオンの妃ジョセフィーヌでした。彼女は多くの植物学者、栽培職人を集めて薔薇の研究をさせました。その中で、アンドレ・デュポンは人工交配に成功、そこから次々に新品種を増やして行きました。フランス革命直後の1791年にはフランスの薔薇のカタログはたったの25種だったのが、1829年には4000種にもなったといいます。

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 「恋心」

 日本の文学にも薔薇はしばしば登場します。個人的に好きなのは与謝野晶子のこの歌。

   野茨をりて  髪にもかざし

   手にもとり  永き日野辺に

   君を待ちわびぬ

 4月の京都円山公園の桜の回に、晶子の歌を紹介しましたが、彼女の歌は、生身の息遣いが伝わるような感覚を感じます。ただ、この歌はとても淡い雰囲気ですよね。

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 「フラグラントレディ」

 与謝野晶子をもう一首

  かくまでも   心残るはなにならむ

  紅き薔薇(そうび)か 酒か そなたか

 対してこちらは恋愛が少し進んだ状態での心境かも。

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 「スーパースター」

 紅の 二尺伸びたる 薔薇の芽の

 針やはらかに 春雨のふる

こちらは正岡子規。静かに濡れそぼる薔薇の情景が目に浮かぶようです。

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 「バニラパフューム」

 咲き満ちて  雨夜も薔薇の  ひかりあり

こちらは水原秋桜子の一句。

夜の闇から浮かび上がる薔薇の鮮やかさが引き立つ描写がすごい。

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 「熱情」

 薔薇の花言葉は色によって違います。こんな赤い色は「情熱」。

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 「初恋」

 白い薔薇の花言葉は「清らかな愛」。品種名にも花言葉にぴったりの名前が付いていました。

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 「ゴールデンメダイヨン」

 黄色の花言葉は「冷めた愛情」。この薔薇だけは贈られたくないですね。

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 「コンラッドヘンケル」

 本当にバラエティ豊かになった薔薇ですが、個人的にはやっぱり深紅のバラが一番魅力的に感じます。
 

 

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降り注ぐ藤の花びらーあしかがフラワーパーク

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 栃木県の南の端・足利市に「あしかがフラワーパーク」という公園があります。ここの名物は藤の花。ちょうど5月のこの時期は大藤祭りが開催され、見事な藤を見ることが出来ます。

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 東京からは東武線で足利市駅まで行き、そこから出ている送迎バスでパークまで行きました。

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 一番の見どころは、巨大な藤棚から降り注ぐように咲く藤。

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 大きな木は樹齢145年を超えるそうです。

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 園の中ほどには池があり、白藤も花盛りでした。

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 地面にこぼれ落ちた花びらがあふれ、周囲は紫一色。

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 大藤棚の面積は1000平方mもあるとか。

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 影になった場所の花が奥の光の中でシルエットになります。

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 特に、まだつぼみの花が垂れ下がる。そんな姿が優しい。

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 青空がバックだと、一層いいですね。

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 白藤もあちこちで見かけました。

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 白い藤と紫の藤、どちらが好き? 意見は分かれるでしょうね。でも、私はやっぱり紫かな。

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 沢山の観光客が来ていました。ほとんど風がなかったのですが、この時は一瞬風で花が揺れて傾きました。真っ直ぐ直線より、曲線の変化があったほうが、味わいが出るのかな、とも思いました。

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ベゴニアと熱帯の花々ーー京都府立植物園で

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 先月上旬京都に行った時に、府立植物園を見学しました。桜の花が主目的だったのですが、植物園だけに様々な花が咲いていました。それで今回は、そこで見た花の写真をいくつかご覧頂きます。

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 一番目に留まったのはベゴニア。というのも、園内で「ベゴニア展」という特集をしていたんです。名前はほとんどうろ覚えなので、間違いも多いと思いますが、残っていたメモを頼りに一応記載しておきます。これはカメリアホワイト。

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 この真っ赤なベゴニアはラッフルド・カメリア・スカーレット。

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 こんなピンクの縁取りのあるベゴニアもありました。

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 ベゴニアの花言葉は、赤系だと公平、片思い。

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 白系は親切、片思い。どちらにしても片思いは共通しているんですね。

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 こんな華やかな種類もありました。

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 こちらはベゴニア展だったか,その他の場所だったか・・・。

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 変わって、熱帯植物のコーナーで見たものたちです。こちらはメモしてきました。ジェイドバイン。

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 ゲラニウム。紫がきれい。

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 ファレノプシス。この名前は聞いたことがありました。

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 テンドロビウム。全くの初耳です。

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 プセイドボムバクス。こちらに至っては果たして花なのかどうかもわかりません。

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 これは熱帯コーナーから出たところにあった花。

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 これははっきりわかります。園内の広場にあふれるように咲いていたチューリップ。

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 そして、春の日差しを受けてキラキラと輝いていたツツジ。見事なきらめきでした。

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京都さくら巡り下 平安神宮、妙心寺、植物園

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 紅色の滝が 鮮やかな軌跡を描いて 流れ落ちる

 春の数日間 年に一度だけ現れ

 邯鄲の夢のごとくに はかなく消える 紅色の滝

 漆黒の闇を背に 熱を帯びて輝く 幾筋もの流れは

 ほのかな風を受けてさえ 震えて 跳ねる

 千二百年の歴史が培ってきた 京の雅を

 その細い枝と花びらに 凝縮させて

 弾けて 揺れて 舞い落ちる

 妙なる 心の 桜滝

            <妙心寺退蔵院の紅枝垂れ桜>

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 京都府立植物園に初めて入ってみました。晴天の下のソメイヨシノは眩しいくらい。

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 清々しい花びら。ここではさくら以外の花も撮りましたが、それらはまた別の機会にアップしたいと思います。

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 平安神宮に移動しました。約一万坪の広い神苑に300本の桜があります。

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 神宮の朱塗りの社をバックにした桜は、優しく映ります。

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 紅枝垂れが青空を覆うように咲き誇っていました。谷崎潤一郎は「細雪」の中でこの桜についてこう記しました。「この一瞬の喜びこそ、去年の春が暮れて以来一年にわたって待ち続けていたものなのである」。

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 神苑散歩。栖鳳池越しに見る桜のピンクが池の水面一杯に滲み出して、陸と池との境目がなくなってしまったよう。

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 池に架かる橋殿も花越しに見ると一段と風情が増して見えました。

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 桜の一枝が水面近くまで垂れ下がっていました。これも風雅。

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 京都だと、何でもきれいに見えてしまう気分になります。すっきりとした空気感が心地よい。

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 散歩のついでに真如堂まで歩きました。ここの三重塔の下にある枝垂れ桜はもう葉桜になっていました。このころには夕暮れが迫り始めたので、塔と夕陽を1枚撮ってまた移動です。

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 右京区にある妙心寺退蔵院にやってきました。ここは夜のライトアップをしていました。開門時はまだ照明が点灯しなかったので、花びらをアップしてみました。

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 30分ほど過ぎてライトアップ開始。空の青をバックにして桜が輝き出します。

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 紅枝垂れ桜の枝の内側に入って満開の桜を中から見つめます。素晴らしい光景に出会えました。

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 一枝だけのアップもまた美しい。


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 桜色に囲まれた夢の世界。至福の瞬間でした。

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