シチリア エリチェ

芸術的な石畳、2700年前の石垣ーエリチェ散策

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 この町の大きな特色の1つは石畳の道。通常石畳と言えば、四角い石を地面に敷き詰めた単調な形を連想するが、ここの石畳はかなり変わっている。

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 30cmほどの四角い囲みを細長い石で形成し、その中に細かい石を詰める。それが1つの単位となり、その連続によって路面が埋められている。

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 しかも、それぞれの道ごとに構成が微妙に異なり、

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 別の道に入るたびに違った印象を与えてくれる。

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 もっとも古い時代のものと思われる所は、四角のない一本線だけの石畳になっていた。

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 このように中面の石が実に細かく、しかも小石で×印を作っていたり、

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 ウンベルト1世広場では、中面に結構大きな石が使われていた。

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 また、交通量の多いこの通りは太い2本線が走っている。馬車が走りやすいように車の部分を滑らかにと、工夫したようだ。それが、今では自動車走行に役立っている。

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 石は主として石灰石が使われているが、昼の光を受けることで、黒光りしたり明るく輝いたりと、七変化を見せる。

 こうした道の造成は、通常の造成より何倍も手間と費用がかかるだろうに、あえてこうした手間をかけるということは、この土地が神聖な神殿を持つ町だったこととも大きく関係しているのかもしれない。

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 また、町の西北端に連なる城壁も、特色の1つだ。カルミネ門周辺の下辺の大きな石は紀元前8世紀!のエミリ族が造成したもの。上の部分は紀元前6世紀のカルタゴ人のものといわれる。

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 そんな気の遠くなるような昔の工作物が、今もなお厳然と残っている。

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 それもシチリアのはずれの山頂の町なのだから、信じられない思いだ。

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 ようやく石垣が終わるスパーダ門まで来た。

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 そこには広々と広がる“下界”の風景があった。なんか、神の視点で人間界を見下ろしているかのような気分を、一瞬だけ味わった。

 次回は一旦シチリアを離れ、パリ郊外の町でゴッホ最後の70日を訪ねます。



























 

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エリチェの高台に建つサン・ジュリアーノ教会 

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 エリチェの街歩きをしていると、あちこちの地点から2つの塔が望める。これがサン・ジュリアーノ教会の塔とクーポラだ。

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 早速中に入ってみよう。主祭壇には「山の聖母」と題されたガエタノ・コスタの絵がある。絵の後方には白いレリーフが大きく広がっている。

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 この像は、教会名にもなっているサン・ジュリアーノの像だ。

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 とてもスマート?な階段。でも昇っても行き止まりになっちゃうんだけど・・・。

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 こちらの絵もガエタノ・コスタの作品。

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 ガエタノさんは、この教会とどんな関係にあったんだろうか。

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 木像がいくつかあった。この教会は、トラーパニのプルガトリオ教会と同様に聖劇(ミステリ)の木像が置かれているはずなんだけど、この日は見つからなかった。

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 そのかわり、壁に描かれている左右対称のレリーフがとても優雅で目の保養になった。

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 エリチェの教会はどれもが白壁が基調で、清潔感たっぷりのところばかりだった。

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 木製の磔刑像。これこそかなり古そう(後で調べたら17世紀のもののようだ)。左足は縦長の穴が開いている。

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 教会の塔は夕暮れ時のシルエットが印象的。

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 散歩の途中、道端に咲く色々な花に出会った。

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 どの花も全く自分を主張することもなく、

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 ささやかに、ひっそりと咲いていたのが,返って心に残った。
































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意外性にあふれたサン・マルティーノ教会とユーモラスな絵皿

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 町の真ん中付近にとても質素なこじんまりとした教会を見つけて、入ってみた。

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 ところが、中は外見とは全く違う美しい教会だった。

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 中央のクーポラから後方の主祭壇にかけて、白く輝く堂内の凛としたたたずまいは、完全に先入観を吹っ飛ばすものだった。

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 置かれてある像も現代的。

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 聖母も幼子キリストもすべすべお肌。

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 天井にも何枚も絵が描かれている。

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 クーポラの円内にも細かい模様が丁寧に細工され、

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 主祭壇の聖母子像は、金縁の枠で装飾されていた。

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 こちらの像も現代女性がモデルのような顔立ち。

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 数珠を見つめる男の像。これって何を表現しているのかな?

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 側廊もきめ細かな装飾で造りこまれていた。こんな未知の場所にも素晴らしい教会がある。エリチェ恐るべし。

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 ここにも下半身を炎に包まれる男の像があった。トラーパニでも見かけたんだけど、何のエピソードを表しているのか、知っている人がいたら教えてください。

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 教会からすぐ近くに絵皿を売る店があった。

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 こんな風にアニメチックな絵皿が面白い。

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 カラフルだし、南国に別荘でも持っていたら是非ベランダあたりに飾っておきたいようなものがいろいろあった。



































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クリーム色のドゥオモ  エリチェ・マトリーチェ教会

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 エリチェのドゥオモであるマトリーチェ教会に入った。1314年創建のゴシック様式。ただ、フランスの壮大なゴシックを見慣れてくると、全く趣の違いを感じる。

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 中に入ってみてびっくり。温かいクリーム色で包まれていた。内部は19世紀になって改造されたという。

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 よく見ると、天井も全面的に細かい浮き彫りが施されていた。

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 ここまで丁寧に細工を施した職人たちの心意気が伝わってきそうだ。

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 祭壇は、聖母子を中心に左右に聖人たちを従えて、すっきりした造り。

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 別の祭壇には彫刻ではなく絵画の聖母子。

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 さらにこちらの礼拝堂にも聖母子の彫刻と絵画。

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 堅牢な外見とは全く違った、透き通るような内部の清潔さには本当にびっくりした。

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 向かいにある鐘楼・ファデリコの塔に昇った。これは13世紀の建造当初は物見の塔だった。螺旋階段は非常に狭いので、ぽっちゃりの人には相当厄介な構造になっている。

 昇り切ってはるかティレニア海を望む。この海岸線の南側では今でも海から塩を作る塩田がある。

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 トラーパニの街。岬が長く突き出ている。

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 ケーブルカーの鉄塔が続く。強風が吹き荒れ、雲の動きが激しい。

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 北側、エリチェの街並みが見晴らせる。

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 急な坂道の奥に教会らしき建物が見える。

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 レンガ色の街はなかなかの風格さえ感じる。





























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エリチェ散策ー果物のお菓子、眠る犬、霧で迷子に!?

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 町のメインストリート、ヴィットリオ・エマヌエーレ通りには、目まぐるしく変わる天候にもかかわらず結構観光客を見かけた。

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 家族連れ、乳母車の一行も。でもどうやってこの山まで乳母車を運んだんだろうか?あ、自家用車なら荷台に積んでこれるよね。

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 その通りの途中にあるお菓子店は、シチリアだけでなくイタリア中に有名な店だという。その理由はこれ。上の段をよく見ると、どれもまるで本物のフルーツのよう。

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 サクランボ

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 夏ミカン

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 イチゴ

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 そしてトマト。この店は「マリアグラマティコ」といい、マリアおばさんの店。パレルモに素晴らしいモザイクで有名なマルトラーナ教会があるが、昔その付属修道院の運営費を賄うために造られたのが始まり。名前も「フルッタ・マルトラーナ」と呼ばれる生アーモンド菓子で、今ではシチリア全土で見られるほど普及している。でも、ダントツで美しいと評判なのがこの店。マリアおばさんが若い時から直々に修業して完成させたものだという。本当に見事な出来栄え。ただ、甘いものが苦手な私は遠慮してしまった。

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 そんなお菓子店のすぐ先、ウンベルト1世広場には、いつも犬たちがうろうろ。でも、こんなふうに好奇心たっぷりに振り向いているのは、かなり珍しい。

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 通常は、だいたいこんな風に路上で死んだように眠る姿ばかりが目に付いた。P4069513

 「眠る犬たち」の光景は、シチリア名物とさえなっているという。犬にとってシチリアはそんなに平和なのかなあ・・・。

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 そのうち、急にこの広場に霧がわいてきた。

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 早めに夕食を摂ってホテルに帰ろう。

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 おいしいスパゲッティ・ボンゴレに満足して外に出たら、霧は町全体を覆い尽くしていた。

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 数メートル先が見えない。一旦ほてると反対方向に歩き始めて、またレストランまで引き返した。時折通る車のヘッドライトの光だけが手掛かりといった状態だ。

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 さっき犬とたわむれたウンベルト1世広場もこんな状態。少しずつ少しずつ、かすかな記憶を頼りにホテルに向かった。昼に2度ほど通りを歩いていたために、かろうじて道の記憶が脳裏にあった。

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 それでも迷い迷いしながら、どうにかホテルにたどり着くことが出来た。もし全く初めての道だったら、完全に路頭に迷うところだった。あぶない、あぶない。!



































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ホテルからのパノラマビュー

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 エリチェのホテル・ヴィッラ・サンジョヴァンニでは「パノラマビュー」の部屋をリクエストした。ホテル自体が南東側のがけっぷちに建っているので、東側の海岸が一望できる。先端に小高い山を持つ海岸で、その山がインパクトのある風景を形成している。

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 なかなか空がすっきりと晴れない天気だったが、瞬間瞬間に遠くまで見通せることがあり、その変化を楽しんだ。特に昼と夜では全く違った色合いの景色になり見飽きなかった。P4059416

 ただ、一番期待していた夕焼けや朝日の時間帯は曇ってしまって残念だった。

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 シチリア西北端の海岸線がすっきりと見えた瞬間はこのような感じ。

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 特に海に突き出した山の姿が特徴的だ。

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 午後、その山が霧に覆われ始めた。

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 徐々に色づき始め、

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 見事に山全体が赤く染まった。

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 夜中、目覚めたついでに下界の様子を覗いてみた。道路の照明だけが線状に延びている。

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 明け方、わずかに雲が切れ、空がほんのわずかだけ顔を見せた。

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 すっかり夜が明けた。雲の切れ目から輝く光が差し込んだ。

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 よく晴れた朝の一瞬。

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 いろいろに変化に富んだ風景を楽しませてくれたシチリアの海岸線だった。





































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天空の聖域へーエリチェ巡礼

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 トラーパニを後にして次の目的地エリチェに向かった。目指すはあの山の頂上。バスは鉄道駅の近くにあるバスターミナルからAST社が運行している。もう1つロープウエイという方法があるが、連日の強風でこのところずっと運行停止になっていた。

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 バスで約1時間。標高751mと、特別に高いわけではないのだが、港の海抜0mから切り立った坂道を結構なスピードで登るので、かなりスリリングな移動時間だった。

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 町の入口は南西の端にあるトラーパニ門。ここをくぐるとすぐ左手に

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 マトリーチェ教会がある。ここがこの町のドゥオモ。訪問は後刻ということで、まずはホテルを目指す。

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 ところが、これが大変だった。トラーパニ門は町の中で最も低い場所。どこに行くにも急な坂道が待っている。しかも路面は変則的な石畳のため、スーツケースがガタピシと今にも壊れそうな大きな音を立てる。道もせまく迷路のようで、なかなか方向が分からない。悪戦苦闘の末にやっとホテルに到着したのは、1時間以上も後のことだった。

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 チェックインを済ませて、街歩きを始めた。ホテルのすぐ近くにあるのがノルマン城。ここはもともと紀元前10世紀に先住民族のシカニ族が豊穣の女神のための祭壇を創った。

 その聖域は、次にエリミ族がカルタゴとの同盟によって強固な城に補強、地中海全体からの巡礼者を集めるまでになった。次いでカルタゴ人がここをアスタルテ女神の聖域に指定。その後ギリシャ人がアフロディーテの、ローマ人はヴィーナスの神殿とするなど、支配者が変わっても常に聖地としてあり続けた。

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 だが、次にキリスト教を信仰するノルマン人が支配したことで、ここは城に変更され、聖域はここの反対側・西端に建てられたマトリーチェ教会に変更され、今では城跡を残すのみになっている。

 それにしても、町1番の高台の岸壁にそそり立つ姿は「天空の城」という表現がぴったりくる。しかもこの日は終始吹き飛ばされるくらいの強風が吹き荒れていて、ちょっと怖いくらいだった。

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 谷の途中にへばりつくように建つ建物もあった。ペポリ侯爵の館。

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 城の手前にある塔からはパリオ公園という小公園になっている。

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 そこから西側を見るとエガディ諸島が望める。

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 展望台付近では、束の間の太陽にそろって日向ぼっこ。

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 というのも、あっという間に霧がわいてきて

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 城壁も霧に隠され、

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 残念ながら海岸線もかすんでしまった。

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 ただ、そんな時でさえも幸せオーラを発散して歩いてゆく恋人たちの姿が、木々の合間からシルエットとなって浮かび上がった。一瞬、幸せのおすそ分けをもらった心地よい気分が広がった。



































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