VENEZIA 教会巡り

サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会

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 フランチェスコ教会の西方、バポレットのオスペダーレ停留所近くにあるのが、このパオロ教会だ。ヨハネ(ジョヴァンニ)とパオロという二人の聖人名をまとめて名付けられた欲張りな教会は、名前にふさわしく壮大な建物と内容を持っている。

 内部に入る前に広場の騎馬像に注目だ。これはバルトロメオ・コッレオーニの像。ヴェロッキオの作品だ。ベルガモ出身の傭兵隊長だったコッレオーニは、「サンマルコ」に像を建立するという条件で資金を提供したのだが、ヴェネツィア政府は個人の像を都市の政治的、精神的中心地である「サンマルコ広場」に置くつもりは全くなく、「スクオーラ・グランデ・サンマルコ」(サンマルコ同信会館)のあるこの広場に像を設置したという。ヴェネツィア人はこのエピソードがとても好きなのだとそうだ。

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 その同信会館が写真後方の建物で、教会と隣接しており、今は市民病院になっている。病院という意味のイタリア語が「オスペダーレ」で、その名称が最寄の停留所名になっているというわけだ。カーニバルのときは、サンマルコ広場周辺だけでなくこの広場にも仮面の人たちが出没していた。

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 教会内部でも、個人的なお気に入りは左翼廊の奥にあるロザリオ礼拝堂。ヴェロネーゼの絵画が天井を彩っている。この絵は「聖母被昇天」。仰視法を使い、聖母マリアが天に昇ってゆく姿を華やかな色調で描いている。じっと見上げているだけで心の中に高揚感が湧き上がり、幸せな気分にさせてくれる絵画だ。

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 こちらは壁に掛けてある「キリスト誕生」。手前下側の聖家族に光のスポットを当てて後方を闇に霞ませた劇的な手法が、いかにもヴェロネーゼらしく、これもまた印象的な絵画だ。

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 ヴェロネーゼ以外にも著名な絵画が何枚もある。ジョヴァンニ・ベリーニの「聖ヴィンツァンツァ・フェッレリ」もその中の一枚だ。大きな祭壇画で、一枚の板に9枚の絵が描き分けられており、中央の人が癒しの聖者といわれたタイトルの人物だ。

 横幅85m、奥行き32mという、ヴェネツィアではフラーリ教会と並び、サンマルコ大聖堂をしのぐほどの大きさを誇るこの教会には、海洋国家の反映を支えた当時の最高権力者(ドージェ)25人もが祭られている。

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サン・フランチェスコ・デッラ・ヴィーニャ教会

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 久しぶりにヴェネツィアの教会を巡ろう。場所はカステッロ地区の東北部、バポレットのチェレスティア停留所近くにある教会だ。私が出かけたのは、真夏のよく晴れた午前中だった。まぶしい陽光のあふれる広場から入口の扉をくぐると、急に闇に閉じ込められたような状態になり、しばらく目を慣らさないと何も見えないほど暗い空間があった。

 そんな中で主祭壇がふんわりと赤く染まっている。他のどこの教会に行っても、赤くライティングした教会など見た事がなかった。なぜ?   よく目を凝らすとその理由がわかった。祭壇後方の窓が赤い垂れ幕で覆われており、その布を通して夏の日が漏れてきている。とても強い光なので垂れ幕の赤を反映して祭壇全体が赤く染められていたのだ。意図的ではないのだろうが、何とドラマチックな演出になっているのだろうか。こんなハプニングに出会うのも、ヴェネツィアの旅の楽しみだ。

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 教会の外観。街の中心部からは離れているので全く観光客もおらず、静かなたたずまいが魅力だ。この鐘楼はかなり高く、サンマルコの鐘楼から見るとすぐに見つけられる。

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 絵画の中で最も印象的なのは、ネグロポンテの「聖母子」だろう。主祭壇の右側礼拝堂の右横、つまり、祭壇から入口方面に向かって振り返らなければ見えない場所に飾られている。しかも、絵そのものが暗い色調なので、うっかりすると見過ごしてしまいそうだ。

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 聖母は少し首を右に傾け、イエスをひざに抱いて両手を合わせるという敬虔な姿で描かれている。周囲の従者たちに比べて聖母は一段と大きく、その偉大さを強調するかのようだ。上方にまるで海の波のような模様と鮮やかな果実と葉による花輪のアーチが描かれて躍動感を与える一方、下の部分には鳥たちが遊ぶ風景があり、なんとも不思議な印象に包まれている。必見の一枚。ぜひ0・2ユーロでライトをつけてご覧あれ。

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 帰ろうとしたとき、神父さんが現れ、「隣の聖具室にはベッリーニもあるので、御覧なさい」と、教えてくれた。「聖母子と聖人たち」。ネグロポンテの聖母とはまた違った静謐な表情のマリア様だ。

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 中庭ではこのとき、現代作家によるインスタレーションも行われていた。新旧入り混じった意外性に富んだ教会でもある。

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キオッジャ2

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 アクセス数1万回突破しました!

 このブログは昨年5月のゴールデンウイークからスタートしましたが、4月14日、1年足らずでアクセス数が1万回を超えることができました。未整理のまま溜まっていた写真や資料を整理することが第一の目的だったので、あまり皆様に見やすい形での提示ではなかったのですが、それにもかかわらず繰り返し訪問してくださった皆様に、心から感謝です。これからもヴェネツィアが中心になりますが、さらにイタリア各地やもっと広くヨーロッパの風景も徐々にアップしていくつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。

 さて、キオッジャの2回目は港からリド島への帰り道に出会った海の風景をご覧頂こう。これは初めてキオッジャに行ったときの帰り道。夏の遅めの午後、逆光を受けて海がギラギラと輝いていた。

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 こちらは昨年1月の夕方。夕陽の赤とラグーナの水面の青とが滑らかに溶け合って、これまで出会ったことの無いような不思議なうねりをみせてくれた瞬間だ。

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 陽は沈み、赤色は一層濃くなり、キオッジャの街のシルエットがかすかに水平線のかなたに浮かぶ。

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 養殖棚のシルエットが、空と海の微妙な色彩を分けるように浮かび上がり、夜の訪れを告げる海鳥の鳴き声が海面に響いていた。

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 短い船の旅も終わりに近づき、間もなくペレストリーナに到着するころ。対岸の山々も宵闇に隠れようとしていた。

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キオッジャ1 サン・ドメニコ教会

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 本島以外の教会巡りの最後はキオッジャにあるサン・ドメニコ教会を訪れよう。キオッジャへ行くには2通りのルートがある。1つはローマ広場からバスで本土側を走るコースで、1時間以上もバスに揺られて到着する。途中海水浴場のあるソットマリーナを経由するが、夏に行ったときはここで大半の人が降りる。居眠りをしていた私もあわてて降りてしまい、残りの道を30分も汗だくで歩いた経験がある。もう一つのルートはリド島からバスと船を乗り継いで行くコースで、景色という点ではこちらがお薦めだ。

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 海辺にはこんな船の係留所もあった。格好のかもめの休息所になっていた。

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 好天の休日だったせいか、街中には洗濯物が運動会の万国旗のようにひるがえっていた。左端の青い飾りは、この家で子供が生まれたことを記念するお祝いのぼんぼりだ。

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 ドメニコ教会の祭壇にあったキリスト磔刑像。神父さんの説明によると、このキリスト像は右端に立って見上げると目をつぶっているように見えるが、左端に立つと目が開いたように見えるという。これは左側から撮影したのだが、目が開いているように見えるだろうか?

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 神父さんが自慢していたのはこの絵。カルパッチョの晩年の作品「聖パウロ」。わざわざライトを付けてみせてくれた。この町はかつては独立都市として栄えた土地だが、今はのどかな漁業の基地という印象だった。

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サンタ・マリア・エ・アッスンタ教会

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 今回はヴェネツィアで最初に人が住み着いたという原点の島・トルチェッロ島の教会を訪ねよう。ここには5世紀に本土から移住が開始され、司教座もここに移されて7世紀頃には人口2万人という繁栄を誇った。しかし、マラリアの多発などから14世紀には島ごと放棄されてしまい、現在は住人数十人というさびしい島になってしまった。しかし、7世紀に建設されたこの教会は健在で、ビザンチン様式の優美な姿をここにとどめている。

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 本島のフォンダメンタ・ノーヴェ停留所からブラーノ島乗換えでトルチェッロ島に着くと、こんな可憐な像が出迎えてくれる。ここからちいさな小川のような運河沿いに歩いてゆく。

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 ほどなく、この手すりのない橋が見えてくる。昔は手すりのない橋が一般的だったそうだが、今はこことカ・ドーロの裏手、キオード橋の二か所だけになってしまった。こちらの名前は「ポンテ・デル・ディアヴォロ」 悪魔の橋という何とも恐ろしい名前が付けられている。通行禁止の標識が立っていた。

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 10分ほど歩いて教会の前に到着した。その前の広場にはこんな椅子が屋外に置かれている。「アッティラ大王の玉座」と呼ばれているが、トウチェッロ島初期の裁判官の椅子だったとされる。ここに二人で座ると1年以内に結婚できるという伝説もあるそうだ。

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 何といってもこの教会後陣に描かれたモザイクの聖母像が、圧倒的な存在感で迫ってくる。作家須賀敦子がこう描写している。

「しばらくじっとしていると、目が暗闇に慣れて、ほの暗い祭壇の後の丸天井のモザイクがうっすらと金色に輝き始めた。天使も聖人像もない背景は、ただくすんだ金色が夕焼けの海のようにひろがっているだけだった。それが私には天上の色にみえた。(中略)渋い青の衣をまとった長身の聖母が、イコンの表情の我が子を抱いて立っている。その瞬間、それまで自分が美しいとした多くの聖母像が、静かな行列をつくってすっと消えて行った」 

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サン・ミケーレ島

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 教会巡りの途中、ブラーノ島からの帰り道にお墓の島・サン・ミケーレ島に立ち寄った。ここは島全体がヴェネツィアのお墓になっている。中でも最も印象的だったのがこのお墓だ。ヴァレンティナ・ディアナさんというバレリーナの女性で、若くして亡くなったことから、遺族がこの墓を建立した。金色のバレーシューズが供えられ、華やかな舞台の写真も添えられている。涙を誘う光景だ。

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 墓地に入った瞬間、全体が花で埋め尽くされた全景に圧倒される。よく見るとそれらの花はほぼすべてが造花。だから、一年中季節を問わず花で覆われている。このような風景はあまり見ることが出来ないもので、ある意味必見の場所ともいえるだろう。

もともとは本島の各教会の墓地に埋葬されていたのだが、18世紀に衛生上の理由などから政府が一斉にこの島に“移住”させたのだという。

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 壁に花束が並ぶのは合同の納骨堂。こちらの埋葬は火葬ではなく土葬のため、一旦墓石の下に埋葬された後2年後に掘り出される。というのはこの島ももう定員オーバーの状態で、敷地がなくなっているからだ。その後、再埋葬の費用を支払って永代供養が可能になるのだという。

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 有名人の墓もある。こちらは作曲家ストラビンスキーの墓。左が本人で右は奥さん。石でト音記号が描かれているのでわかりやすい。

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サン・マルティーノ教会

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 ムラーノ島の次は、ブラーノ島に足を伸ばそう。ここには16世紀の教会サン・マルティーノがある。ここで最も有名なのが傾いた鐘楼だ。2年前にはその鐘楼がすっぽり修復用の骨組みに覆われていたので、少しは傾きを直すのかと思っていたが、昨年暮れに訪れたときは修復は終わったものの、傾きはほとんど直っていない様に見えた。

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 この教会の至宝は、ジャンバティスタ・ティエポロの「苦難」。彼の初期の作品だが、ドラマチックな画面構成は必見の一枚だ。

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 この像の主はどこかで見たような・・・と思っていたら、何とマリア・テレーザの肖像だった。ヴェネツィアの古い教会にマリア・テレーザがいらっしゃるとは、まさに意外な取り合わせでちょっとびっくり。

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 ブラーノ島は建物の色がカラフルなことでも有名だが、運河に映った風景もなかなか面白かった。

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 島からの帰り道、バポレットの中から遠ざかる島を眺める。こんな遠くからでも、傾いた鐘楼ははっきりと認めることが出来た。

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サンティ・マリア・エ・ドナート教会

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 次に、ムラーノ島の古い教会を訪ねよう。本島北西側にあるフォンダメンタ・ヌオーヴェ停留所から42番バポレットで15分ほどで簡単に行くことが出来る。7世紀ビザンチン様式のこの教会は、12世紀に現在の建物に改築された。レンガ造りの重厚な概観に、2本組の柱列だけが白い大理石で強烈なアクセントになっている。裏側の入口を入ると、孔雀、鶏などの床のモザイクが出迎えてくれる。

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 ハイライトは後陣の天井にある聖母像のモザイクだ。最初に入ったときは10数人の団体観光客がいたため、一度外に出て、改めて無人の教会に足を踏み入れる。賛美歌がかすかに流れる中、中央祭壇の天井に描かれた聖母像と対面する。

 金色の背景の中央に、青い衣に身を包み両の手のひらを前に差し出したマリアが、すっくと立ち上がっている。くっきりとした目鼻立ち、意志の強さを思わせる顔立ちだ。腰から右ひざにかけての衣のひだの流れは、人間マリアの質感を伝える柔らかさに満ちている。左右に開いた窓からさす光が、背景の金色をきらめかせ、空間に浮かび上がる聖母の姿を際立たせる。見つめているうちに心が洗われるような気持ちになっていった。

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 別室の礼拝堂には、木製の見事な聖人たちの彫像が並んでいた。

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 そして、出口付近には、もう一体の母子像が待っていた。こちらもまた、ほれぼれするような慈しみに満ちた表情が印象的だ。

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 この島はヴェネツィアングラスの生産地としても知られる。13世紀後半に、火災による災害が本島で発生することを防止するために、ガラス製造工場をここに移転させたのが始まりだが、一方では高度の製造技術が他国に流出しないよう厳重監視体制を敷くための措置でもあったようだ。製造所のショーケースにあったお気に入りのグラスを一枚。

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サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会2

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 マッジョーレ教会でのもう一つの楽しみは、ここの鐘楼からの眺めだ。内部左奥にエレベーターがあり、ここに上ると360度の眺めが満喫できる。特に中世にはまさに表玄関だったサンマルコ小広場とその周辺を一望に出来るという点では、サンマルコ広場の鐘楼よりこちらのほうが価値があると言うことも出来そうだ。

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 ドゥカーレ宮殿とライオンの載った円柱、そして広場の観光客たちが、こんな風に見える。

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 教会ファザードの像が、ちょうど対岸のサルーテ教会を見つめているような角度になっている。これは約1年半前の写真で、サルーテ教会の屋根が修復工事中だったが、昨年暮に行ったときもまだ工事は続いていた。ヴェネツィアの街中で全く修復工事がないという光景にはお目にかかったことが無い。

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 冬場に行けば、ジュデッカ島の奥に沈む夕陽を浴びて金色に輝くラグーナを一望することも可能だ。ただ、冬場は鐘楼の閉まる時間も早いので、確認が必要だ。

 ここのエレベ-ター担当の若者は、とても話好きで、鐘楼に昇るまでの10数秒の間に乗客の国籍を次々に当てて、自慢げだった。オランダ人観光客が話しかけると、「アムステルダムに行きたいんだ。そのためにお金を貯めているんだ」と、屈託なく話していた。もう、その夢は実現しただろうか。

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サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会1

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 今回からは本島を離れて離島にある教会を訪ねてみよう。まずは最も近い島、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島にある同名の教会は、サンマルコ広場からもよく見える絶好の写真ポイントでもある。建物はアンドレオ・パラーディオの傑作とされ、ラグーナに浮かぶその姿は優雅で秀麗だ。

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 古典的様式によって16世紀に建てられたこの教会の内部は、透明感にあふれ、澄み切った空気に満たされた感覚だ。パラーディオの建築は、ジュデッカ島のレデントーレ教会に入った時も、同様の気持ちにさせられた。

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 この教会の至宝は祭壇右に掲げられたティントレットの「最後の晩餐」だ。このテーマでは多くの絵が、正面にテーブルを置き一列にイエスと使徒たちが並ぶという構図が取られているが、ティントレットはテーブルを画面を斜めに横切るように配置するという大胆な画面構成に挑戦した。

 これによって絵は非常にダイナミックになり、さらに十二使徒だけでなく市民や家畜までも登場するという異例の晩餐シーンとなっており、注目の作品だ。ただ、とても暗い画面のうえに、上からの光が反射してとても見にくい角度にあるので、出来ればオペラグラスを用意して少し離れた光の反射しない場所からの鑑賞がベターだろう。

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 さらに、入口右側の壁にあるのがこの絵だ。ヤコポ・ダ・パッサーノの「キリスト降誕」。こちらも光の反射があり、初めてここに入った時はティントレットの作品ばかりに気を取られて見逃してしまったのだが、2回目の訪問で、闇の中に浮かび上がるイエスと、わが子を慈しみにあふれた表情で見守るマリアの姿を見つけたときは、その神々しさに言葉を失った経験がある。ぜひお見逃しなく!

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サン・モイゼ教会

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 サント・ステファノ広場のすぐ前にはアカデミア橋があり、それを渡ればアカデミア美術館に着くが、そちらには行かず、今度はスペジエール通りをサンマルコ方面に進む。サンタ・マリア・デル・ジーリオ教会を過ぎると、3月22日通りに入る。ここはヴェネツィアの中でも指折りのブランド通りで、フェラガモ、グッチ、プラダなどの有名店が軒を連ねている。中ほどまで歩いていくと、前方突き当たりにサン・モイゼ教会が姿を現す。

 ご覧のように正面ファザードは無数の彫刻や浮き彫りで覆われている。これをバロックの傑作という人と、ゴテゴテの悪趣味と切り捨てる人とに評価は二分されるだろう。とにかくおびただしい彫刻であふれており、異様な景観であることだけは確かだ。

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 正面広場前の運河はゴンドラの発着所になっており、シーズンにはまさにラッシュのように観光客を乗せるゴンドラがひしめき合う。

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 中に入ると、主祭壇背後の飾りが目に飛び込む。モーゼがシナイ山頂で十戒を授かる場面が、絵画ではなく石を使って立体的に構成されている。このような構成はバロック建築のあふれる南イタリアのレッチェの教会で見たことがあるが、ヴェネツィアではここ以外にはお目にかからない。これもまさにバロック調の典型のようだ。

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 とても古い教会だが、夕方のミサを終えて、普段は閉まっている左手のドアが開いたとき、その向こうに明るいショーウインドウが輝いていた。最新のファッションをまとったマネキンはヴァレンチノの店。まさに古い伝統と新しい流行とが同居したヴェネツィアの一面を象徴しているようだった。

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サント・ステファノ教会

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 サルヴァドール教会から左側のオボ通り(カッレ・デッロボ)を進もう。劇作家にちなんで名付けられたゴルドーニ劇場、ヴェネツィア一立派なライオン像のあるマニン広場を過ぎて、夕方からレストランのイスが並ぶサンタンジェロ広場に入ると、サント・ステファノ教会の傾いた鐘楼が見えてくる。

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 教会に入ってまず目に付くのは格子状の船底型天井だ。ヴェネツィアでも4か所だけの特徴的な天井で、重厚な印象だ。たまたまここで葬儀に同席する形になったことがあったが、粛々とした式にぴったりの雰囲気だった。

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 そこだけ有料になっている右側の礼拝堂に入ると、ティントレットとその工房で制作した「最後の晩餐」に出会うことが出来る。非常に動的な描写だが、サンジョルジョ・マッジョーレ教会にある彼の同名の作品よりは晩餐の席にフォーカスした描き方になっている。

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 室内はこんな感じで、絵画に包みこまれるような空間だ。絵画の保存状態も良好で、うれしくなる。

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 外はサント・ステファノ広場。12月になると恒例のクリスマス市がここで開かれる。クリスマス用の食品、飾り付けの露店などが並ぶだけでなく、週末などは歌や踊りのイベントもある。私のここでの楽しみは何といっても温かいホットワイン。

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サン・サルヴァドール教会

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 久しぶりにヴェネツィアの教会巡りを再開することにしよう。今回のルートは商業の中心、リアルト橋からのスタートだ。橋をサンマルコ広場側に降りて、マッツィーニ・メルチェリア通りを少し入ると、右手にあるのがサン・サルヴァドール教会だ。入口の階段を上がって中に入ると、真正面の祭壇にティツィアーノの「キリストの変容」が飾られている。

 すっくと立つキリストの姿の後方で湧き上がる妖しい雲の模様が、荘厳な雰囲気を一層強調し、身の引き締まる思いにさせてくれる。

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 06年の冬、偶然にこの教会で行われた結婚式に遭遇したが、キリストの絵に向かって新郎新婦が愛を誓う姿は、とても感激的だったことを印象深く覚えている。

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 主祭壇に向かって右身廊には、これもティツィアーノの傑作「受胎告知」がある。受胎を告げられたマリアの驚きの表情と動作の表現は、フラ・アンジェリコやダ・ヴィンチの同名の作品に比べてとてもダイナミックとさえ言えるほどの動的なリアクションで、興味深い。

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 帰りがけに、ちょっとだけ足を止めて出口に向かって右側の壁に架かった小さな額に注目したい。ペンダントをかけたシルクの女性像の刺繍がそっと飾られている。清楚で慎み深いこの刺繍は、どんないわれを持っているのだろうか。

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サン・ザッカリーア教会3

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 この教会にはいろいろな彫像も飾られている。まずは入口近くにある老人像。なかなか威厳に満ちた表情だ。

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 こちらは祭壇側に立つ聖人像。シルエットが美しい。

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 入口左側のキリスト磔刑像。闇に浮かび上がる姿が印象的だ。

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 教会を出て左に進むと、すぐにスキアヴォーニ河岸に出る。冬の夕方河岸に出たとき、ちょうど夕陽がサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の後ろに沈む直前で、とても素晴らしい光景を目撃することが出来た。

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サン・ザッカリーア教会2

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 幼子イエスを抱き、かすかにうつむきながら物思いにふけるマリアの表情は、憂いを帯びながらも高潔で美しい。一方、バイオリンを奏でる天使の不思議なまなざし、両端の聖人の、自らの殻に閉じこもったような沈思の状態など、謎めいた描写も随所に見られる。しかし、何といっても朱系統の色彩を効果的に使った華やかな明るさが聖母から両サイドに広がっており、見る者を引き付けずには置かない。ベリーニの祭壇画の到達点といわれる名画だ。通常は室内が暗いので、0・5ユーロでスポットライトを点灯しないと、詳しい鑑賞は不可能だ。

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 向かい側、教会入口から見ると右側の壁面も、さまざまな絵で覆い尽くされている。まるで絵画の洪水の中に身を置いているかのようだ。

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 その中でも、主祭壇に近い側に位置する絵画はキリスト誕生の瞬間を描いている。この聖母マリアはベリーニの絵の神々しさとは違い、こぼれるような優しさに満ちている。こちらの側はとても暗いうえ、スポットライトがないので、しっかり近づいて見る必要がある。

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サン・ザッカリア教会1

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 フォルモーザ広場の奥、ゴンドリエたちがよく客待ちをしている橋を渡って南に向かおう。細い路地を歩いていくと、リストランテのテラスがある少し広めのサン・プロヴォーロ広場に出る。ここで左に聖母子像のレリーフが掲げられている門が見えたら、そこがサン・ザッカリア広場だ。

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 門をくぐるとサン・ザッカリア教会の建物が目に飛び込む。1105年の大火災で一旦は焼け落ちたが、再建された。現在のものはマウロ・コドッチが1515年に完成させたゴシック様式の建物だ。最上部の半円形のファザードが美しい。2007年に修復が完了し、とてもきれいになった。

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 ここではジョヴァンニ・ベリーニの取って置きの名作と出会える楽しみが待っている。入って中ほどの左側の壁面に「玉座の聖母と諸聖人」はある。ジョヴァンニの祭壇画の到達点ちいわれる名画だ。華やかな絵画のオンパレードのような壁面の中でも、一際輝いている。

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サンタ・マリア・フォルモーザ教会

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 サンタ・マリーナ広場を左に曲がって行くと開放的なフォルモーザ広場とフォルモーザ教会が見えてくる。教会は本島内でも最も古いといわれるものの一つ。聖マグヌスの許に胸の豊かな健康的な聖母が現れて「この場所に教会を造りなさい」と告げたことから建てられたというエピソードがあり、「健康的」を意味するフォルモーザという言葉が付けられた。

 この写真は別の路地から見た教会の鐘楼。この路地には「アル・マスカロン」という、おいしいヴェネツィア料理を食べさせてくれるトラットリアがある。

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 教会内部の祭壇。何度か改築されたが、現存する建物はマウロ・コドッチによって、縦軸下部が長いラテン十字のかたちで建てられた。

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 教会の正面に向かって右側、小運河に面した鐘楼入口付近の壁に、不気味な笑顔の大きな顔が掲げられている。よく記念写真の背景にされているのを見かける。変顔の像はあちこちで見かけるが、ここの「変顔」が、知名度ではNO1かもしれない。

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 教会裏手は子供たちの遊具が置かれ、昼下がりから夕方にかけては沢山の子供たちでにぎわう。たまたまこの日は子供が少なく、しかも遊具を前に”哲学的な思索にふける”子供に出会ったので、一枚。ここの前は、ピエトロ・ロンギ作の風俗画などがあるクエリーニ・スタンパリア美術館になっている。

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 そのスタンパリア美術館で最も印象深かったジョヴァンニ・ベリーニの作品が、街中のゴミ箱のデザインに使われていた。こんなゴミ箱ならいくつ道に置かれていて全く気にならない。逆にイメージアップになるかも、と思った。

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ミラーコリ教会2

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 ミラーコリ教会の中に入ろう。主祭壇がとても高い位置にあるのが特徴だ。大きな14段の階段(もちろん13階段ではありません)を昇らなければ祭壇に達しない。従ってミサなどの際信者たちが椅子に座った状態だとはるか上方に見上げる感じになる。その祭壇の中央に縦長の小さ目の聖母子像が祭られている。背景が赤く燃えるような絵だ。壁はアイボリーホワイトの大理石に墨をたらしたような線が記され、それが装飾となっている。天井の肖像画も面白い。

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 そしてもう一点、帰りがけ出口を出る前に忘れずに上を見上げて欲しい。低い天井にもう一つの美しい聖母子像が描かれている。遠くを見つめる澄んだ表情がとても魅力的だ。個人的には祭壇の聖母よりもこちらの方が親しく感じられる。

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 次にサンタマリア・フォルモーザ広場を目指そう。南東方向に路地を縫って歩いていくと小さな橋を越えるが、この運河をゴンドラの通り道になっており、角のピザーニ館を始めとした周囲の建物も風情があって、いつも私はここで足を止めてゴンドラの行き交う風景を楽しんでいる。

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 橋を渡りきった先にあるサンタ・マリーナ広場の家並みも美しい。家々の窓には花が飾られ、サンマルコ広場などのような雄大さとは対照的な優雅さを味わえる。これもまた、ヴェネツィアのもう一つの魅力だ。

 今週は、友人のブログ「絵に描ける珠玉の町村・・・」で、私の写真を掲載してもらっています。今回は南イタリア・プーリア州の白い街・オストゥーニの特集です。右側「お気に入りブログ」欄からご覧下さい。

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サンタ・マリア・デイ・ミラーコリ教会1

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 カンチアン教会のすぐ先にサンタ・マリア・ノーヴァ広場がみつかる。それほど大きな広場ではないが、くつろげる雰囲気を持った広場だ。左側の黄色い建物の1階は仮面の店、その向かいの書店は絵葉書、ヴェネツィアの写真集などが豊富にあり、お土産を買うのにも便利な場所だ。

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 カンチアン教会側からだと広場への角を曲がるとすぐに仮面の店の人形と鉢合わせするのでご注意を!その背後に見えるのがミラーコリ教会だ。

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 この教会は建物そのものが魅力となっている。「小さな宝石箱」と呼ばれ、15世紀、ピエトロ・ロンバルドとトゥッリオ・ロンバルドの作。オフホワイトの大理石をふんだんに使い、優雅なたたずまいを見せる。近年修復されて一層きれいになった。また、道が入り組んでいて狭いヴェネツィアでは、1つの建物を四方八方から自由に眺めることはかなり難しいが、この教会だけはどちらからでも眺められるロケーションになっているのもうれしい。

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サン・カンチアーノ教会

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 教会の奥の道を左に曲がると、カゾン通りに入る。casonとは囚人という意味で、以前はこの辺に軽犯罪者の収容所があった。その関係だろうか、家の壁に「spes mea indeo est」という銘が貼り付けてあるのが目に入る。「希望は神に」という意味だそうだ。

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 小さな運河を渡るとすぐにカンチアーノ教会が現れる。以前に「優しいマリア様ベスト3」で紹介したマリア様がいらっしゃるのがこの教会だ。ほとんど観光客などは立ち寄らないところだが、このマリア様と対面するだけで、幸せな気持ちになれる。

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 もう一つ、ここにいらっしゃるキリスト磔刑像も、全身に悲哀をあふれさせて、荘厳なお姿だ。この教会は昼の時間も開いているので、近くを通った時にはどうぞお立ち寄りを。

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サンティ・アポストリ教会

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 バポレットのカ・ドーロ停留所近くにあるアポストリ教会は、定宿のすぐそばにあるのでなじみの教会だ。リアルト橋側からくると、こんな風に鐘楼がみえる。

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 ここのイチオシの絵はなんといってもティエポロ作「聖ルチアの聖餐」だ。入って右側の礼拝堂に飾られたこの絵は、それほど大きな絵ではないが、存在感は圧倒的だ。注目はルチアの表情。目をくり抜かれた(よく見ると右下の皿に2つの目玉が乗せられている)後だというのに、痛みや悲しみを超越して、ある高い次元に達して初めて得られる強さと凛々しさに満ちている。また、白い衣の輪郭によってすがすがしさが強調されている。気持ちが落ち込んだときでも、この絵を見つめていると体の奥から勇気が湧いてくるようで、いつも励まされる。

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 また、セバスチャーノ・サンティの「キリストとその使徒」も優雅な作品だ。教会を出るとアポストリ広場になっており、ベンチもあってゆったりできる。出店を出しているおばさんが連れてくる子犬をあやしながら一息つくのにちょうど良い空間だ。

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サン・ジェレミア・エ・ルチア教会

 ナザレ教会から200mほど進むとルチア教会が右側広場奥に見つかる。ここはイタリア民謡でも有名なサンタ(聖)・ルチアが祭られている教会だ。

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 サンタルチア駅からリアルト橋方面に向かってバポレットに乗ると、ほどなく左側にこの教会が見える。その壁面に「聖ルチアがここに眠っている」と書かれている。ルチアはシチリア島シラクーザの修道女で殉教したが、いろいろな経緯の後ヴェネツィアに遺体が移された。今の鉄道駅の所にあった教会に安置されていたが、駅建設でその教会は壊され、ジェレミア教会に移されるとき、「ジェレミア・エ・ルチア教会」と名前が変更された。こうした理由から、駅名にもサンタ・ルチアの名が付けられたという。

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 主祭壇には彼女の遺体が安置されたガラスケースがあり、上には金のルチアの立像が置かれている。花や蔦を模った装飾が施されて豪華なたたずまいだ。合計40もの燭台がその中に置かれ、赤く点灯されるとイルミネーションのように美しい。

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 祭壇の裏側から見た聖ルチアの遺体。身長は1m50cmほど、赤に金の刺繍がなされた衣をまとって横たわっている。周囲には祈願成就を感謝する写真やメッセージがあふれるほど置いてあった。今でも篤い信仰に支えられていることがうかがわれた。

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サンタ・マリア・ディ・ナザレ教会

 教会巡り3シリーズ目は、カンナレージョ地区・鉄道駅近くからザッカリア河岸のカステッロ地区までの長いルートをたどる。

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 まずはサンタルチア鉄道駅のすぐ横にあるナザレ教会に入ろう。教会正面の祭壇はフォンダメンタヌオーヴェにあるジェズイーティ教会のようなねじれた8本の茶色の柱が特徴的だ。

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 左礼拝堂にある彫像が面白い。3人家族(聖家族だろうか)が宙に浮いたように配置されており、まるで空を飛んでいるようだ。

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 洗礼台の上方には小さ目のキリスト磔刑像が飾られている。

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 また、右奥スペースには昔のスカルツィー橋の写真が飾られている。現在の橋は教会から見て左側に弧を描くような形に架けられているが、その少し前には教会右側に直線の鉄製橋があったようだ(左から2番目の写真)。ただ、スカルツィー橋が建て替えられたという記述にはお目にかかったことがない。一番右側の写真を見ると現在の橋と直線の橋の両方が映っている。もしかして鉄製の橋は臨時の橋だったのだろうか。

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サン・パンタロン教会

 フラーリ教会を出て裏側のサン・ロッコ通りに入ると、サンロッコ同信会の建物が見える。ここはティントレットの“洪水”。ヘンリー・ジェイムスは「四方の壁にここまで天才の作品があふれているところは、どこにもないだろう」と感嘆している。今回は教会巡りなので、ここはパスすることにする。ちょっと小腹がすいたなら、同信会手前の切り売りピザの店で1ユーロのピザをつまもう。同じような店が2軒あるが、いつも行列が出来ている同信会よりの店がお薦めだ。

南西側に出る細い道をすぎると、こじんまりとした教会が見つかる。サン・パンタロン教会だ。月ー土曜日の午後4時から6時までと、短時間しか開いていないのでよほどタイミングを合わせて行かないと入れないが、是非一度は訪れて欲しい教会だ。というのはここには超豪華な天井画があるからだ。

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 これがその天井画。ジャン・アントニオ・フミアーニ作の「聖パンタロンの殉教と神化」だ。だまし絵的手法を使い、天井一杯に描かれている。

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 すこしアップにするとこんな具合。琥珀色で覆われた天井のスペクタクルは圧倒的な迫力で、見上げているうちに自分が押しつぶされそうにも思えてくる。とにかく一度ご覧あれ。ただ、冬場などは一層暗くなるので0・5ユーロのコインを入れてライトを点灯しないと、全く天井に気づかずに終わってしまう結果になりかねないのでご注意を。

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 教会前の小さな橋を渡ると本島でもほぼ一番広いカンポ、サンタ・マルガリータ広場に出る。散歩途中の老人、サッカー遊びをする少年たち、買い物帰りにおしゃべりに興ずる主婦たちなどの姿を眺めながらカフェを一杯としゃれ込むのもちょうど良い広場だ。

 この広場の先には、以前紹介したカルミネ教会が続いている。サン・ポーロ地区の教会巡りはひとまず終了だ。

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フラーリ教会3

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 広い堂内にもう一つのティツィアーノの傑作がある。「カ・ペーザロの聖母」だ。聖母マリアを従来の絵画のように画面中央には配置せず、大胆な斜めのラインで構図した画期的な作品になっている。

 ところで、その絵の左側に立てかけられた細長く大きな金属は何だろうか。地元の人に聞いてみたら、これは不発弾だという。1918年2月、第二次世界大戦の末期に、教会の屋根にこの爆弾が落とされたが爆発せずに、教会と数々の貴重な美術品が奇跡的に助かった。その感謝の意味を込めて飾られているのだそうだ。まさに奇跡の爆弾だ。

 ティツィアーノはペストで死を悟ったときに、この教会への埋葬を望み、その遺志を尊重して今はこの教会に眠っている。その理由は何といっても自らの作品のベストといえる作品が2点もここにあるからに他ならないだろう。

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 その大きな墓のすぐ左側にあるのが、「聖ジェローム像」(アレッサンドラ・ヴィットリア作)。それほど有名ではないが、たくましさ、重厚な表情など、個人的には非常に好きな彫像だ。この顔は、墓にあるティツィアーノの像よりもこちらの方がティツィアーノに似ているという説もある。

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 修道士たちの聖歌隊席も豪華だ。細かい細工を施した木製の席は124席あり、ライトに照らされると渋い光を放って気高い雰囲気が充満する。オリジナルで現存する貴重なものだ。

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 聖歌隊席の列を通り過ぎたところで、最後にもう一度中央祭壇を振り返って欲しい。聖母被昇天の絵全体が席の枠組みの中から浮かび上がるかのように見えるポイントがある。祭壇上部から降りそそぐ外光に包まれ、すべての視線がこの絵に集中するように演出されているようだ。やはりこの絵は、この場所が最もふさわしい。

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フラーリ教会2

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 フラーリ教会はティツィアーノだけではなく、美術館顔負けの美術品の宝庫だ。左礼拝堂にある祭壇画「祝福を与える聖マルコ」は、バルトロメオ・ヴィヴァリーニの作品。ひげを蓄えた貫禄十分の聖マルコは言わずと知れたヴェネツィアの守護聖人だ。

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 また、右側にある聖具保管室には、ジョヴァンニ・ベッリーニの「聖母と聖人たち」が飾られている。ティツィアーノより少し前の時代に活躍した代表的な画家で、この絵でも彼特有のあの優しい中にも気品を漂わせた聖母と対面することができる。本物では両サイドの聖人たちや聖母を支える天使たちの豊かな表情もじっくりと鑑賞できる。

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 聖具室付近にあった像は、エンリコ・ダンドロ。13世紀、共和国の名総督(ドージェ)としてコンスタンティノープル攻略や、ヴェネツィアと東地中海の商業要地を結ぶ交易路を完成させた最も有名なドージェの顔を、私はここで初めて拝むことができた。

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 主祭壇右、フィレンツェ人の礼拝堂にあるのはドナテッロの「洗礼者ヨハネ」(中央)だ。フィレンツェのバルジェッロ美術館に飾られている彼のダビデ像は、ミケランジェロのダビデ像に匹敵するくらいに美しく、個人的には超お薦めの彫刻だが、こちらの木製像も魅力的。ドナテッロ作品はヴェネツィアではおそらくここだけしかないはずだ。

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フラーリ教会1

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 サン・ポーロ広場から西に数分歩くと、小さな運河をはさんでサンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ教会の大きな建物が見えてくる。最近は教会の正面ではなく左手奥から入場するようになっている。

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 そこから入ると、左側中央祭壇に、ティツィアーノの傑作「聖母被昇天」の大きな絵が燦然と輝いている。

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 絵は上中下 の3段階の構成になっており、下段に聖母を見上げる使徒たち群衆、中段に神に召される聖母マリア、上段にマリアを迎える神が描かれている。緋色の衣装にブルーのマントをひるがえらせ、憂いをたたえた目を見開いて上空を見つめるマリアの表情は、新たな世界へ旅立つ恍惚と不安を併せ持つ複雑でかつ豊かな感情がにじむ。後に絵画王と称されたティツィアーノ20代の力作だ。

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 ここに描かれたマリアには、ルネサンス以前のチマブーエらの絵に見られる神格化された聖母の姿はない。ジョット以来変容してきた、体温を持つマリアがそこにいる。しかも、人間として持っている心の動きを抑えきれずに表出するその感情が、見るものの心に同調して響きあうからこそ、深い感動を生み出すのだろう。

 和辻哲郎はその著書「イタリア古寺巡礼」でミケランジェロの「聖家族」を「もう慈悲の女神を描くような気持ちは少しもない。人間のうちの気高いもの、深いものを捉えることだけが狙いである」と評した。ルネサンスから明らかに聖母の描き方は変わった。その最中にいるティツィアーノもまた例外ではなかった。

 上中下に分かれた絵の構成は、過去、現在、未来の時空間を表していると見てもよいのではないだろうか。そして、神としてのマリアではなく運命の嵐に翻弄されながらも自らの使命を全うする一人の女性の激動の瞬間を、見事に表現した絵画に思える。保管上の理由などから一時アカデミア美術館に移されたが、約1世紀後の1945年に改めてこの教会に戻されたとのこと。やはりあるべき場所にあるのが一番美しい。

 ある時、スラヴァの歌うカッチーニの「アヴェマリア」をMDで聴きながらこの絵を見つめているうちに、とめどなく熱い思いが胸のうちにあふれてきたことがあった。

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サン・ポーロ教会

 少し番外編が続いたが、またヴェネツィアの話に戻ろう。教会巡りの第2シリーズで、島中央部サンポーロ地区を歩こう。

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 まずは地区の名称にもなっているサン・ポーロ教会に入ってみる。バポレット停留所なら「サン・シルヴェストロ」で降りて数分の場所だ。サリザーダ・サン・ポーロの通りは狭いながらも商店が並び、賑やかな通りだが、教会に一歩足を踏み入れると落ち着いた静かさの中に身を置くことができる。木製の天井は「船の竜骨」式といわれる様式で造られている。これはサント・ステファノ教会などと同じ様式だ。

 心引かれたのは本堂部分より、入って左側にある「十字架小礼拝堂」のジャンドメニコ・ティエポロの連作だ。彼はジャンバティスタ・ティエポロの息子。キリストがゴルゴダの丘で処刑されるまでの道程を14枚の油絵で描いた「十字架の道行」が飾られている。20歳のころに描いたこの連作で一躍世に認められた記念すべき作品だ。十字架を背負って苦行の行進をするキリストの姿が描かれるが、その主役より、右側のピンクの服を着た婦人の射るような鋭い視線が強烈な印象を与えている。

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 もう一枚。処刑されたキリストに取りすがるのは、母マリアとマグダラのマリアか。悲痛な叫びが聞こえてきそうな情景だ。

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 教会を出るとすぐに、本島の中でもかなり大きいスペースを占めるサン・ポーロ広場がある。とても開放的な空間で、夏場などはコンサートが開かれたりする。広場全体を撮った写真が見つからなかったので、たまたま居合わせたワンちゃんのカットでご了承を。ここで店を出す屋台で1ユーロのグラニータ・リモーネ(レモンのシャーベット) を買って食べるのが密かな楽しみだった。

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カルミネ教会・同信会

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 ドルソドーロ地区の教会巡りに戻ろう。サン・セヴァスティアーノ運河はカルミニ運河に突き当たって合流するが、その運河沿いに右に曲がって少し歩くとカルミニ広場にあるカルミニ教会がみつかる。

 この教会は14世紀に建立された。中に入って驚くのは柱が赤い布で覆われていること。重厚な華やかさで満たされ、気持ちが高ぶる感じがする。私が訪れた時は、プロと思われる歌手が一人でオペラの練習をしていた。室内に張りのある声が響き渡り、さすがヴィヴァルディの故郷、といった雰囲気だった。ただ、絵画作品などは地味なものが多いようだ。

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 それに引き替え、教会の横にあるカルミニ同信会(スクオーラ・グランデ・デイ・カルミニ)は、ジャンバティスタ・ティエポロの作品の宝庫だ。2階大広間の天井にはティエポロの傑作の1つ「聖シモン・ストックに現れる聖母」の大きな絵が描かれている。画面左下にひざまずく13世紀のイギリスの司祭・聖シモンのところに、上空から聖母が現れて、スカプラリオ(肩衣)を差し出す光景だ。聖母といえば「被昇天」で天に昇っていく絵がほとんどなのに、この絵は天から降りてくるという非常に珍しい構図をあえて選んだものだ。聖母の神々しさが際立つ作品だ。

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 ティエポロの作品をもう一つ。英語の解説書では「fortitude and justice」というタイトルがついているが、「堅忍と正義」とでも訳すのだろうか。軽快で躍動感にあふれた構図がとても面白い。

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 1階の部屋にはこんなハンサムな青年の像もあった。冬だったせいか1時間近くここで鑑賞していたが客は私一人だけ。贅沢な時間をいただいた思いだった。1階に降りたら入口のチケット売り場にいたシニョーラ2人のおしゃべり声がビンビン響いてきたのだけが、ちょっと残念だったけれど・・・。

 ドルソドーロ地区の教会巡りはひとまずこれで終了。次はどの地区に行きましょうか。

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サン・セバスティアーノ教会

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 ザッテレ海岸通の西端付近、バポレットのサン・バジリオ停留所から右に曲がって、セバスティアーノ運河沿いに少し行き、左の橋を渡ると、サン・セバスティアーノ教会にたどり着く。この辺はヴェネツィアでもあまり観光客は来ない場所だが、実は非常に興味深い教会だ。何とパオロ・ヴェロネーゼの絵で埋め尽くされた教会なのだ。

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 これは天上画「アハミュエロスに女王の冠を授けられるエステル」。旧約聖書外典・エステル記から取ったもので、アハミュエロス王が全国から集められた美人の中からエステルを王妃に選ぶという物語を題材にしている。このころ、有力な部下・ハマンがユダヤ民族絶滅の陰謀をめぐらせ、王をも巻き込もうとしており、エステルはわが身を省みず王に計画中止を訴え出る役割を担おうとしていた。そんな波乱に満ちた状況を背景に持つ戴冠の絵を、右上から左下に斜めのラインで画面を切り取った不安定な構成で作り上げている。

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 一方、別室にある「聖母の戴冠式」は、中央にひざまずく聖母を配し、安定した構図で描かれている(写真が傾いているのは、単に撮影者の技術の問題です)。聖母の優雅さと飛遊する天使の愛らしさも、見所の一つだ。この他にも中央祭壇右壁の「聖セバスティアンの殉教」など、いずれもヴェロネーゼ絶頂期の華麗な作品がずらりと並んでいる。こんな場所にも美術の授業で習ったような大画家の作品に出会えるのもヴェネツィアの教会めぐりの面白く、奥深いところだろう。

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サンタ・マリア・デッラ・ヴィジタツィオーネ教会

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 ジェズアーティ教会付近の海岸はザッテレといい、ヴェネツィアにしては珍しく広々とした通りになっている。道に置かれたベンチに座って新聞を読む紳士や買い物帰りに談笑する主婦たちの姿も良く見かける。ベンチで運河を通り過ぎる観光船などを眺めながらジェラートをほおばっていると、ゆっくり流れる時間の優しさに触れることが出来るような気がする。

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 さて、教会巡りに戻ろう。ジェズアーティ教会のすぐ隣りに、もう一つの教会がある。このヴィジタツィオーネ教会は、何とも小さくて質素な建物だが、中に入って天井を眺めると、空間を埋め尽くす人物画に驚く。ウンブリアの画家による58の肖像画だ。他にも美術品はいろいろあったのだが、ナポレオンが持ち去ったのだという。

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 その代わりといっては何だが、私が入った時には祭壇を使って地元のコーラスグループが合唱練習をしていた。美しいハーモニーが教会内に響き渡って、とても癒される気持ちになれた。神様からのプチプレゼントを頂いたような、楽しい瞬間だった。

 この教会には、「ヴェネツィア・ベスト3」で取り上げた優しいマリア像もある。お見逃しなく!

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ジェズアーティ教会

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 サルーテ教会からジュデッカ運河側に出たら、一度左後を振り返ろう。岬の突端にある税関の屋根に据えられた、金色の球体に乗った運命の女神像が間近に見える。サルーテ側からは現在税関に行けなくなっているので、陸上からはこの付近が最も女神に近づける位置になる。

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 開放的なザッテレの海岸を少し歩くと、ジョルジョ・マッサーリの手になるジェズアーティ教会がすぐ目に入る。陽光をたっぷり浴びて、ファザードの4本のコリント式円柱が白く輝いている。1668年にドミニコ修道会に加わったこの教会は、別名「サンタ・マリア・デル・ロザリオ教会とも呼ばれる。(この写真は運河向かい側のジュデッカ島からの撮影)

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 この教会の白眉は、ジャンバティスタ・ティエポロの天井画だ。「ロザリオの制定」は、大階段の上で人々にロザリオを手渡す聖ドミニコと、雲間に姿を現した聖母子が仰視法で鮮やかに描かれている。心が洗われるような清澄な色彩が印象的だ。

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 そして入口右側の第一礼拝堂には、これもティエポロの「ロザリオの聖母」。聖人たちの表情はもちろん、演劇の一場面のような劇的な画面構成は、必見の絵だ。

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 6つの礼拝堂に囲まれた円形の堂内には、見逃せない名画が飾られている。主祭壇に向かって左横の礼拝堂には、ヴェネツィア絵画の巨匠ティツィアーノの「キリスト降天」がある。神の象徴であるハトが四方に放つ光を受けて感激に浸る人々の姿が描かれる。

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 また、右側にはルカ・ジョルダーノの「聖母被昇天」があるが、その絵の前に思慮深い表情でたたずむジローラモ・ミアーニの老人像が、個人的にはとても好きだ。

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 さらに、右側のもう一つの絵「聖母の神殿奉献」(多分)は、私の調査不足で作者不明だが、秀作だ。

 この空間にはだれでも無料で入ることが出来るが、奥にある有料の聖具室には、ティツィアーノの「聖マルコと聖人たち」、ティントレットの「カナの婚礼」などが納められている。こちらは撮影禁止だったので、写真はなしです。

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 教会を出てジュデッカ運河方面に向かう。普通サルーテ教会は表側からの写真しか見たことがない人も多いだろう。横からだとこんな風に見える。

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サルーテ教会

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 今日からはヴェネツィアの教会巡りを始めよう。ヴェネツィアには実に多くの教会がある。もともとは100以上の島があり、それぞれの島に教会があるわけで、どこを歩いても数分ごとに教会に出会うようなことになる。 ただ、美術館の案内はあるが、教会の案内はあまり詳しくないのがほとんどだ。そこで、私の体験した範囲内で興味深い教会をルート別に紹介しよう。

 まずは、ドルソドーロ地区、ザッテレ周辺の教会からスタートする。

①サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会

 サンマルコ広場の対岸で華麗なクーポラを戴くサルーテ教会は、ヴェネツィアの代表的な建築ベスト3に入るだろう。デビット・リーン監督の映画「旅情」でもしっかりこの教会が映し出されていた。1687年、バルダサーレ・ロンゲーナによって完成された。ヴェネツィアバロックの最高傑作ともいえる丸屋根とそこに沈む夕陽の優雅なたたずまいは、私がヴェネツイア通いを始める大きな動機付けでもあった。ぜひ一度は壮麗な瞬間をご覧あれ。

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 主祭壇には、クレタ島から運ばれたグレコビザンチン様式の「聖母像」が飾られている。その周囲を取り巻く祭壇飾りは、ジュスト・クール作。上部にある3体の像は、中央が聖母子で、向かって左がヴェネツィアを、右がペストを象徴している。聖母子の恵みと、それによって逃げ出そうとする、老婆の姿をしたペスト、疫病の撲滅に感謝するヴェネツィアという構図だ。17世紀のペストの蔓延によって数万人の死者を出した後、病の終焉に感謝して建てられた教会の意味を物語る彫刻だ。

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 床の美しさも特筆ものだ。ライトに照らされて浮かび上がるモザイク模様は、人の少ない時間帯に行けばなおさらに印象的だ。

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