レデントーレの祭り1
ヴェネツィアで冬のカーニバルと並ぶ夏の祭り「レデントーレの祭り」は毎年7月の第三日曜日に行われます。今年は19日。この特集をご覧下さい。
祝宴は、すでに教会とは遠く離れたリアルト橋の近くでも始まっていた。船を貸し切り、ジュデッカの運河に乗り出していくらしいグループの挙げる歓声が、こだまのように響き渡った。その表情は、浮き立つ心を抑えきれないかのように口許がほころんでいる。ラ・フェスタ・ディ・レデントーレ。レデントーレの祭り。
16世紀、1575年から77年にかけてヴェネツィアを襲ったペストの猛威は、数万人もの死者を出す壊滅的な打撃をこの国にもたらした。ようやくその蔓延が収まったとき、レデントーレ教会は祈願成就の祈りを込めて建立された。その起源は決して明るいものではないが、今では市民こぞっての祝祭の日として定着しているのだ。
市民の参拝はその前日から始まる。何千何万という人たちが教会に詣でるのだが、そのためにだけ、その二日間だけのためにザッテレの海岸からレデンントーレ教会正面までジュデッカ運河を横断して浮橋が作られるのだ。
橋の長さは333.7m、幅3.6m、34隻の船を連結することで繋ぎ止めるもの。11月にサルーテの祭りに作られる仮橋よりずっと長い。
しかも、ただ単に水面と平行に作るのではなく、運河の中央部分はなだらかに盛り上がる勾配を付けた構造だ。もちろんこのカーブはバポレットなど各種船舶の航行を可能にするためなのだが、ヴェネツィア人ならでは、と思わせるような優雅な勾配なのだ。
そして、その先には建築家アントニオ・パラーディオ設計によるレデントーレ教会が、優雅な姿を浮かび上がらせている。
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